ONE PIECE 〜船大工レイン〜   作:ペンギンって可愛いですよね

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第百十九話「乱入」

 

海軍元帥コングとの面会は終わりを迎えようとしていた。

 

レインは静かにコングの言葉を噛み締めていた。

 

人。

 

信頼できる仲間。

 

一人では世界は変えられない。

 

技術ばかりを追いかけていたレインにとって、その言葉は想像以上に重かった。

 

ルークも真剣な表情をしている。

 

父も同じだった。

 

部屋には穏やかな空気が流れていた。

 

コングは満足そうに頷く。

 

センゴクもどこか安心したような表情だった。

 

綺麗に話がまとまった。

 

誰もがそう思った。

 

その瞬間だった。

 

バァン!!

 

凄まじい勢いで扉が開いた。

 

応接室の扉が壁へ激突する。

 

全員の視線が入口へ向く。

 

そして聞き慣れた大声が響いた。

 

「レイーーーン!!」

 

レインは思わず頭を抱えた。

 

聞き覚えしかない。

 

ガープだった。

 

「おお!おったおった!」

 

ガープは豪快に笑いながら部屋へ入ってくる。

 

まるで自分の部屋に入るかのような勢いだった。

 

数秒の沈黙。

 

そして、

 

「ガープ」

 

コングの低い声が響く。

 

「何じゃ?」

 

「ノックをしろ」

 

「細かいことは気にするな!」

 

「気にする」

 

コングが即答した。

 

センゴクも額を押さえる。

 

「気にするなじゃない!」

 

「ここは元帥室だぞ!」

 

「そうじゃったか?」

 

「そうだ!」

 

二人同時だった。

 

ガープは全く気にした様子もない。

 

レインたちは慣れていた。

 

むしろいつも通りだった。

 

ガープはレインの前まで歩いてくる。

 

「どうじゃ!」

 

「海軍本部は!」

 

レインは苦笑した。

 

「凄かったです」

 

「じゃろう!」

 

ガープは大喜びだった。

 

「軍艦も見たか!」

 

「見ました」

 

「ドックも見たか!」

 

「見ました」

 

「海兵も見たか!」

 

「見ました」

 

「どうじゃ!」

 

ガープは満面の笑みを浮かべる。

 

嫌な予感しかしない。

 

そして案の定だった。

 

「海軍入るか!」

 

即座に。

 

「入りません」

 

レインも即答した。

 

沈黙。

 

ガープが固まる。

 

「何でじゃあああああ!!」

 

部屋中へ響く大声だった。

 

レインは呆れたように答える。

 

「商会がありますから」

 

「そんなもの副業でやれば良いじゃろ!」

 

「無理です」

 

「何故じゃ!」

 

「社長ですから」

 

正論だった。

 

ガープがぐぬぬと唸る。

 

コングがため息を吐いた。

 

「だから諦めろと言っただろう」

 

「まだじゃ!」

 

「諦めろ」

 

「まだじゃ!」

 

「諦めろ」

 

コングとガープのやり取りが始まる。

 

センゴクが頭を抱えた。

 

元帥と英雄が何をやっているのか。

 

その時だった。

 

扉の外から別の声が聞こえる。

 

「ガープ中将」

 

「あまり急かしたら駄目っすよ」

 

聞き覚えのある声だった。

 

部屋へ入ってきたのはクザンだった。

 

レインの顔が少し明るくなる。

 

「クザンさん」

 

「お久しぶりっす」

 

クザンは相変わらず気の抜けた雰囲気だった。

 

しかし二か月前とは違う。

 

体格も少し大きくなったように見える。

 

何より雰囲気が変わっていた。

 

以前より自信がある。

 

そんな印象だった。

 

ルークも頭を下げる。

 

「クザンさん、お久しぶりです」

 

「お久しぶりっす」

 

父も微笑んだ。

 

「元気そうだな」

 

「お陰様で」

 

クザンは笑った。

 

そしてレインへ視線を向ける。

 

「レインさんも元気そうっすね」

 

「クザンさんこそ」

 

レインは頷いた。

 

そして気になっていたことを聞く。

 

「覇気の方はどうですか?」

 

クザンが苦笑した。

 

「あと少しですね」

 

「前よりは感覚が掴めてきたっす」

 

レインは素直に感心した。

 

やはり成長速度がおかしい。

 

普通なら何年も掛かる。

 

それを数か月でここまで来ている。

 

ガープが豪快に笑う。

 

「そのうち使えるようになるじゃろ!」

 

「そうですね」

 

レインも同意した。

 

才能は間違いなく本物だ。

 

するとクザンが少し真面目な顔になる。

 

「改めてありがとうございました」

 

「ガープ中将だけだったら、多分途中で逃げてたっす」

 

全員が納得した。

 

ガープだけなら危なかった。

 

精神的にも。

 

物理的にも。

 

ルークなどは本気で頷いている。

 

「それは分かります」

 

「じゃろ?」

 

クザンも頷いた。

 

ガープだけが不満そうだった。

 

「何でじゃ!」

 

「何でもです」

 

レインが即答する。

 

室内に笑いが広がった。

 

そんな中、ガープが突然何かを思い出したように声を上げた。

 

「そうじゃ!」

 

全員が嫌な予感を覚えた。

 

ルークが一歩後ろへ下がる。

 

父も警戒している。

 

レインは既に諦めた顔だった。

 

「今度は何ですか?」

 

ガープは満面の笑みを浮かべる。

 

「明日はワシが海軍本部を案内してやる!」

 

沈黙。

 

そして、

 

「嫌です」

 

「嫌です」

 

「嫌です」

 

三人同時だった。

 

ガープが固まる。

 

クザンが吹き出す。

 

センゴクも笑いを堪えている。

 

コングに至っては肩を震わせていた。

 

海軍の英雄ガープ。

 

その提案は、レインたちに全力で拒否されたのだった。

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