ONE PIECE 〜船大工レイン〜   作:ペンギンって可愛いですよね

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第百五話「実力確認」

 

クザンが島へやって来た翌日。

 

朝早くからレインは造船所の裏にある空き地へ来ていた。

 

元々は廃船を解体するための場所だったが、今では鍛錬場としても使われている。

 

その中央にはレインとクザン。

 

少し離れた場所にはガープとルークがいた。

 

「それじゃあ始めますか」

 

レインは軽く肩を回した。

 

クザンも首を鳴らす。

 

「何をやるんですか〜?」

 

「まずは実力確認です」

 

レインは真面目な顔で答えた。

 

「どの程度できるか分からないと教えようがありませんから」

 

クザンは納得したように頷く。

 

確かにその通りだ。

 

ガープも腕を組みながら見ている。

 

「遠慮せんで良いぞ」

 

「はい」

 

レインは頷いた。

 

ただ一つ問題がある。

 

クザンの実力を知らない。

 

将来強くなることは知っている。

 

だが今はまだ入隊二年目。

 

どれくらい強いのか全く分からなかった。

 

「じゃあ軽く組手で」

 

「了解です〜」

 

クザンはのんびり構えた。

 

その姿を見てレインは少し安心する。

 

覇気は感じない。

 

まだ使えないのだろう。

 

なら本当に軽くで良い。

 

そう判断した。

 

「いきますよ」

 

「どうぞ〜」

 

次の瞬間、レインは踏み込んだ。

 

地面が弾ける。

 

そして拳を放つ。

 

本当に軽く。

 

本人としてはそのつもりだった。

 

だが...

 

バゴォンッ!!

 

凄まじい音が響いた。

 

クザンの身体が宙を舞う。

 

十メートル。

 

二十メートル。

 

三十メートル。

 

そのまま地面を転がり、ようやく停止した。

 

沈黙。

 

誰も動かない。

 

レインも固まった。

 

「……え?」

 

恐る恐るクザンを見る。

 

動かない。

 

ピクリとも動かない。

 

嫌な予感しかしなかった。

 

レインは全力で駆け寄る。

 

「クザンさん!?」

 

返事がない。

 

「クザンさん!?」

 

肩を揺する。

 

すると、

 

「すぅ……」

 

寝息が聞こえた。

 

いや違う。

 

気絶している。

 

完全に。

 

綺麗に。

 

一発だった。

 

レインの顔から血の気が引く。

 

「やっちまったぁぁぁぁ!」

 

頭を抱える。

 

その様子を見てルークも青ざめた。

 

「社長!?」

 

「大丈夫なんですか!?」

 

「分からん!」

 

レインは慌てていた。

 

本気ではない。

 

本当に軽く殴っただけだ。

 

だが相手の実力を完全に見誤っていた。

 

すると、後ろから豪快な笑い声が響く。

 

「わっはっはっはっは!!」

 

ガープだった。

 

腹を抱えて笑っている。

 

「笑い事じゃないですよ!」

 

レインが叫ぶ。

 

ガープは涙を拭きながら言った。

 

「お前さん、自分の強さ分かっとらんのか?」

 

「え?」

 

「見聞色も武装色も鍛えとる」

 

「毎日鍛錬しとる」

 

「その辺の海兵とは比べ物にならんぞ」

 

レインは固まった。

 

言われてみればその通りだった。

 

自分の基準がおかしくなっている。

 

普段比較する相手がガープやトムだからだ。

 

結果として、一般的な海兵の強さが分からなくなっていた。

 

ルークが呆れたように言う。

 

「社長……」

 

「何だ?」

 

「自覚してください」

 

ぐうの音も出ない。

 

そんな時だった。

 

「うぅ……」

 

クザンが目を覚ました。

 

レインは飛び上がる。

 

「大丈夫ですか!?」

 

クザンはぼんやり空を見上げていた。

 

そして、

 

「強すぎません〜?」

 

第一声がそれだった。

 

レインは申し訳なくなる。

 

「すみません!」

 

「いやぁ……」

 

クザンは苦笑した。

 

「まさか十二歳の少年に一発でやられるとは思いませんでしたよ〜」

 

その言葉にルークが頷く。

 

「俺もです」

 

「お前は黙ってろ」

 

レインが即座に突っ込んだ。

 

ガープは満足そうに笑う。

 

「よし!」

 

「実力差は分かったな!」

 

レインは嫌な予感しかしなかった。

 

そして予感は当たる。

 

「クザン!」

 

「はい〜?」

 

「まずはレインへ一発当てるところから始めるぞ!」

 

「難易度高すぎません〜?」

 

クザンが真顔になった。

 

ルークも激しく頷く。

 

レインは空を見上げる。

 

どうやら前途多難な修行になりそうだった。

 

そして未来の海軍大将クザンは、この日初めて理解する。

 

十二歳の天才発明家レインが、想像以上の化け物だったことを。

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