ONE PIECE 〜船大工レイン〜   作:ペンギンって可愛いですよね

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第百八十話「シモツキ村」

 

雨神は順調に東の海を進んでいた。

 

途中で海賊と遭遇することもなく。

 

嵐に巻き込まれることもなく。

 

珍しく平和な航海だった。

 

「平和ですね」

 

甲板で海を眺めながらルークが言う。

 

「ああ」

 

レインも頷く。

 

本当に珍しい。

 

最近は海賊に遭遇したり、ガープが現れたり、宴会に三日間拘束されたりと慌ただしかった。

 

こうして穏やかな海を眺める時間も悪くない。

 

そして二日後、水平線の先に島影が見え始めた。

 

「見えてきましたね」

 

ルークが双眼鏡を覗く。

 

レインも視線を向けた。

 

そこには緑豊かな島があった。

 

大きな港町ではない。

 

だが穏やかな雰囲気が伝わってくる。

 

「あれがシモツキ村か」

 

レインは小さく呟いた。

 

原作でも何度も見た場所。

 

ゾロが育った村。

 

そしてコウシロウが道場を開いている場所。

 

まさか本当に来る日が来るとは思わなかった。

 

雨神はゆっくりと港へ入る。

 

港もどこか落ち着いていた。

 

大きな商業都市のような賑やかさはない。

 

だが活気はある。

 

漁師たちが働き。

 

商人たちが荷物を運び。

 

子供たちが走り回っている。

 

平和だった。

 

「何か良い村ですね」

 

ルークが周囲を見回しながら言う。

 

「そうだな」

 

レインも頷いた。

 

石畳の道。

 

木造の建物。

 

整った畑。

 

遠くに見える山々。

 

そしてどこかゆったり流れる時間。

 

レインにとっては前世の日本の田舎を思い出させる景色だった。

 

もちろんルークはそんなことを知らない。

 

それでも、この村の穏やかな空気は感じ取っているようだった。

 

二人は港へ船を停泊させる。

 

その後、必要最低限の荷物だけ持って村へ向かった。

 

道を歩く。

 

途中ですれ違う村人たちは皆穏やかだった。

 

挨拶をすると挨拶が返ってくる。

 

子供たちは元気よく走り回っている。

 

海賊に怯える雰囲気もない。

 

平和そのものだった。

 

「良い村ですね」

 

ルークが言う。

 

「ああ」

 

レインも同意する。

 

こういう場所なら子供も真っ直ぐ育つだろう。

 

少なくとも環境は良い。

 

しばらく歩いたところで、レインは近くにいた男性へ声を掛けた。

 

「すみません」

 

「ん?」

 

「一心道場はどこですか?」

 

男性はすぐに理解したようだった。

 

「ああ、道場か」

 

「はい」

 

「この道を真っ直ぐ行って右だ」

 

そう言って方向を教えてくれる。

 

「ありがとうございます」

 

「もしかして入門希望か?」

 

男性が聞く。

 

レインとルークは顔を見合わせた。

 

そして、

 

「そんなところです」

 

レインが答えた。

 

嘘ではない。

 

男性は笑った。

 

「先生は強いぞ」

 

「そうらしいですね」

 

「村の自慢だからな」

 

その言葉にレインは少し嬉しくなった。

 

やはりコウシロウは村人から慕われているらしい。

 

その後も何人かへ聞き込みをした。

 

誰に聞いても反応は似ている。

 

「コウシロウ先生か?ああ、良い先生だぞ。子供たちにも人気だ。剣だけじゃなく礼儀も教えてくれる」

 

評判は非常に良かった。

 

レインは内心納得する。

 

原作を知っているからこそ分かる。

 

ゾロやくいなが育ったのも納得できる人物だ。

 

そして十分ほど歩いた頃。

 

二人の目的地が見えてきた。

 

木造の大きな建物。

 

広い敷地。

 

入口には看板が掲げられている。

 

一心道場。

 

その文字を見た瞬間。

 

レインは思わず笑った。

 

「着いたな」

 

「着きましたね」

 

ルークも看板を見上げる。

 

思っていたより立派な道場だった。

 

中からは木刀のぶつかる音が聞こえる。

 

子供たちの気合いの声も聞こえてくる。

 

どうやら稽古中らしい。

 

レインは深呼吸した。

 

緊張している訳ではない。

 

むしろ楽しみだった。

 

ロジャー。

 

ガープ。

 

二人との戦いで痛感した。

 

自分はまだ剣士として未熟だ。

 

だからこそ学びたい。

 

もっと強くなりたい。

 

そのためにここへ来た。

 

「さて」

 

レインは入口へ向かう。

 

「行くか」

 

「はい」

 

ルークも頷いた。

 

そして二人は、一心道場の門をくぐった。

 

後に東の海で名を知られることになる剣術道場。

 

そして、多くの剣士たちを導く一人の師範。

 

シモツキ・コウシロウ。

 

レインが剣の道を学ぶために選んだ人物との出会いは、静かに始まろうとしていた。

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