ONE PIECE 〜船大工レイン〜   作:ペンギンって可愛いですよね

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第百九十二話「始まりと終わりの町」

 

ローグタウン。

 

後に「始まりと終わりの町」と呼ばれることになる場所。

 

東の海最後の島。

 

そしてレッドラインを越えれば、その先はグランドライン。

 

そんな場所へ、雨神は向かっていた。

 

事の発端は数日前。

 

レインの何気ない一言だった。

 

「なあ、ルーク」

 

「何ですか?」

 

「ローグタウン行かないか?」

 

その瞬間、ルークの表情が固まった。

 

嫌な予感しかしない。

 

「何故ですか?」

 

慎重に尋ねる。

 

するとレインは当然のように答えた。

 

「ロジャーの生まれた町だから」

 

ルークは頭を抱えた。

 

やっぱりだった。

 

絶対ろくでもない理由だと思った。

 

「社長」

 

「何だ?」

 

「まさかグランドライン行こうとしてませんよね?」

 

「行かないぞ」

 

「本当ですか?」

 

「本当だ」

 

レインは頷く。

 

「ロジャーに会えないなら、生まれた町くらい見てみたいだけだ」

 

それは本音だった。

 

前世の記憶があるレインにとって、ローグタウンは特別な場所だ。

 

海賊王が生まれた町。

 

そして後に処刑される町。

 

今はまだその未来は訪れていない。

 

だが、それでも一度見てみたいと思った。

 

しかし、ルークは納得しない。

 

「ローグタウンってレッドラインの目と鼻の先ですよね?」

 

「そうだな」

 

「グランドライン入口の直前ですよね?」

 

「そうだな」

 

「絶対行く気ですよね!?」

 

「行かないって」

 

レインは苦笑する。

 

だがルークの目は疑いに満ちていた。

 

信用していない。

 

全く信用していない。

 

それもそのはずだ。

 

この一年で何度もグランドラインへ行こうとしていた。

 

強い相手の話を聞く。

 

戦いたくなる。

 

行こうとする。

 

止められる。

 

そんな流れを何度も繰り返している。

 

「大丈夫だって」

 

「大丈夫じゃありません」

 

「観光だ」

 

「社長の観光は信用できません」

 

即答だった。

 

結局。

 

三日ほど押し問答が続いた。

 

そして、最終的に折れたのはルークだった。

 

「絶対グランドライン行きませんよ?」

 

「行かない」

 

「本当に?」

 

「本当に」

 

「約束ですよ?」

 

「約束だ」

 

レインは笑顔だった。

 

ルークは不安だった。

 

とても不安だった。

 

そして現在。

 

雨神はローグタウンの港へ入港していた。

 

「おお……」

 

レインは思わず感嘆の声を漏らす。

 

大きい。

 

今まで訪れた東の海の町とは規模が違う。

 

港には無数の船が停泊している。

 

商船。

 

漁船。

 

海軍の船。

 

様々な人々が行き交い、活気に溢れていた。

 

「流石ですね」

 

ルークも感心している。

 

東の海最後の島。

 

それだけでなく、世界中から人が集まる場所でもある。

 

「まずは観光だな」

 

レインが言う。

 

「本当に観光ですよね?」

 

「だからそう言ってるだろ」

 

ルークは半信半疑だった。

 

二人は船を停泊させる。

 

荷物を最低限だけ持ち、町へ足を踏み入れた。

 

賑やかな声。

 

商人たちの呼び込み。

 

食べ物の匂い。

 

どこもかしこも人で溢れている。

 

「凄いな」

 

レインは素直に感心した。

 

シモツキ村とは全く違う。

 

まさに大都市だった。

 

そんな中。

 

レインはふと空を見上げる。

 

ローグタウン。

 

ロジャーが生まれた町。

 

まだ海賊王ではない。

 

まだ伝説でもない。

 

一人の少年として生まれた場所。

 

不思議な気分だった。

 

「何考えてるんですか?」

 

ルークが尋ねる。

 

「いや」

 

レインは少し笑った。

 

「ロジャーも昔はこの辺走り回ってたのかなと思ってな」

 

ルークも少し笑う。

 

確かにそうかもしれない。

 

世界を震わせる海賊でも。

 

最初はただの少年だったのだ。

 

だが、二人は知らない。

 

同じ頃...遥か遠くの海では、オーロ・ジャクソン号が東の海へ向かっていることを。

 

そして、

 

ロジャー。

 

レイリー。

 

ギャバン。

 

おでん。

 

世界最高峰の怪物たちが、自分たちを目指していることを。

 

運命の再会は、もうすぐそこまで迫っていた。

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