ONE PIECE 〜船大工レイン〜   作:ペンギンって可愛いですよね

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第百六十四話「初めての海賊狩り」

 

「止まれぇ!!」

 

海賊船から怒声が響く。

 

だが雨神は止まらない。

 

海賊たちは顔を見合わせた。

 

そして次の瞬間、

 

「舐めやがって!」

 

「野郎ども、乗り込むぞ!」

 

「金目の物は全部頂く!」

 

歓声のような怒号が上がる。

 

レインは静かに船首へ立った。

 

黒いフードを深く被る。

 

腰には最上大業物『黎明』。

 

その姿を見たルークは小さく呟いた。

 

「怪しい……」

 

「聞こえてるぞ」

 

「わざとです」

 

レインは苦笑した。

 

そして黎明へ手を掛ける。

 

ロジャーとの戦いを思い出す。

 

剣は下手くそ、そう言われた。

 

悔しかった。

 

だからこそ今回は剣を使う。

 

まずはそこからだ。

 

海賊船が横付けされる。

 

距離は数メートル。

 

海賊たちは一斉に飛び移ってきた。

 

「行くぞ!」

 

「殺せぇ!」

 

「積荷を奪え!」

 

二十八人。

 

だがレインは慌てない。

 

ゆっくりと黎明を抜いた。

 

月明かりを受けて刀身が輝く。

 

海賊たちが一瞬目を奪われた。

 

その隙にレインは踏み込む。

 

一人目。

 

横薙ぎ。

 

相手の剣を弾き飛ばす。

 

二人目。

 

突きを放つ。

 

だが浅い。

 

相手は転ぶだけだった。

 

三人目。

 

斬り上げ。

 

避けられる。

 

レインは眉をひそめた。

 

「やっぱり難しいな」

 

ロジャーの言葉は正しかった。

 

剣術の型は覚えた。

 

振り方も分かる。

 

だが実戦になると話は別だ。

 

相手は動く。

 

囲んでくる。

 

数も多い。

 

思ったようにいかない。

 

海賊たちは笑った。

 

「何だこいつ!」

 

「剣下手じゃねぇか!」

 

「囲め!」

 

十人以上が一斉に襲い掛かる。

 

レインはため息を吐いた。

 

「そうなるよな」

 

次の瞬間、

 

覇気を纏った拳が唸る。

 

ドゴォッ!!

 

先頭の海賊が吹き飛んだ。

 

二人目。

 

三人目。

 

四人目。

 

殴る。

 

蹴る。

 

投げる。

 

吹き飛ばす。

 

一撃ごとに海賊が戦闘不能になっていく。

 

ルークは遠い目をした。

 

「結局そうなりますよね」

 

レインは返事をしない。

 

いや、出来ない。

 

忙しいからだ。

 

「がはっ!」

 

「ぐぇっ!」

 

「つ、強ぇぇ!」

 

海賊たちは次々と倒れていく。

 

武装色を纏った拳。

 

見聞色による先読み。

 

さらにロジャーとの戦いで磨かれた身体能力。

 

東の海の一般海賊では相手にならなかった。

 

五分後、甲板に立っている海賊は一人だけになっていた。

 

船長である。

 

大柄な男だった。

 

額に傷がある。

 

手には巨大な斧。

 

そして周囲には倒れた仲間たち。

 

船長の額から汗が流れる。

 

「ば、化け物か……」

 

レインは拳を見た。

 

そして黎明を見る。

 

少しだけ考える。

 

「最後くらいは剣でやるか」

 

ルークが聞こえないふりをした。

 

船長が叫ぶ。

 

「ふざけるなぁぁ!!」

 

斧が振り下ろされる。

 

だが、見聞色で完全に読めていた。

 

レインは半歩横へ、

 

そして、黎明を振るう。

 

一閃。

 

甲板に静寂が落ちる。

 

船長の斧が真っ二つになった。

 

そのまま峰打ち。

 

船長は白目を剥いて倒れた。

 

戦闘終了だった。

 

「終わったな」

 

レインは黎明を鞘へ納める。

 

ルークはため息を吐いた。

 

「結局二十八人中、二十七人は拳でしたね」

 

「仕方ないだろ」

 

「剣術修行じゃなかったんですか?」

 

「難しかった...」

 

レインは素直に認めた。

 

ルークは呆れた。

 

だが少し安心もしていた。

 

無傷だったからだ。

 

翌日、二人は近くの海軍支部へ向かった。

 

フードはそのまま。

 

顔を知られる理由がない。

 

海兵たちは突然現れた大量の海賊に目を丸くした。

 

「な、何だこれは!?」

 

「海賊です」

 

レインが答える。

 

「捕まえた」

 

海兵たちは固まった。

 

さらに賞金首の名前を確認し始める。

 

そして、一人の海兵が大声を上げた。

 

「お、おい!」

 

「どうした!?」

 

「船長だ!」

 

「え?」

 

海兵たちが集まる。

 

そして、

 

「賞金首だぞ!」

 

「懸賞金八百万ベリー!」

 

周囲が騒然となった。

 

ルークが固まる。

 

レインも少し驚いた。

 

「八百万?」

 

思ったより高い。

 

東の海ではかなりの額だ。

 

海兵が興奮気味に言う。

 

「よく倒せましたね!」

 

フードの奥でレインは苦笑した。

 

実際は思ったより弱かった。

 

だが、それは口にしない。

 

そして手続きが終わる。

 

海兵が袋を差し出した。

 

「こちらが懸賞金です!」

 

ずっしりと重い。

 

レインは受け取った。

 

八百万ベリー。

 

出航初日の成果としては十分過ぎた。

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