よくよく考えると1つ上の2年生世代って、百家の五十里先輩に千代田先輩。百家傍流のはんぞー先輩を押しのけ首席で合格したあーちゃんパイセンってすげぇよね。
CADオタクでお兄様を秘め称えるために存在しているのかと思えば一定範囲内を対象に精神干渉をかける魔法持ってるし……家の秘伝なのか、自分で開発したのかどっちなんだろうか。
校門前の騒ぎから一夜明け、寝つきが悪かったせいで寝不足気味な頭を無理やり動かし朝食をもそもそと食べていると端末にメッセージが届いていたので確認してみると、七草先輩からのメッセージだった。
昨日の件について謝罪はしたし、向こうも許してくれていたから何だろ?と思ったら……。
『今日の放課後生徒会室に来てね。大事な話をしたいの。ちなみに、七草家の長女で生徒会長の命令だから断っちゃダメだぞ(はーと)』
悲報:俺氏、生徒会長に呼び出しをくらう。
今日ってアレでしょ?
昼休みに司波兄妹を生徒会室に呼び出して、深雪さんを生徒会に勧誘したら「お兄様はすごくすごいんで生徒会入れてよ!」って深雪さんが我が儘ほざいて、「いや、生徒会は二科生入れれへんねん。せや、風紀委員なら二科生でもいけるで。んー、時間ないなったからまた放課後に続き話そか」とお兄様の意向を無視して話を進め……。
放課後は放課後で、副会長のはんぞー先輩が生徒会室に来たお兄様を無視したあげく「ウィードに風紀委員が務まる訳ないやろ」とか「ウィードのくせに生意気だ」と、お兄様に喧嘩を売って。
それにキレた深雪さんを見たお兄様が「うち妹の眼が曇っているとか言われるのは許せん」ってはんぞー先輩の喧嘩を買って模擬戦やる日でしょ、たしか。
何でそんな日に俺を呼び出ししますかねぇ(キレ気味)
しかも、俺が普通に誘われたらだけなら断るのを知ってるからわざわざ七草家の長女で生徒会長命令とか文面に入れてるし。
つか、大事な用事ってなんだよ。昨日の件なら昨日の件で話があるって言うだろうし、俺を生徒会やら風紀委員に入れたいなんて七草先輩が言う訳がないからまるで検討がつかん。
「この文面じゃ、理由もなしに断れないんだよなぁ」
あの人、七草家の名前とか権力を使うのそんなに好きじゃないのに……俺に頼み事とかあるときは容赦なく使うのは何故なんだろうか。
しかも、今日に限って放課後に予定は入ってないし。
仮に断るとなると絶対に理由聞いてくるよな、面倒くさいから行きたくないって言ったりしたら七草先輩がブチ切れそうだから後が怖いんだよなぁ。
…………仕方ないか。
「あ、待てよ。原作通りはんぞー先輩とお兄様が模擬戦をやることになるなら、時間をずらして行けば生徒会室から人がいなくなるし、面倒な話とかから逃げられるのでは?」
ナイスだ俺よく思いついた、この案採用ですわ。
朝食の片付けを行い、七草先輩に返信して荷物を持って家を出る。
俺の登校時間は結構ギリギリなので割と真面目な原作主要メンバーなどに遭遇することなどはなく、もうちらほらとしかいない一校生と共に校門をくぐって校舎に入り、学校側へ登録してあるCADだけを専用窓口に預けてから自分の教室に向かう。
生徒全員がCAD持って来ているのかは知らないけど、毎日600人弱のCADを預かって間違えずに返したりするのは大変だよなぁとか考えながら教室に入り、適当に目が合ったクラスメイトに挨拶だけして自分の席で端末を開く。
ふと視線を感じたので顔を上げると、司波深雪さんと光井ほのかさんと話していた雫と目が合ったので挨拶代わりに片手を上げると手を小さく振り返された。
相変わらず表情に起伏がないのに可愛いな。しかし、雫に挨拶返されただけなのに何故かクラスの何名かに睨まれたんだが、何故に睨まれたんだろう……。
その後は担当教官にバレない程度に内職を進めたり、休み時間にクラスメイトと浅い交流をしたり、過去の面白そうな小説やら論文を読み漁ったりして1日の授業を終えた。
ちなみに、昼食後には何処かから教室に戻って来た深雪さんが心なしウキウキしてたから原作通りお兄様は風紀委員に誘われてると思われる。
放課後にはわざわざ一科生の教室まで迎えに来たお兄様と一緒に行ったので、計画通り少しだけ時間を潰してから生徒会室に向かいますかね。
教室で少し時間を潰し、のんびりとCADを取りに行けば丁度いい感じになるはず。
生徒会室の皆が模擬戦やる為にさっさと演習室に行っていることを願うが、もしまだ生徒会室にいて七草先輩に「遅い」とか言われたら「この学校無駄に広いし、まだ校内にまだ不慣れで生徒会室がわからなかった」とか言っとけばいいでしょ。
CADを受け取り若干遠回りしてから生徒会室に到着したのでインターホンを押す、反応なし。
もう一度インターホンを押す………………よし、反応なし。
「いやーこまったなー。せいとかいしつにはだれもいないみたいだー(棒読み)」
計画通り。
七草先輩には学校を出た辺りで『ちゃんと生徒会室に行ったけど誰もいなかったので帰ります』とメッセージを入れておこう。
いやー、完璧な計画でしたわ。これで、俺の平和な日常は保たれるぞ。
原作関連の面倒くさい出来事は当事者だけでやっていて欲しい。
「あら鋼くん、
すげぇ聞き覚えのある声が聞こえたぞ、おい。
平和な日常が崩れ落ちる予感をひしひしと感じながら振り返ると、七草先輩が良い笑顔を浮かべて立っていた。
随分と圧のある笑顔なことで、気の弱い下級生とかが見たら泣いちゃいそうだ。
「………………ごきげんよう、七草先輩」
「えぇ、ごきげんよう十三束鋼くん」
うわぁ、これは大分お怒りですわ。
こうなった時の七草先輩ってかなり面倒くさいんだよなぁ。
「さて、時間もないから行くわよ」
有無は言わさぬとばかりに七草先輩に手を掴まれ、引っ張られるように歩き出す。
「いや、まず何処に連れて行かれるのかとか説明して欲しいんですが。あと、手を放してくれません?」
七草先輩いわく、原作と同じで俺の予想通りにはんぞー先輩が司波兄妹に喧嘩を売り、お兄様が喧嘩を買って模擬戦で白黒つけることになったと。
その模擬戦に何故俺まで連れて行かれるのか聞いたら、模擬戦が終わるまで待たせると間違いなく俺が勝手に帰るからと。俺の事をよくご存知ですね、待たされるなら普通に帰ってますわ。
あと、目を離すとすぐに何処かに行くからこのまま手を繋いで演習室まで連れて行くらしい。解せぬ。
新入生はまだ部活勧誘前でさっさと帰ってるとはいえ、上級生は部活なりなんなりで結構残っているはずだから、誰かに目撃されて噂になったらどうしてくれるんだ。
その後も、演習室に着くまで延々とはんぞー先輩の愚痴を聞かされたが、はんぞー先輩が生徒会にいるのを許容しているのは七草先輩であり、今日までに
「おまたせ、みんな」
結局手を繋がれたまま演習室に入ると、まぁそうなるよねって感じに先に演習室にいた面々からの視線が繋がれた手に集中した。
面白そうな物を見たって顔してるのが渡辺先輩、この人は千葉家の次男から写真を見せられて惚気られたことがあるので顔は知っている。
どうでも良さそうな顔をしているクールビューティーが多分市原先輩で、顔を赤くして小動物みたいにあわあわしてるのが中条先輩かな?
あとは、何故ここに十三束が?って顔をした司波兄妹と、むっちゃ敵意を向けて睨んで来た男がはんぞー先輩か。
「1-Aの十三束鋼です。
七草先輩と俺が未だに手を繋いでるのをじっと見てめっちゃ嫉妬してるっぽいのが面白いので、ちょっと七草先輩を名前呼びしてはんぞー先輩の方を煽ってみる。
さっき、散々はんぞー先輩の愚痴を聞かされたので意趣返しですわ。
「もう。生徒会長って立場もあるから、学校ではちゃんと先輩で呼んでね
俺の意図を察してくれたのか、ノッてくれる七草先輩。いい性格してんなぁ本当に。
ほら、はんぞー先輩が愕然とした顔してるぞ。これから模擬戦なのに、始まる前から戦意ガタガタになったのでは?
というか、いい加減放してくれませんかね?流石に此処まで来たら逃げたりしないんで。
「真由美と十三束のことは後で問い詰めるとして、時間もないし始めようか」
渡辺先輩の声かけでお兄様とはんぞー先輩が準備を始めたので、七草先輩に繋がれた手を放してもらって演習室の壁を背に座り込む。
興味なさそうに座り込んだ俺を見て、周囲が何やら言いたそうな顔をしていたが、何も言ってはこなかった。
さてさて、原作通りなら一瞬で終わるはずだけど、せっかくなので最強お兄様の実力を見せてもらいましょ。
「準備はいいな…………では、始め!!」
開始の合図と共に、お兄様がはんぞー先輩の背後に回り込み拳銃の形をした特化型CADをはんぞー先輩の頭に向け、引き金を引いた。
はんぞー先輩はそれで気絶したのか、何も出来ずに倒れこむ。
顔からいった訳じゃないけど痛そうな倒れ方したなぁ。
「そ、それまで」
予想外過ぎる決着だったのか、はんぞー先輩が倒れ込んで少ししてから審判をしていた渡辺先輩の声がかかった。
動きはっや。はんぞー先輩が二科生だと見下して侮っていたのもあるんだろうけど、『縮地』がこれだけ綺麗に出来る高校生がいるとか普通は予想出来んわな。
お、原作みたいに深雪さんの「お兄様はニンジャマスターココノエの弟子なのであれぐらい当然ですわ」って感じの説明と、お兄様の「学校では、評価されない項目ですからね」のドヤ顔いただきました。
どうでもいいけど、司波兄妹が説明してる間に誰もはんぞー先輩の心配してないのは自業自得とはいえ、ちょっと可哀そう。
あ、はんぞー先輩が起きたけど七草先輩にからかわれてる。いじられキャラとして優秀だな、中条先輩もだけど七草先輩って自分がいじりやすい後輩を生徒会に選んでない?気のせい??
「鋼くんは、いまの模擬戦見てどう思った?」
あ、七草先輩からこっちに質問が飛んできた。
いまの模擬戦を見てね。んー、正直に言っとけばいいか。
「魔法技能については俺は何も言えないのですが、体術に関しては高校生でアレだけの『縮地』が出来るなら風紀委員としては問題ないんじゃないですか?風紀委員の役割なんて精々校内で不正に使われた魔法の摘発に小競り合いの仲裁くらいでしょうし。殺傷性ランクB以上の魔法の撃ち合いしている中に突っ込むとからじゃないなら大丈夫じゃないですかね」
まぁ、原作だとお兄様は殺傷性ランクBの魔法を使ってる相手を素手で制圧したりした訳ですが……。
前世で妹が言っていた「杉〇が自慢の剣を
いくら刀に当たる部分にしか魔法がかかっていないとはいえ、何のためらいもなく殺傷性ランクBの魔法を使っている奴を相手に出来る胆力は普通の高校生としてはおかしいよお兄様。
そんなことをつらつら考えていたら演習室の面々が静かに俺を見ていることに気が付く。
お兄様とか微妙に目を細めて俺を見てるけど、それ警戒してますよね?
「鋼くん、『縮地』って何?」
え、そんなこと言われても『縮地』は『縮地』なんだけど……もしかして、変な事言った??
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