ONE PIECE 〜船大工レイン〜   作:ペンギンって可愛いですよね

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第百七十九話「三日三晩の宴」

 

宴会は終わらなかった。

 

本当に終わらなかった。

 

最初の日、レインとルークは宴会が終わったら宿へ戻ろうと思っていた。

 

だが甘かった...

 

「二次会だ!」

 

「おおー!!」

 

島民たちは元気だった。

 

そして翌朝、

 

「朝飯だ!」

 

「おおー!!」

 

まだ続いていた。

 

レインとルークは顔を見合わせた。

 

「終わってませんね」

 

「終わってないな」

 

二日目...昼...夜

 

「昼飯だ!」

 

「おおー!!」

 

「晩飯だ!」

 

「おおー!!」

 

「夜食だ!」

 

「おおー!!」

 

レインは理解した。

 

この人たち、終わる気がない。

 

三日目。

 

「レイン君!」

 

「ルーク君!」

 

「飲め!」

 

「食え!」

 

「歌え!」

 

「踊れ!」

 

レインは諦めた。

 

ルークも諦めた。

 

こうして、三日三晩続いた宴会は島の伝説となった。

 

そして四日目の朝。

 

ようやく...本当にようやく...二人は解放された。

 

「自由だ……」

 

レインが呟く。

 

「長かったですね……」

 

ルークも遠い目をしている。

 

海賊との戦いより疲れた気がした。

 

港へ向かう。

 

そこには既に出航準備を終えた雨神が待っていた。

 

船体の点検も完了。

 

補給も完了。

 

食料も水も十分。

 

いつでも出航できる状態だった。

 

「やっと出発できますね」

 

ルークが言う。

 

レインも頷いた。

 

「ああ」

 

だが、港へ到着した瞬間二人は固まった。

 

人。

 

人。

 

人。

 

港中が人で埋め尽くされていた。

 

島民のほぼ全員が集まっている。

 

「嫌な予感がするんですが」

 

「奇遇だな」

 

レインも同じことを思っていた。

 

そして予感は当たる。

 

管理人が前へ出てきた。

 

「本当に行くのか?」

 

「はい」

 

「もう少し居ないか?」

 

「三日いました」

 

「確かに」

 

管理人も否定できなかった。

 

すると今度は漁師の男が出てくる。

 

「また来てくれよ!」

 

「機会があれば」

 

「絶対だぞ!」

 

「善処します」

 

その後も別れの挨拶が続いた。

 

老人。

 

漁師。

 

商人。

 

子供。

 

皆が口々に礼を言う。

 

そして、何故か泣いている人までいた。

 

「そんなにですか?」

 

ルークが困惑する。

 

すると近くのおばあさんが言った。

 

「当然だよ」

 

「え?」

 

「海賊から守ってくれて、お金まで置いていってくれたんだ」

 

おばあさんは目元を拭いた。

 

「恩人だからね」

 

その言葉に、周囲の人々も何度も頷いていた。

 

レインは少し困ったように頭を掻く。

 

こういうのは本当に慣れない。

 

だが、悪い気分ではなかった。

 

「ありがとうございました!」

 

「また来てください!」

 

「今度はもっとゆっくりしていけ!」

 

「宴会もしよう!」

 

「それは遠慮します」

 

即答だった。

 

大爆笑が起きる。

 

そんな笑い声に見送られながら。

 

レインとルークは雨神へ乗り込んだ。

 

帆が広がる。

 

風を受ける。

 

船体がゆっくりと動き出す。

 

港が少しずつ遠ざかっていく。

 

島民たちは最後まで手を振っていた。

 

レインとルークも振り返す。

 

やがて島が小さくなり始めた頃。

 

二人はようやく一息吐いた。

 

「静かですね」

 

ルークが言う。

 

「平和だな」

 

レインも頷く。

 

久しぶりに二人だけの時間だった。

 

しばらく海を眺める。

 

波は穏やかだ。

 

風も心地良い。

 

そして、ルークが聞いた。

 

「次はどうします?」

 

レインは腕を組む。

 

海賊狩り。

 

確かに悪くない。

 

賞金も手に入る。

 

実戦経験も積める。

 

だが、何かが足りない気がしていた。

 

ロジャー。

 

ガープ。

 

二人と戦って思った。

 

今の自分は剣が弱い。

 

いや...弱いというより、使いこなせていない。

 

黎明という最高級の刀がありながら。

 

技術が追い付いていない。

 

「うーん」

 

レインは考える。

 

そして突然、閃いた。

 

「あ」

 

「どうしました?」

 

「そうか」

 

レインは立ち上がる。

 

「その手があったか」

 

ルークが嫌な予感を覚える。

 

大体この人がこういう顔をする時は何か思い付いている。

 

そして大体ろくでもない。

 

「何ですか?」

 

「このまま海賊を狩っても、多分剣術は中途半端にしか伸びない」

 

ルークは頷く。

 

確かに一理あった。

 

実戦経験は積める。

 

だが基礎を学んでいるわけではない。

 

「だったら?」

 

「習えばいい」

 

レインが言う。

 

「誰にです?」

 

その瞬間、レインは笑った。

 

「この東の海にはいるじゃないか、ぴったりの人が」

 

「誰です?」

 

レインは指を鳴らした。

 

「シモツキ村」

 

ルークが首を傾げる。

 

聞いたことはある。

 

東の海の村だ。

 

だがそれだけだった。

 

「そこに剣術道場がある」

 

「へぇ」

 

「そして先生がいる」

 

「誰ですか?」

 

「コウシロウ先生」

 

ルークは少し考える。

 

どこかで聞いたことがあるような気もする。

 

だが思い出せない。

 

「何でそんなこと知ってるんですか?」

 

当然の疑問だった。

 

レインは一瞬固まる。

 

しまった...

 

知っていて当然の情報ではない。

 

だが、慌てず答えた。

 

「昔、新聞で見たんだよ」

 

「新聞?」

 

「ああ」

 

「そんな記事ありましたっけ?」

 

「多分あった」

 

「多分ですか」

 

ルークは疑わしそうな顔をする。

 

だがそれ以上追及はしなかった。

 

いつものことだからだ。

 

レインも内心ほっとする。

 

危なかった。

 

危うく未来の知識だと言うところだった。

 

もっとも、本当の理由は単純である。

 

未来。

 

海賊狩り。

 

三刀流。

 

そして、世界一の剣豪を目指す少年。

 

ロロノア・ゾロ。

 

その師匠が、シモツキ・コウシロウだった。

 

「よし」

 

レインは笑った。

 

「次の目的地は決まりだな」

 

ルークはため息を吐く。

 

何となく分かっていた。

 

この旅は、まだまだ平穏とは程遠いらしい。

 

雨神は風を受けながら進む。

 

新たな目的地、シモツキ村へ向かって...

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