鋼は錬金術師   作:むつきばな

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タグに男の娘がついてる理由がこれ。



入学編らしいよ Ⅴ

 

「いや、本当に申し訳ないです」

 

かなり微妙な空気になってしまったまま演習室の利用時間が終わってしまい、現在はぞろぞろと生徒会室へと移動中である。

 

はんぞー先輩は何やら用事があるとかで先に帰ったからいないけど。まぁ、憧れてる七草先輩の前でお兄様をコケにしたのにあっさり模擬戦で負けたのが悔しかったり、差別意識丸出しにしてたので差別反対な面子と一緒にいるのが気まずいのだろう……多分。

 

あと俺まで生徒会室に行く必要はなかったんだけど、流石にあんな空気にしておいて1人で帰る事は出来なかったので仕方ないね。

 

「気にしなくていいのよ。鋼くんの話はもっともな事だったし、本気で一科と二科の溝を無くすことを考えるなら想定しておくべき内容だったのだもの」

 

そうは言ってもなぁ……流石にあんな空気にしちゃったのは申し訳ないんだよなぁ。

 

仕方ない、少しばかり身を切るか。

 

「じゃあ……俺なりのお詫びって訳ではありませんが、渡辺先輩達には七草先輩を揶揄えるネタを提供しましょうか」

 

重苦しい空気を変えるには、面白いかも知れないネタを話すのが一番いいよね。

 

犠牲となる七草先輩には後で渡辺先輩を揶揄えるネタを提供するので許して欲しい。

 

提供元は彼氏である千葉家の次男様なので信憑性は抜群ですわよ。

 

「渡辺先輩は先程俺と()()()()()の関係が何なのか問い詰めるって言ってましたよね?問い詰められるの面倒なのでこちらか明かしてしまいますが、簡潔に言ってしまうと俺は真由美さんの婚約者候補の1人なのですよ」

 

先程までの重苦しいは確かに変わった。

 

驚愕した顔で俺に振り返った七草先輩と、悪い顔になった渡辺先輩の対比が実に面白いなぁ。

 

他の面々も興味はあるらしい、そういうのが気になる年頃の女子ばかりだからかな?お兄様は相変わらずの仏頂面だったけど。

 

「ど、どうして言っちゃうのよ鋼くん!?」

 

「さっき演習室に行く時に俺の手を取って校内を歩き回った事を忘れてます?実際、何名かの生徒に目撃されてたんですよアレ。生徒会長で七草家の御令嬢の真由美さんが見知らぬ男子と手を繋ぎながら校内を歩いてたとか、遅かれ早かれ面倒そうな噂が流れそうなんで、こちらから先に言っておこうかと」

 

高校生男子の平均身長より低くて、そこそこ長い髪をした女みたいな顔した男子生徒なんて俺くらいしかいないでしょ。

 

なら特定するのは容易だろうし、特定されたらされたで十三束家なら家格的に七草家と婚約を結んでもおかしくはないので婚約者とか候補って噂が流れるのも時間の問題なのよね。

 

しっかし、原作の十三束鋼くんは怒っても迫力がない顔とかって描写されてたのに、どうして俺は女の子寄りの中性的な顔になったんだか。

 

何度か悪ふざけで女装させられたことがあるが、マジで女装したら女の子しか見えんのよね……ゴスロリ着て『ヨルちゃん』か『ヤミちゃん』って名乗ってやろうか?やったら黒羽か四葉に殺されそうだからやらないけど。

 

「それは……そうかも知れないけど!!」

 

「どのみち、俺との婚約は五輪家とか十文字家とかの十師族内での婚約が結ばれなかった場合かつ、俺に婚約者が出来なかった場合とかいうほぼないような物ですし」

 

前世でたまにあった30歳までにお互い結婚してなかったら結婚しようぜってのと似たようなものだ。この世界では貞操観念やら何やらが変わり過ぎて聞く事はなくなったけど。

 

ついでに言えば魔法師は早婚が割と望まれていて、高校生は流石に聞かないが、大学生くらいだと結婚や出産をする人も珍しくなかったりするので……俺が高校を卒業するまでに七草先輩に婚約者が出来なかったら、たぶん有無を言わさずに婚約させられると思う。

 

世代を重ねる事に魔法が遺伝子に馴染んでより強力な魔法師が産まれるから、魔法師はさっさと結婚して子供を作りましょう。優秀な魔法師なら愛人もアリだぞってエロゲみたいな理論がマジであるくらいだし。

 

魔法師的に欠陥以外は割と優秀な方である俺に3人いる娘のうち1人を差し出すだけで、莫大な資産と表社会への影響力を持つ十三束家と繋がりが出来る七草家と、俺の欠陥が埋められるであろう母体と、一度も十師族から落ちた事がない名家と繋がりが出来る十三束家。

 

本人達の意思を無視して家同士が求める政略結婚の相手としては、お互いが最適過ぎるのよね。

 

「でもでも!みんなの前で言わなくてもいいじゃない!?」

 

「真由美さんに対する意趣返しもありますからね。真由美さんがさっさと婚約者決めてくれないと、俺は自由に恋愛も出来ない身ですし……あと、このまま真由美さんがズルズルと婚約者を定めずにいたら、ご当主が泉美ちゃんか香澄ちゃんを俺の婚約者にねじ込んで来そうなので」

 

あの腹黒タヌキ親父なら、姉が無理そうなら下の双子のどちらかでいいやろとか考えて本当にやりかねない。

 

「え…………鋼くん、恋愛とかする気あったの?」

 

「現状はないですよ?一応は十三束家の跡取り息子にされてますから自由恋愛とか望めないので。ある日突然俺の性癖ドストライクの人が目の前に現れたら恋に落ちるかも知れませんが、そんなの期待は出来ませんし。だから、正直に言ってしまうと泉美ちゃんも香澄ちゃんも嫌いではないですが、七草家の娘と婚約するなら真由美さんが欲しいですね……まぁ、無理なら無理で諦めるんでさっさと婚約者を作ってください」

 

あの双子も嫌いじゃないし仲も悪くはないんだけどなぁ、ボクっ子ツンデレ気質の香澄ちゃんも可愛いし、声がかなり俺に刺さるおっとり泉美ちゃんも可愛いんだけど……胸部装甲が七草先輩と比べると大分足りていない。

 

あの双子と七草先輩は3つ歳が離れてるけど、3年前の七草先輩と比べてもかなり薄いのよね。悲しいことに。

 

七草先輩という成長例がいるから今後成長する可能性もなくはないと思うのだけどさ。そんな不確かな可能性に夢を見るくらいなら現状とてもある方を望んでしまうのは、ヒトの業であろう。

 

大きいのは良い文明、小さいのは悪くない文明なのですわ。

 

「ん?どうかしましたか皆さん?」

 

「十三束、いまお前凄い事言わなかったか?」

 

何ですか渡辺先輩、別に凄い事なんて……あぁ、側から聞いたら凄い事になるのかコレって。

 

「ここまでハッキリ言わないとこの人は俺を弟扱いしかしないので。まぁ、定期的に似たような事は言ってますので真由美さんもいい加減慣れてると思いますが」

 

いつも人を弟か、下手すると無理矢理に女装させて妹扱いしてからかってくるからね。そんな自称姉にはこれくらい言ってもいいやろ。

 

七草家で無理矢理女装させられ、香澄ちゃんに「わ、私より女の子っぽい」と言われ、泉美ちゃんに「お姉様になって欲しい」と言われた時にはマジでへこんだので……せめて男扱いはされたいってのもあるが。

 

「真由美、お前」

 

「言わないで……お願いだから今は何も言わないで摩利」

 

何やら恥ずかしそうな真由美さんの声も聞こえてきたが、無視ですわ。

 

そんな話をしていたら生徒会室に着いたので風紀委員の詰め所に向かう渡辺先輩とお兄様をお見送り。

 

生徒会室で一生懸命雪の女王(深雪さん)に仕事を教えている小動物(あーちゃん先輩)、我関せずと黙々と作業をする市原先輩を眺めながら自分のプライベートな仕事の事とかをしてたら結構いい時間になってた。

 

「そろそろ帰りますね。あ、真由美さん。以前偶然出会った千葉家の次男さんからアホ程惚気られた彼の恋人についての話題があるんですが、聞きます?」

 

「聞くわ、是非教えて」

 

食いつきがはえーよ。

 

とりあえず、いま話すと一生懸命作業をしている面々に悪いので端末に後でメールすることを約束し挨拶をしてから生徒会室を出る。

 

いやはや、なんとか生徒会と風紀委員に入らずに済んだ。

 

数日後。

 

渡辺先輩から七草先輩に何を話したーだの、何で十三束がそんな事を知っているだーって怒られたけど……いや、普通に先輩の彼氏と会った時に惚気られたからって答えたら何故か愕然とされた。

 

結構前から俺は千葉家の長男と次男とは知り合いなんだけどなぁ……聞かされてなかったのか。

 

しかし、いくら彼氏さんが大好きだからって彼氏の誕生日に自分にリボン付けて「プレゼントは私だ」した話は面白過ぎるから仕方ないやろ。

 

あと、バレンタインにチョコを自分の口に咥えて彼氏に食べさせようとした話も。

 

「先輩って見た目と普段の言動の割に実はかなり乙女ですよね。ギャップ萌えってヤツですかね……彼氏さんも嬉しそうに話してくれましたよ。あ、でも整理整頓はきちんと出来るようになった方がいいですよ?」

 

余計な事まで言い放ったせいで顔を真っ赤にした渡辺先輩に追い掛け回された。

 

まぁ、余裕で逃げ切ったけどさ。

 

 

 





鋼くんの身長は七草先輩より高いが渡辺先輩より低いです。

女顔なのはギリ許容出来るが、高校生男子の平均よりかなり身長が低いのがコンプレックス。

ただ、普段から鍛えているので脱ぐと結構凄い細マッチョ体系。

髪は肩甲骨くらいまであり、一応理由があって伸ばしている。

中学時代、学園祭で行われたミスコンに無理矢理参加させられ優勝したことがあり……何人かの性癖をメタメタにした。



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