お気に入り登録、感想、評価、誤字報告ありがとうございます。
お久しぶりです。
涼しくなって来たのと、仕事がちょい落ち着いたのでまた再開していきたい所存……夏は本当に嫌い、書く気力が残らん。
そういえば、前話の感想や誤字報告にちょいちょい「花摘みは女性が使う隠語だから鋼くんは雉撃ちでは?」と来てましたが、此処の表現はわざとです。
馬鹿正直に今から老師に頼まれて女装して来るとは言えなかったので、曖昧だけど一応言っとくかくらいの伏線を達也に投げて会場を抜け出した感じとなります。
特に何の感想も浮かんで来ない開会式があっさりさっくりと終わって、いよいよ九校戦の開幕である。
第一から第九までの魔法科高校の校歌を流して、去年の優勝校である一高を代表して生徒会長の七草先輩が優勝旗を返却ついでに選手宣誓。最後に運営委員会の偉い人が開幕の挨拶をして終わりってだけの開会式とは……ネットで動画配信もされてるのにそれでいいのだろうか?魔法を使ってパフォーマンスとかすればいいのに。
それに、懇親会への参加は強制だったのに開会式への参加は任意って辺りは不思議だよね。
普通に考えれば逆だと思うのだけどなぁ……まぁ、出なくていいなら楽なのでこちらとしては助かるが。
大会初日となる今日は本選のスピード・シューティングの男女が予選から決勝まで行われる予定で、スピード・シューティングの女子の部には新人戦の頃から圧倒的な実力を見せつけ、今年優勝すればスピード・シューティング三連覇の偉業を達成する七草先輩が出場する予定だ。
男子の部?そういえば興味がなさ過ぎて誰が出場するのかも知らないや。
キッチンカーや屋台が並んでいるエリアで購入した朝食代わりのクレープをもそもそ食べながら開会式の様子が流れていた大型ディスプレイを眺めていると、ポケットに入れていた端末が振動したので確認するとメールが届いていた。
待ち合わせをしていた二人が会場に無事に着いたとの事なので、食べ終わったクレープの包み紙をゴミ箱にポイして二人がいるらしい場所へと歩き出す。
「あ、鋼さーん。こっちでーす!!」
「もう香澄ちゃんたら。人がいるのですから少しは落ち着いて下さい」
少し歩くと、周囲を気にする事無く俺に手を振るショートカットの髪をしたボーイッシュで元気がいい印象を受ける女の子と、落ち付いた文学少女の様な雰囲気でこちらに綺麗な一礼をする肩にかかるストレートボブの髪をした女の子の二人組がいた。
相変わらず双子なのに正反対な印象を与えて来る美少女二人組は七草先輩の妹である香澄ちゃんと泉美ちゃん。
九校戦の観戦に行くから暇なら相手をしてくれという連絡があり、特に断る理由もなかったので今日はこの二人と九校戦を観戦する予定だ。
「二人ともおはよう。久しぶりに会うけど、元気そうで何より」
前に会ったのって一高に入学する前だったはずだから……大体五ヶ月ぶりくらいだっけ?
今日の二人のお目当ては勿論姉である七草先輩のスピード・シューティングなので、早速スピード・シューティングの会場へ移動する。
「早めに来たのに結構混んでますね」
「まぁ、真由美さんを見に来た人が多いんじゃないかな?魔法目当てか、本人目当てかは知らないけど」
まだ競技が始まるまで結構時間があるのに既に客席はそれなりに埋まっていて、多分前の方を陣取っている連中は七草先輩本人を見に来た感じかな?魔法目当てなら俯瞰して見られる真ん中より後ろに座るだろうからね。
客席の間をちょっとだけうろうろして丁度真ん中辺りに三人分の空いた席があったのでそこに座る。
俺や双子たちは七草先輩の魔法は見飽きるくらい見てるから、わざわざ魔法が見やすい後ろの方の席にする必要はないし。最前列で七草先輩を見る為に早朝からスタンバってましたみたいな雰囲気を醸し出してる連中の熱気が気持ち悪くて近付きたくなかったので真ん中辺りの席にした。
アイドルの追っかけってあんな感じなのかね?確かに七草先輩は普通にアイドルをやれそうなポテンシャルをしているけど、スピード・シューティングだと念のためにクレーの破片から眼を保護するのにゴーグル着けるから本人の顔はそこまで見えないのだけどなぁ。
競技が始まるまで双子たちと近況報告をして時間を潰す。いま中学三年生である双子たちは進学先に一高を希望しているらしいけど、受験勉強は手伝わないよ?
いや、不満そうな顔されましても。同じ家に住んでいるのだから七草先輩に教えて貰えばいいのでは?えぇ……七草先輩も大学受験で忙しくなりそうだから俺に頼むって、二人とも俺の体質は知ってるでしょうに。
筆記はともかくとして、魔法に関しては俺が教えられるのは少ないと思うけど?七草先輩よりは絶対にスパルタにならないからって……まぁ、予定が空いてる時なら別にいいけどさ。
そんな感じで時間を潰していたら競技が始まる時間となり、さっそく一番手の選手である七草先輩が登場した。
会場のアナウンスで七草先輩が紹介されると、会場内から大きな歓声が上がる。まだ入場と選手紹介だけなのにこんな盛り上がるって凄いなぁ。
「相変わらず人気だねぇ真由美さん」
「本当に、熱気が凄いですね」
「『妖精姫』や『エルフィン・スナイパー』って呼ばれてるくらいだもんね」
その二つ名、本人は嫌ってるから呼んでるのバレないようにしなよ?容姿だけを見たなら納得出来るんだけどね『妖精姫』ってのは。
「真由美さんは妖精って言うより小悪魔か仔猫だと思うのだけどね。イタズラ好きで猫被りさんだから」
そう言ったら双子にあらあらまぁまぁ微笑ましいですねぇみたいな顔をされたんだが?一体全体その表情にはどういう意味が込められてんのさ……。
あ、いま目が合った気がする。後で色々と言われるのも嫌だし、一応手を振っとくか。
「お姉様の圧勝でしたね」
「決勝の相手も流石は此処まで勝ち残って来ただけはあったけど、流石に真由美さん相手はなぁ」
途中で休憩などを挟みつつもスピード・シューティングを双子と決勝まで観戦したが、結果はまぁ予想通り七草先輩の優勝に終わった。
『万能』の二つ名を持つ七草家の中でも上澄みだからね七草先輩って。
精神面とかを除いた純粋な魔法師としてのスペックだけなら当主の腹黒タヌキとどっこいどっこいなんじゃないかな?長兄は真由美さんと比べると微妙で、次兄はどちらかといえば研究者タイプ。妹の双子については才能という原石が立派でも努力という研磨が足りてないし。
「観戦で見るべきはお姉様ではなく対戦相手と鋼さんが仰っていた意味が最初は良くわかりませんでしたが……なるほど、とても勉強になりました」
「でもさ、結局はお姉ちゃんに届かなかったんだから意味なくない?」
「届く届かないは関係ないよ。大事なのは届かせようとした試行錯誤だから。というか、真由美さんと試合が成立しているだけでも凄い事なんだよ?」
そうなの?って顔をされたが、辛辣な言い方をすると
「実際、予選から準決勝までパーフェクトで試合を終えて来た真由美さんに一矢報いたんだ。これは称賛されるべきことだよ」
試合結果は97:82。結果だけ見たら七草先輩の圧勝であるのだが、七草先輩からミスを複数回引き出したのは本当に凄い事である。
これについては本当に相手が上手かったとしか言えない。勝てなくてもせめて一矢報いると言わんばかりに持てる力を振り絞って七草先輩と相対し、この結果をつかみ取ったのだから。
実際、試合終了のブザーと同時にぶっ倒れていたし。
ぶっ倒れた原因の一つは全力で相対してくれたのが嬉しくて、ついついテンションが上がってしまい高校生の本気ではなく、十師族としての本気をちょっと出してしまった七草先輩のせいでもあるのだけど……自分と真正面からぶつかってくれる人がいてくれたのが嬉しくなっちゃったんだろうなぁ。
本人は割とフレンドリーなつもりなのだろうけど、一般的な数字付きでない魔法師からすると十師族って雲の上の存在であり近寄り辛くて出来れば深く関わりたくないって存在だからね。
だいたい特権階級意識を拗らせて「我々に触れたらどうなるかわかりますよね?」っていう存在自体が強迫行為をしてる山奥の引き籠りが一般魔法師に十師族の負のイメージを植え付けてる気がするが……魔法師って国防に直結する存在なんだから仮想敵国に対してはともかく、自国の民にはもっと良い印象を与えればいいのに。
そういうことばっかやってるからハゲ(元老院)が呆れて俺なんかに愚痴ってくるんやぞ。もっとちゃんと監視と諫言の仕事してくれ筆頭執事。
そんな訳で十師族に真正面から相対してくれる存在ってのが結構珍しいので、七草先輩のテンションが上がっちゃったのも仕方ないといえば仕方ないのかな。
その後、表彰式でニッコニコな笑顔で優勝トロフィーを受け取る七草先輩を双子と一緒に拍手で祝福。双子は今日観るべき物は観たので予約してあるホテルに向かうとのことだったので、タクシー乗り場まで送って自分もホテルの部屋に帰る。
夕食までは少し時間があったのでシャワーを浴びて汗を流して身体をさっぱりさせると、タンクトップにハーフパンツというラフな格好でベッドに転がった。
「流石に午前中からずっと外にいたから疲れたな」
エアコンの効いた部屋でそのままベッドでゴロゴロしていたら夕食の時間になったので、ミスって寝落ちする前に食堂へ向かう為にベッドから起き上がる。
一応ホテルに売店はあるけど、売店に置いてある軽食やお菓子程度では健全な男子高校生のお腹は満足出来ないので、夜中にお腹が空いて寝れなくなるとか悲惨な事にならない為にも食事はしっかりとっておきたい。
「着替えはいいか、面倒だし。このホテル九校戦関係者で貸し切りだし多少ラフでも問題ないでしょ」
軽く伸びをしてから髪に手櫛を入れて適当に整えると、タンクトップの上に薄手の長袖パーカーを羽織り、靴は怠いのでサンダルに足を入れぺたぺたと音を鳴らしながら食堂へと向かうのだった。
……食堂のすみっこで孤独のグルメごっこしてたら市原先輩と渡辺先輩に「頼むから、風紀を乱すな」と怒られたよ。
普通に飯食ってただけなのに、解せぬ。
――大会三日目。
本戦、女子バトルボードに出場していた渡辺先輩が競技中の事故で負傷した。
幸い、命に関わる怪我ではなく後遺症も残らないとの事だったが……マジでやりやがったよ脳無し竜のクソども。
一高の生徒達は事故直後は不安気で暗い雰囲気になったものの、負傷した本人である渡辺先輩が元気な姿を見せたのである程度は落ち着いたっぽい。
日常生活を送る分には問題ないと診断されたとはいえ、無茶をするものである。
だが、本戦ミラージ・バットへの出場はドクターストップがかかったので新人戦ミラージ・バットに出場する予定であった司波深雪が渡辺先輩に代わって本戦へ出場する事になった。
大会の方はアイス・ピラーズでは男子で十文字先輩が、女子で千代田先輩がそれぞれ優勝を飾ったが……優勝候補であった男子バトル・ボードに出場していた服部先輩が予選から不調続きで本来の実力が発揮出来ず、残念ながら3位入賞という結果に終わってしまった。
そして大会は四日目、新人戦へと突入するのであった。
久しぶりに文章書いたから何か違和感あるな……。
毎年、思春期の男女が多数集まる九校戦では頭が茹った男共が真面目なパートナー探しから、ひと夏の過ちの相手などを求めてナンパを行う事が少なからずあり、時には強引に迫るなどの問題が起きていたのだが……どういう訳か今年はとても少ないらしい。
そんな噂を休憩中の雑談でエンジニアの先輩から聞いたお兄様の一言。
「懇親会であんなことがあったんですから無理もありません。自分の好みだと思って声をかけた相手がもし男だったらという恐怖があるのでしょう……まぁ、妹や友人たちが低俗な被害に遭う可能性が減っているなら、俺はそれで構いませんが」
ついでに、何故かホテルの売店へ若者向けの化粧品などの美容関係商品を入荷して欲しいという要望が多数寄せられているらしい。
本当に、何でなんだろうね?
あ、あと大会二日目の夜にどこぞの生徒会長は自分の部屋にはいなかったらしいよ……何処にいたんだろうね?
感想・評価・お気に入り登録等があると作者が喜びますので、よろしければお願いします。