ホロウの中で人のGO!を咎めるおじさん   作:究極の出来損ない

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人のGO!

信じたくないし、どうして私がこんな終わりかけた世界に転生させられたのかもさっぱり解らないが、1つだけ言えるとしたら私はこの世界・・・ゼンレスゾーンゼロをプレイしていたプレイヤーだったという事か。

 

誰かをカンストしたとかは特にないが、ストーリーはかなり気に入っていた部類だったが・・・自分がこの世界で生きたいとは微塵も思っていなかったのに、現実は自分が想い描いていたものより更に複雑だった。

 

 

「プロト1!前に出て特殊兵装を使用する事を許可する!善良な市民の為に身を粉にして働くのだ!貴様の命はその為だけにある!」

 

 

幾度か前世に映像内で見たエリー都の軍装を身に着けた偉そうな男が、私に向かって御高説を話して下さる。原作でも見たことのない男だが、私の意識が覚めてから何かとご命令を下し、私という道具を管理している上官殿だ。

願わくば、この手で引き裂いてやりたいものだがね。今の私には残念ながらそれができないのだよ。

 

心臓にリモコン式の爆弾なぞという下らん首輪を嵌めさせられているものでね。幸いにも市民の命、というか誰かを護る為に戦うというのは、存外私は好きだったらしく不満に思った事はない。軍での秘匿された道具扱いやら、人権が見えない様な横暴な扱いは大いに不満だが、私がこいつを殺したいのは違う理由からだ。

 

こいつは讃頌会と繋がっている。この男が言うには私はとある人物のクローンらしい。クローンの技術も発展途上の為、成人の男性として設計されたにも関わらず、不具合なのか何なのかは知らないが私は青年と言える程度の年齢で生産されてしまった。

 

 

まあ、今はそんな事より目の前の敵を如何にかするか。

 

 

「行けっ!ファンネルッ!!」

 

 

私の脳裏に描く軌跡に沿って、背中に背負った複合機能バックパックから円錐状の機械が複数、展開されて宙を舞う。目の前にいる緑や赤の蛍光色に発光する生物や無機物の成れの果て・・・エーテリアス共を囲う様に配置し、イメージ上の引き金を引く。

 

独特な発射音を上げながら、黒と紫のビームがエーテリアス共のコアを穿っていき、体が虚空へて塵に還りその生涯を終えていく。

どうやら私はオリジナルには劣るが、エーテル空間やエーテル体に対する特殊なアプローチができるらしく、この様なガンダムで見た事のある無線誘導式の兵器を脳波でコントロールしてホロウ内や戦場を走り回されている。

 

 

と言うかこのような武装、どちらかというとエーテリアス側が使ってなかったかね?変異ポンペイとかそこらへんが。

 

残った敵を周りにいた兵士達の一斉射撃で駆逐して、周囲をクリア。私は、誘導兵器の操作による頭の鈍痛を無視しながら展開した誘導兵器・・・(便宜上ファンネルと私が呼称したら、周囲に定着した)をバックパックに戻していく。

戻しながら、右手に握った巨大なライフルを片手で保持して前進する。

 

 

「指揮官殿。これより私は先行して、救助を待つ市民を救出しに向かいます」

 

 

「宜しい!後は貴様の判断でくれぐれも先方を確実に迅速にお救いするのだ!武装のロックは全解除してある!行け!」

 

 

上官殿の許可の元、私は救助任務の先駆けとしてバックパック後部のスラスターを起動して、駆け出す。

この背負ったバックパック・・・こいつら曰く、ウィザードシステムとかほざいていたが、今はどうでも良いか。

気乗りのしない任務をさっさと終わらせて、束の間の僅かな休息に戻るとするか。

 

 

瓦礫だらけの廃墟と化したホロウ空間をスラスターを駆使して、飛び跳ねる様に目的地へと急行する。オリジナルと同じく私は一部の超感覚的機能が突出している様で、ホロウ空間であろうと目的地を間違えたこともないし、迷う事もそうない。

なんとなく、自分の行くべき道と、目的地、そして敵の行動や数が脳裏に浮かぶのだ。ホロウレイダーや、プロキシ、というよりホロウで活動する者には喉から手が出る程欲しい能力だろう。

 

 

欲しければ、私と同じくまずはオリジナルのクローンになるところから始めねばならぬが。

 

 

道中で私を視認した上級エーテリアスのタナトスを行きがけの駄賃代わりに、右手のエーテル圧縮式ビームライフルで顔面のコアを二発撃ち放ち、虚空へと還す。

このビームライフル、実は私が造った兵器だ。まぁ、他の兵士に使えぬ様に細工がしてあるし、そもそもデメリットとして、発射時に周りの空間に高濃度のエーテル粒子体を放つ為、周りの物体の浸食度を劇的に上げてしまうのだ。

 

それは人体だろうとお構いなくな。故に、私や一部の抵抗値が高い者しか使えないのだ。

お陰で、このライフルを使いたいという者は今の所いない。

 

前世はガンダムが好きだったのも好じて、この世に生を受けて1年程になるが、私専用の兵装を開発して使用している。

讃頌会所属のクズ共が、何とか解析して量産しようとしていたが、そもそもどういう理由か知らぬが、私はオリジナルやこの世界の一般的な者達と違って浸食というものが、そもそも発生しない。

人の体を捨て新生し、新しき人類になると大層な目的を掲げているが、原作で言うところのサクリファイスだったか。あれすら現時点で開発出来ていないらしい。だから意識を保ったまま再創とやらができないらしい。故に、奴らは使用できない。

 

 

ざっこ。讃頌会潰すわ(何時か)

 

 

そんな事を考えながら、今の私の上官と癒着している讃頌会の重要人物とやらを前方に確認し、それを護るマフィアのような恰好をした馬鹿共を発見し、内心で中指を立てる。

 

世を忍んで事を成そうという目的の連中なのになぜ、ああも疑われる様な出で立ちで現れているのか本当に理解が及ばん。滅べ。

 

 

だが、今は救出しなければ成らぬしな。うむ。だが、滅ぼしたい。

 

 

「聞こえるか!こちらはプロト1!これより周囲の脅威を排除する!巻き込まれたくなければ自衛以外に動くな!」

 

 

声を張り上げ、馬鹿共の集団に警告を発してからファンネルを展開して、周囲のエーテリアス共のコアへとそれぞれ、意思の波を用いて空間上の全てを把握して照準を合わせていく。

張り詰める緊張が、私の意思を機敏にファンネルへと伝え、重力を無視した独特の軌道で浮遊し、それぞれの最適な配置につく。

 

 

「あたれぇっ!!!」

 

 

意思の決定により、見慣れてきた黒紫のビームを、配置についたファンネル達が射出してコアを次々へと穿っていく。

 

周囲を汚染というか、面倒だ。汚染で良い。汚染するこれらの兵装を仮にも友軍の近くで使用するのはどうなのかという疑問は湧くが、除染程度はホロウ外に出て治療を行えば、幸い、不幸にもか?出来るので、今は周囲の一掃を迅速に行ったわけだ。

 

 

ファンネル使用と空間を掌握する為に放射したサイコウェーブのフィードバックを、不愉快な感覚と痛みとして頭に叩き付けられながら、重要人物達の目の前でスラスター機動を止め、敬礼する。

 

 

「到着が遅れて申し訳ありません。ご無事でしょうか?」

 

 

心にも思ってない事を吐き出しながら、未だ展開したファンネルを自分の周囲で停留させ、何時でも射撃できる様にして置きながら返事を待つ。

そもそも、この護衛の馬鹿共がもう少し使えたら私は出撃しなくても良かったのだがね。

 

 

「いやなに、君の仕事が早いから怪我はないとも。大佐はこちらに向かっているのかね?」

 

 

「はっ、救援シグナルを受け私が先行した形となりますが、全て大佐のご指示です。少々、遅れて到着なさるかと」

 

 

重要人物、人好きのする様な笑みを浮かべた一見、好印象を受ける柔和な男だが、私にはその男からどす黒いドブを煮詰めた様な粘着質な、気味の悪いオーラを感じ取っていた。

表情を変えぬ様に意識しながら、質問に丁寧に返答する。

 

 

「おっとそうだ、そうだ。私とした事が、忘れていたよ。倒れた者をこちらへ。始まりの主の御許に召される様にお祈りしようじゃないか」

 

 

「まっ・・・まってくださ・・・治療を・・・」

 

 

 

「始まりの主は君を救って下さるよ。きっとね」

 

 

止める間もなく、柔和な笑みを浮かべたまま自然な動作でスーツの懐からハンドガンを取り出し、引き摺られてきた倒れていた護衛に数度発砲して殺害し、荒れた道路に血が染み渡っていく。

そして男は、懐にハンドガンを納めると、形だけの簡素な祈りを始まりの主とやらに捧げて周囲の生き残った護衛の戸惑った表情や、仕草を楽しんでいる様子だった。

 

 

 

原作に登場していない様な男だが、警戒は厳とする。この様な悪意を放つ人間が、防衛軍と讃頌会になんと多き事か。このホロウとてそうだ。零号やらラマニアンではないが、そこそこ規模の大きなホロウだ。災害にゴミのような人間。つくづく思ってしまうが・・・

 

 

 

 

―――――――本当にこの世界は地獄だな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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