ONE PIECE 〜船大工レイン〜   作:ペンギンって可愛いですよね

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第十七話 「守りたいもの」

 

ルークがレイン工房へ来るようになってから二週間ほどが経っていた。

 

最初は工具を落とし、

 

木材を倒し、

 

釘を曲げまくっていたルークだったが、最近は少しずつ慣れてきている。

 

もちろん、まだまだ一人前には程遠い。

 

それでも確実に成長していた。

 

「おはようございます!」

 

朝一番、元気な声が工房へ響く。

 

ルークだった。

 

以前より声に自信がある。

 

レインは机で設計図を書きながら笑った。

 

「おはよう」

 

父親も頷く。

 

「早いな」

 

「今日は早く起きれたので!」

 

その言葉に父親が苦笑した。

 

最近気付いたことがある。

 

ルークは真面目すぎる。

 

一度失敗すると必要以上に反省する。

 

一度注意されると二度と同じことをしない。

 

見ていて少し心配になるほどだった。

 

昼過ぎ…

 

工房の扉が開いた。

 

「すみませーん」

 

女性の声だった。

 

レインが顔を上げる。

 

見知らぬ女性が立っている。

 

優しそうな雰囲気だった。

 

その後ろには小さな子供が二人いる。

 

ルークが振り返った瞬間、顔色が変わった。

 

「母さん!?」

 

レインは少し驚く。

 

どうやらルークの母親らしい。

 

「いつもお世話になっています」

 

女性は深々と頭を下げた。

 

ルークが慌てる。

 

「ちょ、ちょっと母さん!」

 

「だって本当のことじゃない」

 

女性は笑った。

 

「この子、家でずっと工房の話をしてるんですよ」

 

ルークの顔が真っ赤になる。

 

父親は面白そうに見ていた。

 

レインも少し笑う。

 

「毎日楽しいって」

 

「仕事の話ばかりするんです」

 

母親はそう言った。

 

ルークは恥ずかしそうに俯く。

 

レインは少し意外だった。

 

本人はあまり話さない。

 

だが家では違うらしい。

 

その時だった。

 

後ろにいた小さな女の子がルークへ飛び付いた。

 

「お兄ちゃーん!」

 

「うわっ!」

 

ルークが慌てて受け止める。

 

さらに小さな男の子も駆け寄る。

 

「お兄ちゃん!」

 

「走るなって!」

 

ルークは困った顔をしている。

 

だが嬉しそうでもあった。

 

レインはその様子を見ていた。

 

母親が苦笑する。

 

「五人兄弟なんです」

 

「へぇ」

 

「ルークは長男で」

 

「なるほど」

 

レインは納得した。

 

だから面倒見が良いのか。

 

だから真面目なのか。

 

少しだけ理解できた気がした。

 

母親は続ける。

 

「本当はもっと遊びたい年頃なのに」

 

「家の手伝いもしてくれて」

 

「弟や妹の面倒も見てくれて」

 

ルークは居心地悪そうだった。

 

「やめてよ母さん」

 

「だって本当のことじゃない」

 

母親は笑う。

 

レインは静かにルークを見る。

 

今まで知らなかった。

 

工房ではいつも頑張っていた。

 

失敗しても立ち上がる。

 

誰よりも掃除をする。

 

誰よりも遅くまで残る。

 

その理由が少し分かった気がした。

 

守りたいものがあるのだ。

 

家族がいる。

 

だから頑張れる。

 

帰り際、母親が改めて頭を下げた。

 

「ありがとうございます」

 

「この子を雇ってくださって」

 

レインは首を横に振る。

 

「僕が選んだんです」

 

母親は少し驚いた。

 

「そうなんですね」

 

「はい」

 

レインは笑った。

 

「ルークは頑張ってますから」

 

ルークが目を見開く。

 

そして少しだけ照れたように俯いた。

 

夕方…

 

仕事が終わる。

 

工房の片付けをしながらルークがぽつりと言った。

 

「家族が多いと大変なんです」

 

レインは笑う。

 

「楽しそうだったけど」

 

「まぁ……それはそうです」

 

ルークも笑った。

 

少しだけ誇らしそうだった。

 

工房の外、夕焼けが海を赤く染めている。

 

ルークは看板を見上げた。

 

レイン工房。

 

自分の働く場所。

 

守りたい家族がいる。

 

頑張る理由がある。

 

それだけで十分だった。

 

そしてレインもまた思う。

 

技術だけでは工房は大きくならない。

 

人がいるから成長する。

 

家族がいるから頑張れる。

 

レイン工房最初の仲間。

 

ルークという少年は、自分が思っていた以上に強い人間なのかもしれない。

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