ONE PIECE 〜船大工レイン〜   作:ペンギンって可愛いですよね

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第百九十三話「迫る怪物たち」

 

ローグタウンへ到着した翌日。

 

レインとルークは町の中心部にあるレストランへ来ていた。

 

昼時ということもあり、店内は賑わっている。

 

商人。

 

船乗り。

 

旅行者。

 

様々な人々が食事を楽しんでいた。

 

「美味いな」

 

レインが肉料理を口へ運ぶ。

 

「流石はローグタウンですね」

 

ルークも頷いた。

 

東の海最大級の町だけあって、料理の質も高い。

 

シモツキ村の家庭的な料理も良かったが、こういう都会の料理も悪くない。

 

「しかし本当に観光だけなんですね」

 

ルークが言う。

 

「だからそう言っただろ」

 

「まだ信用してません」

 

「ひどいな」

 

レインは苦笑した。

 

そんな他愛のない会話をしていた時だった。

 

不意に。

 

レインの箸が止まった。

 

「……」

 

ルークも同時に顔を上げる。

 

二人の表情が変わった。

 

「社長」

 

「ああ」

 

見聞色。

 

一年間の修行で鍛え上げた感覚。

 

それが何かを捉えていた。

 

異常だった。

 

今まで感じたことがない。

 

いや...正確には一度だけ似た感覚を知っている。

 

ロジャー。

 

レイリー。

 

あの時感じた圧倒的な存在感。

 

それに近い。

 

いや、それ以上かもしれない。

 

「何だこれ……」

 

レインが呟く。

 

遠い。

 

まだかなり遠い。

 

それでも分かる。

 

強い。

 

とてつもなく強い。

 

それも一人ではない。

 

複数だ。

 

複数の怪物が同じ場所に集まっている。

 

「東の海じゃないですよね……これ」

 

ルークの額に汗が流れる。

 

一年前の彼なら気付けなかった。

 

だが今は違う。

 

見聞色の精度は大きく向上している。

 

だからこそ分かる。

 

異常だ。

 

東の海に存在して良い気配ではない。

 

「港か?」

 

「多分」

 

二人は同時に立ち上がった。

 

料理はまだ残っている。

 

だがそんなことを気にしている場合ではない。

 

「すみません」

 

レインが店員を呼ぶ。

 

代金を置く。

 

「お帰りですか?」

 

「急用です」

 

そう言い残し、二人は店を飛び出した。

 

そして外へ出た瞬間、異変に気付く。

 

「おい!」

 

「本当なのか!?」

 

「見たぞ!」

 

「ロジャー海賊団だ!」

 

「馬鹿な!」

 

町中が騒然としていた。

 

人々が港の方向へ走っている。

 

商人も。

 

船乗りも。

 

子供たちも。

 

皆同じ方向を見ていた。

 

「何だ?」

 

「何があった?」

 

次々に声が飛び交う。

 

その中で。

 

一人の男が叫んだ。

 

「ロジャー海賊団が来たぞ!!」

 

その瞬間レインとルークの動きが止まった。

 

「……は?」

 

ルークが固まる。

 

レインも固まる。

 

聞き間違いかと思った。

 

だが周囲の反応を見る限り違う。

 

「ロジャー海賊団?」

 

「本物か!?」

 

「港が大騒ぎになってるぞ!」

 

「レイリーもいた!」

 

「ギャバンもだ!」

 

人々の興奮はどんどん大きくなっていく。

 

レインとルークは顔を見合わせた。

 

数秒。

 

沈黙。

 

そして、

 

「社長」

 

「何だ」

 

「会えないって言ってませんでした?」

 

「言ったな」

 

「会えましたね」

 

「会えたな」

 

再び沈黙。

 

ルークは頭を抱えた。

 

嫌な予感しかしない。

 

一方...レインは口元を押さえていた。

 

笑いそうになっていた。

 

偶然。

 

偶然にしては出来過ぎている。

 

昨日ロジャーの生まれた町を見に来た。

 

そして今日。

 

ロジャー本人が来た。

 

そんなことがあるだろうか。

 

「社長」

 

ルークが真顔で言う。

 

「絶対突っ込んで行かないでくださいよ」

 

「まだ何も言ってない」

 

「その顔で言います?」

 

レインの口角は上がっていた。

 

完全に上がっていた。

 

ルークは確信する。

 

この人、今ものすごく楽しそうだ。

 

「行くぞ」

 

レインが言った。

 

「ほら!」

 

「港にだ」

 

「当たり前じゃないですか!」

 

ルークのツッコミが響く。

 

だが、彼自身も気になっていた。

 

海賊王候補。

 

ゴール・D・ロジャー。

 

冥王レイリー。

 

そして、新聞で見たばかりの光月おでん。

 

東の海では絶対に会えないはずの怪物たち。

 

その全員が今、ローグタウンへ来ている。

 

レインは静かに息を吐いた。

 

見聞色が告げている。

 

あの気配は間違いない。

 

そして、一年前に別れた男との再会が、すぐそこまで迫っていることも。

 

「行こう」

 

レインが笑う。

 

「はい……」

 

ルークは諦めたように頷いた。

 

二人は人波をかき分けながら港へ向かう。

 

運命の再会まで、あと僅かだった。

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