ONE PIECE 〜船大工レイン〜   作:ペンギンって可愛いですよね

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第百四十四話「受け継がれた秘密」

 

「この島にはポーネグリフがあります」

 

レインの言葉が夜の海へ静かに溶けていく。

 

その瞬間、ロジャーとレイリーは言葉を失った。

 

波の音だけが静かに響く。

 

ロジャーはしばらく黙ったままレインを見つめ、やがて静かに口を開いた。

 

「……本当なんだな?」

 

「はい」

 

レインは迷いなく頷く。

 

「この島の地下深くにあります」

 

ロジャーは頭を掻きながら苦笑した。

 

「今日は驚かされっぱなしだな」

 

「Dの名を聞かされたと思ったら、今度はポーネグリフか」

 

レイリーも肩を竦める。

 

「さすがに予想できる話じゃない」

 

「だが、君は冗談でこんな話をする人間ではない」

 

レインは静かに頷いた。

 

「ええ」

 

「だからこそ、お二人だけに話しました」

 

レイリーが真剣な表情になる。

 

「一つ聞かせてくれ」

 

「はい」

 

「君は何故、この島にポーネグリフがあることを知っている?」

 

当然の疑問だった。

 

世界政府が八百年もの間、その存在を隠し続けてきた歴史の本文。

 

それを十三歳の少年が知っている理由が分からない。

 

レインは少しだけ昔を思い出すように目を細めた。

 

「俺がまだ五歳くらいの頃です」

 

「父に案内されました」

 

ロジャーとレイリーの目が僅かに見開かれる。

 

「父上が?」

 

「はい」

 

レインは静かに頷いた。

 

「あの日、父は詳しい説明はしませんでした」

 

「ただ、この場所だけは絶対に忘れるな」

 

「そして、この秘密は命に代えても守れ」

 

「そう言われました」

 

レインは少しだけ笑う。

 

「子どもの頃は、その意味なんて全然分かりませんでした」

 

「でも父の表情だけは今でも覚えています」

 

「あれほど真剣な父を見たのは、あの時が初めてでした」

 

ロジャーは静かに尋ねる。

 

「その時から、それがポーネグリフだと分かっていたのか?」

 

レインは頷いた。

 

「はい」

 

「俺は昔からポーネグリフという存在自体は知っていました」

 

「だから案内された瞬間、この石が普通の石じゃないことは分かりました」

 

「ですが、まさか自分の住む島にあるとは思っていませんでした」

 

レイリーは腕を組みながら頷く。

 

「なるほど」

 

「だから父上は、この場所を君だけに託したのか」

 

「おそらく」

 

「父も理由までは話してくれませんでした」

 

「きっと、俺が大人になった時に話すつもりだったんだと思います」

 

しばらく沈黙が流れる。

 

ロジャーは静かに海を見つめながら言った。

 

「その秘密を、俺たちに明かす理由は?」

 

レインは迷わず答えた。

 

「あなたたちだからです」

 

「お二人なら、この秘密を利用したり、世界政府へ売ったりすることは絶対にありません」

 

「それに――」

 

レインはロジャーを真っ直ぐ見つめた。

 

「あなたなら、いつか必ず世界の真実へ辿り着く」

 

その言葉にロジャーは苦笑する。

 

「そこまで買われると照れるな」

 

レイリーも小さく笑った。

 

「まったくだ」

 

「だが、期待を裏切るつもりもない」

 

ロジャーはレインの前まで歩いてくる。

 

「約束する」

 

「この秘密は俺たち二人だけのものだ」

 

「島の人間を危険に巻き込むようなことは絶対にしねぇ」

 

レイリーも静かに頷いた。

 

「もちろん俺も同じだ」

 

レインは深く頭を下げる。

 

「ありがとうございます」

 

ロジャーは笑顔を浮かべた。

 

「それで?」

 

「見せてくれるんだろ?」

 

レインも小さく笑う。

 

「はい」

 

「ついて来てください」

 

そう言って踵を返した。

 

ロジャーとレイリーも無言で後に続く。

 

父から受け継いだ秘密。

 

誰にも明かすことのなかった歴史への入り口。

 

その場所へ向かって、三人は静かな夜の森を歩き始めた。

 

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