ONE PIECE 〜船大工レイン〜   作:ペンギンって可愛いですよね

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第百六話「一週間後」

 

クザンが島へ来てから一週間が経った。

 

その間、レインとクザンは毎日組手を繰り返していた。

 

朝。

 

昼。

 

そして夕方。

 

暇さえあれば鍛錬である。

 

最初こそ一発で気絶したクザンだったが、流石は後の海軍大将候補だった。

 

成長速度がおかしい。

 

最初の日はレインの動きすら見えていなかった。

 

二日目には何とか反応できるようになった。

 

三日目には攻撃の軌道を読めるようになった。

 

五日目には数発なら防げるようになった。

 

そして七日目。

 

クザンは額の汗を拭いながら肩で息をしていた。

 

「はぁ……はぁ……」

 

対するレインは平然としている。

 

「大丈夫ですか?」

 

「大丈夫じゃないですよ〜」

 

クザンはその場へ寝転がった。

 

「一週間ですよ?」

 

「はい」

 

「一発も当たらないんですけど〜」

 

その通りだった。

 

一週間。

 

毎日何十回も組手をしている。

 

それなのに、クザンは未だにレインへ一発も攻撃を当てられていなかった。

 

レインの見聞色が厄介すぎるのである。

 

攻撃しようと思った瞬間には避けられる。

 

フェイントも通じない。

 

奇襲も意味がない。

 

クザンは空を見上げた。

 

「これ本当に人間ですか〜?」

 

「失礼ですね」

 

レインは苦笑する。

 

するとクザンが起き上がった。

 

「でも確かに強くはなってる気がするんですよねぇ」

 

「それは良かったです」

 

実際、レインもそう思っていた。

 

たった一週間。

 

それだけでクザンは別人のように成長している。

 

今なら東の海の海賊程度なら普通に倒せるだろう。

 

やはり才能は本物だった。

 

そんな時だった。

 

どこからか声が聞こえてくる。

 

「助けてくださーい!!」

 

レインとクザンが同時に顔を上げる。

 

「ん?」

 

「何ですかねぇ?」

 

再び声が響いた。

 

「誰かぁぁぁぁぁ!!」

 

今度ははっきり聞こえた。

 

空からである。

 

二人は上を見上げた。

 

そして固まった。

 

「……」

 

「……」

 

空高く。

 

何かが飛んでいる。

 

いや...人だった。

 

さらによく見る。

 

風船だ。

 

大量の風船。

 

そしてその下に人がぶら下がっている。

 

「助けてくださぁぁぁい!!」

 

聞き覚えのある声だった。

 

レインは頭を抱える。

 

クザンは目を丸くする。

 

「ルークさん?」

 

その通りだった。

 

ルークだった。

 

大量の風船に括り付けられ、空を飛んでいた。

 

正確には飛ばされていた。

 

「なんであんなことになってるんですか?」

 

クザンが真顔で聞く。

 

レインも知りたい。

 

むしろ教えてほしい。

 

そんな時、後ろから豪快な笑い声が聞こえた。

 

「わっはっはっはっは!」

 

振り返る。

 

ガープだった。

 

レインは嫌な予感しかしなかった。

 

「ガープさん」

 

「なんじゃ?」

 

「何したんですか?」

 

ガープは悪びれもせず答える。

 

「度胸試しじゃ」

 

「度胸試し?」

 

「高い所に慣れさせようと思ってのう!」

 

「意味が分からない」

 

レインは即答した。

 

クザンも頷く。

 

「意味分からないですねぇ」

 

二人の意見は一致した。

 

その間にも...

 

「死ぬぅぅぅぅぅ!!」

 

ルークが空で叫んでいる。

 

島民たちは面白がって見上げていた。

 

誰も助けようとしない。

 

完全に日常になりつつあった。

 

「社長ぉぉぉぉ!!」

 

ルークが泣きそうな声で叫ぶ。

 

「助けてくださぁぁぁい!!」

 

レインはため息を吐いた。

 

「クザンさん」

 

「はい〜?」

 

「助けに行きましょう」

 

「ですよねぇ」

 

二人は走り出した。

 

空ではルークが必死に暴れている。

 

その度に風船が揺れる。

 

見ているだけで危険だった。

 

「ガープさん!」

 

レインが振り返る。

 

「何じゃ?」

 

「本当に死なない程度にしてくださいよ!」

 

ガープは豪快に笑った。

 

「わっはっはっは!」

 

「たぶん大丈夫じゃ!」

 

「たぶんって言いましたね!?」

 

レインの叫びが響く。

 

クザンは笑いを堪えていた。

 

そして思う...

 

この男、思っていたよりずっとおかしい。

 

そんな中、空から再び悲鳴が降ってきた。

 

「助けてくださぁぁぁぁい!!」

 

どうやらルークの受難は、まだまだ終わりそうになかった。

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