ONE PIECE 〜船大工レイン〜 作:ペンギンって可愛いですよね
それから三週間後、レインは港で頭を抱えていた。
「本当に連れて来たのか……」
目の前には軍艦が停泊している。
正直、半分くらいは冗談だと思っていた。
ガープの言うことは大抵適当だからだ。
しかし、残念ながら本気だったらしい。
軍艦の甲板からガープが手を振っている。
「おーい!」
「来てやったぞ!」
「来なくて良かったんですけどね」
レインは呆れながら呟いた。
その隣ではルークが青い顔をしている。
「社長……」
「何だ?」
「今からでも逃げませんか?」
「駄目だ」
「ですよね……」
ルークは項垂れた。
そして軍艦から一人の青年が降りてくる。
背が高い。
黒髪。
まだ若いが落ち着いた雰囲気を纏っている。
二十歳前後だろうか。
そして何より、眠そうだった。
欠伸をしながら港へ降り立つ。
「ふぁぁ……」
レインは思わず固まった。
知っている。
将来の海軍大将青キジ。
だが目の前の男は、まだ大将どころか海兵になったばかりの青年だった。
「クザンじゃ」
ガープが紹介する。
「よろしくお願いします〜」
気の抜けた挨拶だった。
レインは思わずガープを見る。
「本当にこいつが有望株なんですか?」
「失礼ですねぇ」
クザンが少しだけ頬を膨らませた。
ガープは豪快に笑う。
「わっはっはっは!」
「間違いないぞ!」
「将来大物になる!」
レインは半信半疑だった。
するとクザンがレインを見た。
「あなたがレインさんですか〜」
「そうですけど」
「十二歳で社長って本当だったんですねぇ」
「そっちこそ本当に海兵なんですか?」
「一応」
「大丈夫か海軍」
レインは本気で心配になった。
その様子を見てガープが笑う。
クザンも笑う。
妙に空気が軽かった。
そんな時だった。
クザンの視線がルークへ向く。
「そちらは?」
「あ、俺はルークです」
「よろしくお願いします〜」
二人が握手を交わす。
その瞬間、ルークは気付いた。
この人良い人だ...
少なくともガープよりは間違いなく...
そう思った。
だが甘かった。
「よし!」
ガープが突然叫ぶ。
「早速始めるぞ!」
ルークの顔が引きつる。
クザンは首を傾げた。
「何をです?」
「修行じゃ!」
嫌な予感しかしない。
そしてその予感は当たる。
ガープはレインを指差した。
「お前はクザンを鍛えろ!」
次にルークを指差す。
「ワシはこっちを鍛える!」
ルークが絶望した。
「やっぱりぃぃぃ!!」
港に悲鳴が響く。
クザンは困惑していた。
「え?」
「何です?」
「修行です」
レインが真顔で答える。
「頑張ってください」
「他人事ですねぇ」
「俺も被害者なんで」
クザンは少し考えた。
そして、
「まぁ、強くなれるなら良いですかねぇ」
あっさり受け入れた。
レインは思う。
将来大将になる人間はやっぱり何かがおかしい。
普通なら逃げる。
ルークを見れば分かる。
今にも泣きそうな顔をしている。
「社長!」
「何だ?」
「助けてください!」
「頑張れ」
「裏切り者ぉぉぉ!!」
ルークの叫びが響く。
その様子を見てクザンが笑った。
ガープが笑った。
レインも笑った。
こうして、
未来の海軍大将クザン。
未来のレイン商会副社長ルーク。
そして海軍の英雄ガープ。
奇妙な共同生活が始まった。
後に世界へ大きな影響を与えることになる四人の出会いだった。