ホロウの中で人のGO!を咎めるおじさん   作:究極の出来損ない

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死を背負う

「何としてもプロト1を捕縛しろ!奴の持つ能力を解明すれば、我等はこの滅び行く世界の抗う(すべ)を手に入れられるのだ!!奴のこの1年の活動記録がそれを証明しているっ!!」

 

 

連中を指揮している隊長格からの歓喜に満ちた、威勢の良い号令に周りの士気が異様に、空間を押しやる程の重圧(プレッシャー)となって私の体に襲い掛かる。

 

 

―――――希望、嗜虐的な喜び、優越感、私に向けて感じられるだけの嫌な感情の濁流を、この肉体から溢れ出す憤怒が、真っ向から奴らの下卑た感情の奔流を堰き止め、私の体を突き動かす・・・!!

 

 

手にしたXRAYを捕縛目的で押し寄せて来る近接武器を振りかざす隊員達に、次々と照準が合う度に焼き滅ぼしていく。

 

一番間近の剣を持った男の頭部を消滅させた。頭部を失った男の背後から、こちらに突きを出す槍の男の槍を空いた左手で掴み取り、脇に抱えて動かせぬ様に固定して、腹部と胸部に二連射。

 

走る勢いのまま、弾ける様に四肢と頭部だけ宙を舞った死体に視線も向けず、死体を巻き込みながら弾丸の壁となって押し寄せる一斉射をスラスターを全開にして飛び退きながら、忌わしき研究所の壁を蹴りつけ、天井付近へとスラスターの残存燃料が半分程になるまで消費されたのを、防弾ヘルメット内のHUD越しに消耗したのを苛立ち混じりに確認しつつ、上昇して行く。

 

奪い取った槍を跳び上がる数舜前に、私の居た場所に押し寄せる後続の一人に投げつけ、弾こうと剣を飛来した槍と交差させて、火花を散らして弾いた直後に射撃。崩れ落ちる兵士を一瞥し、スラスターのノズルを思念操作で調整して、逆噴射。

 

 

「おおぉぉぉぉっ!!!」

 

 

コロッサスの左後方のポッド群を盾に猛烈な射撃を加えてくる兵士達に、心の奥底から漏れる雄叫びと共に降下する勢いを加算させながら、右足に全体重と最早、誰の目にも目視出来るまでに高められた思念の放出が、この魂の震えに呼応して凝縮されていく。

 

 

―――――私は!アムロやシャアやカミーユの様に誰かを導いて行ける様な高尚な存在でもニュータイプでもない。でも、この授かった力を通して、私のエゴを押し通す事は出来る!!!

 

 

 

今この瞬間を、精一杯に戦い抜いて、生きてあの人達に会うのを諦めてはいない!

 

 

だから・・・未だ生まれぬ兄弟達よ。この、先に生まれただけの不甲斐ない兄を恨め・・・!お前たちの怨嗟は、責め苦は地獄で必ず私が受けるっ!!

 

 

 

「でああぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

 

 

 

右脚の爪先へと全集中したサイコウェーブが眩く紅い輝きとなって降下蹴りの威力をあり得ない程に引き上げ、集団の中央にいた兵士を蹴りで粉砕しながら轟音と共に着地する。

金属製の床が陥没し、施設全体が揺れる程の衝撃を与えながら、ダメ押しとばかりに、右脚に怒りを載せて更にサイコウェーブを放射すると、自分を巻き込む規模の爆発が発生する。

 

 

肉片や機械の残骸だらけになった周囲の中、着地した姿勢からゆっくりと立ち上がり、自らの身が爆発で焦げ付いたのも関わらずに凍り付いた様にこちらを凝視するコロッサスを睨み付ける。

 

 

「はっ・・・ははは・・・何だ。その力は・・・データには無かったぞ・・・?!」

 

 

冷や汗を流しながら俺を見るその顔が、恐怖に引き攣っているのがよぉく解る。発せられる思念からも手に取る様に焦り、怯え・・・俺を心底恐れているのが良く見える。

 

ヘルメットが爆発の影響で吹っ飛ばされて、焼けてしまった顔が先程の火傷で引き攣りながらも、口を開く。

 

 

「貴様等には分かるまい。この俺の体を通して、溢れ出す怒りの力が・・・!!!」

 

 

何所までも自分勝手な都合で、もうポッドから出て意識が覚醒すれば生きて行ける程までに成長していたクローン達を、敵諸共、粉微塵にしたのは俺だ。

生まれてしまえば洗脳されて、俺と戦わされるかもしれない。望まぬ殺しや、歪んで育って讃頌会の意のままに動く忠実な駒になった光景が脳裏を鮮明に過ぎった。

予測が、予感が、俺の脳をザラザラと荒く擦り上げたのだ。この場面を逃せば確実にそうなると。

 

 

こんな形で未来を知りたくなかった。

 

 

俺と違って、みんな、普通に生きて欲しかった。でも、駄目だった。微弱に発せられた無意識化の彼らの、表層意識に、黒い靄が・・・悪意が渦巻いているのを感じてしまった。

 

ほんの僅かな感知で、そう感じてしまったなら・・・命を摘まざるを得なかった。

 

 

俺の体から嵐の様に噴き上がるこのサイコウェーブは、身勝手に兄弟を殺した怒りからか?悲しみからか?それすらもわからない。胸の内が掻き混ぜられた様に重く、苦しくてしょうがない。

 

 

「があああああぁぁぁぁぁっ!!!!!」

 

 

耐え難い衝動にXRAYを足元に放り投げて、ボディーアーマー越しに両手で胸を何度も搔き毟る。苦しい。悲しい。痛い。死ねない。死にたい。殺したい。

宙を漂い、照準も合わせていなかったファンネルがバチバチと音を上げてショートしていく。ファンネル、俺の体を通して紅い輝きが、臨界寸前まで稲妻を散らして膨張して行く。

 

 

「た、退避ぃぃぃっ!!!」

 

 

「俺たちは一体何を相手にしてるんだぁ!逃げろぉぉぉお!!」

 

 

「素晴らしい・・・!その力、何時か我々が・・・私がっ!」

 

 

 

――――――――――俺が最後に覚えているのは、周りの最期の思念によって暴走した、超常的なサイコウェーブの奔流・・・命の慟哭とでも名付けるべき、施設全てを焼き払った紅く輝く眩い光だけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

「小隊、現着。大規模な爆発現場の調査に入る」

 

 

「了解。実験体の生死に拘わらず、連れて帰ります。どうやら、一足遅かったようですが・・・」

 

 

「実験体の装備の破片と思わしき誘導端末、バックパック、ライフルの焼き焦げた残骸を確認・・・。血痕多数。生死の判断が出来ません。隊長、これは爆発の影響で蒸発した可能性があります」

 

 

「遅かったか・・・。残骸を回収して、撤退する。先に捕縛した大佐殿から詳しい調書を取る。生存者はなし。繰り返す。生存者なし。撤退だ」

 

 

 

 

 

 

―――――――――――揺蕩う水の中を、焼け焦げた死体らしき物体がプカプカと力なく流されて行く。宛てもなく、大海へと向けて。それと離れて、スーツだった襤褸を着た死体の様な何かも岸部付近で力なく漂っている。

 

 

焼けたものは、海の沖へと姿が消え、襤褸のものは迷う様に岸辺を漂う。周囲に憎しみと悲しみだけを残して、戦場となった名も知れぬ原生ホロウは沈黙を保ち続けていた。

潮の流れが、焼け焦げたものを運命が導くかの様に沖へ、沖へとその姿を運んで行き原生ホロウの境界を越えて、何所かを目指す様に確かに進ませて行く。

 

 

焼けたものの意思は失せ、流れていく。流されて行く。何所までも・・・どこまでも・・・・。

 

 

 

 

傍らに紅い仄かな残光が、意識が消えた彼に纏わり付いて離れなかった。まるでその身を案じる様に。ゆっくりと彼の周囲を漂って、行く末を見守る様に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――あたたかいものにつつまれてる。まるで母の抱擁の様な安堵と安心感を与えてくれる様だ。私は、俺はどうなった?コロッサスは殺せたか?あの施設を潰せたのか?

 

暗闇の中、私は、漂っていた。何処を彷徨えど、一面中何もなく暗闇ばかり。きっと意識が消えている間の白昼夢とかそんなものだろうと適当に当たりを付けてから、なんとなく、何が起きたのかを整理する。

 

 

最後は、悪意と死の叫びによる感情の洪水で、私の力が暴走した。そこまでは分かるが、あそこまでの出力は生きてきて、初めてだ。

と言うか、なんとなく感覚で使ってきていたが私のこの力はニュータイプの様なものと思っていたが、本質は違うのかもしれない。最後ら辺の蹴りなんか、カミーユのスイカバーイメージしたのになんかライダーキックみたいになってたし。

 

暗闇に胡坐をかいてうんうん唸りながら、あったかいものに体が包まれているのは感じるが、意識が戻らないのは多分、最後に使ったサイコパワーのフィードバックがデカすぎて、精神が焼け付いたから体が休養を必要としている為と思う。

 

 

まぁ最後は爆発オチだったしな。ガハハ!

 

 

笑い事じゃないが?なんだあれ。培った戦闘技能の一切無駄にする暴挙だったが?なんなのこの力。

 

 

 

 

・・・恨み言は死んでから聞く。だから、今は干渉してくれるな。兄弟達よ。

 

 

 

私はこの罪を背負って生きるよ。まだやる事も、やりたい事もあるからな。

 

 

 

おやすみ。良き眠りを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




うまくまとまらなかったのでちょい短め。

お詫びにビリーのケツをしばくと良い。
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