ONE PIECE 〜船大工レイン〜   作:ペンギンって可愛いですよね

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第百二話「男たちの宴」

 

その日の夜。

 

レイン商会では盛大な宴が開かれていた。

 

トムの来島に続き、まさかのガープ来島。

 

島民たちは完全にお祭り気分だった。

 

広場には大量の料理が並び、酒樽が次々と空になっていく。

 

職人たちは歌い、漁師たちは騒ぎ、子供たちは走り回る。

 

島中が笑顔に包まれていた。

 

そして宴の中心には二人の怪物がいた。

 

「わっはっはっはっは!」

 

「肉じゃ!肉が足りんぞ!」

 

ガープが山盛りの肉を頬張る。

 

その隣ではトムが酒樽を片手で抱えていた。

 

「ガハハハハ!」

 

「お前さん、本当によく食うのう!」

 

「お前も飲みすぎじゃ!」

 

初対面とは思えないほど意気投合している。

 

レインは少し離れた場所からその光景を眺めていた。

 

正直な感想を言うなら。

 

怖い。

 

海軍の英雄。

 

世界最高峰の船大工。

 

どちらも怪物だ。

 

その二人が楽しそうに酒を飲んでいる。

 

周囲の島民たちも若干引いていた。

 

「レイン!」

 

「こっち来んか!」

 

ガープが大声で呼ぶ。

 

嫌な予感しかしなかった。

 

だが無視できる相手ではない。

 

レインは諦めて二人の元へ向かった。

 

「何ですか?」

 

「座れ」

 

「はい」

 

素直に従う。

 

ガープは肉を頬張りながらレインを見る。

 

「やはり惜しいのう」

 

「何がですか?」

 

「海軍じゃ」

 

即答だった。

 

レインはため息をつく。

 

「まだ言ってるんですか」

 

「当たり前じゃ!」

 

ガープは机を叩いた。

 

「十二歳でその見聞色!」

 

「武装色も習得済み!」

 

「しかも頭も良い!」

 

「海軍に来れば将来は大将確実じゃぞ!」

 

「断ります」

 

「なぜじゃ!」

 

「社長なんで」

 

「会社など誰かに任せればよかろう!」

 

「嫌です」

 

「給料も出るぞ!」

 

「今の方が稼いでます」

 

ガープが固まった。

 

トムが吹き出す。

 

「ガハハハハハ!」

 

「一本取られたのう!」

 

ガープも思わず笑った。

 

昼間と同じやり取りだった...めっちゃ酔ってるな

 

「わっはっはっは!」

 

しばらく笑い声が続く。

 

やがてガープはトムへ視線を向けた。

 

「しかしお前、どこの船大工なんじゃ?」

 

トムが酒を飲みながら答える。

 

「ウォーターセブンじゃ」

 

その瞬間、ガープの動きが止まった。

 

「……ウォーターセブン?」

 

「そうじゃ」

 

「魚人で船大工」

 

「そうじゃな」

 

ガープが眉をひそめる。

 

どこかで聞いたことがある。

 

いや、海軍なら知らないはずがない。

 

魚人。

 

ウォーターセブン。

 

伝説級の造船技術。

 

その条件に当てはまる男は一人しかいなかった。

 

「おい」

 

「なんじゃ?」

 

「お前の名前は?」

 

トムは不思議そうな顔をした。

 

「トムじゃが?」

 

数秒の沈黙。

 

そして、

 

「お前がトムか!?」

 

ガープが勢いよく立ち上がった。

 

広場が静まり返る。

 

島民たちも驚いていた。

 

トムは首を傾げる。

 

「そんなに驚くことか?」

 

「驚くわ!」

 

ガープは思わず叫んだ。

 

「ロジャーの船を造った男じゃないか!」

 

周囲がさらに静まり返る。

 

レインも苦笑した。

 

そういえばガープには話していなかった。

 

トムは頭を掻く。

 

「そんな昔の話を覚えとるのか」

 

「海軍じゃぞ!」

 

「忘れる方がおかしいわ!」

 

ガープは腕を組む。

 

海賊王ゴール・D・ロジャー。

 

その船であるオーロ・ジャクソン号を建造した伝説の船大工。

 

それが目の前で酒を飲んでいる。

 

しかも、

 

「お前……」

 

ガープがレインを見る。

 

「はい?」

 

「なんでそんな大物と知り合いなんじゃ?」

 

レインは少し考えた。

 

そして答える。

 

「船の話してたら仲良くなりました」

 

「意味が分からん!」

 

ガープが頭を抱える。

 

トムは大笑いした。

 

「ガハハハハ!」

 

「ワシも気付いたら友達になっとった!」

 

「余計に意味が分からんわ!」

 

広場中が笑いに包まれた。

 

やがてガープは酒を一口飲む。

 

そしてトムを見る。

 

「ロジャーは元気か?」

 

トムが吹き出した。

 

「何年前の話をしとるんじゃ」

 

「そうじゃったな」

 

ガープも笑う。

 

二人とも笑っている。

 

だが一瞬だけ、どこか懐かしそうな顔をしていた。

 

ロジャー。

 

それぞれ違う立場で関わった男。

 

海軍の英雄と。

 

伝説の船大工。

 

その二人が同じ男を思い出している。

 

レインは黙ってその様子を見ていた。

 

そして思う。

 

この二人ですら、あの海賊王を特別な存在として見ているのだと。

 

「レイン」

 

不意にトムが声を掛ける。

 

「はい?」

 

「夢を諦めるなよ」

 

ガープも頷く。

 

「強くなれ」

 

二人の言葉は違う。

 

だが根っこは同じだった。

 

自分の信じた道を進め。

 

そんな願いが込められているように聞こえた。

 

宴は夜遅くまで続いた。

 

海軍の英雄。

 

伝説の船大工。

 

そして天才発明家。

 

三人の出会いは、まだ始まったばかりだった。

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