ONE PIECE 〜船大工レイン〜   作:ペンギンって可愛いですよね

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第百九十五話「怪物たちの宴」

 

「ガハハハハハ!!」

 

ロジャーの豪快な笑い声が港に響き渡る。

 

周囲の町人たちは、遠巻きにその様子を見ていた。

 

海賊王に最も近い男。

 

そのロジャーが、腹を抱えて笑っている。

 

しかも、相手はまだ十四歳の少年。

 

状況を知らない者からすれば、意味不明だった。

 

「面白すぎるだろ!」

 

「会いに行こうと思ったら、本人がここにいるんだぞ!」

 

「こんな偶然があるか!」

 

ロジャーは涙を拭きながら笑う。

 

レインも苦笑するしかなかった。

 

確かに、偶然にしては出来過ぎている。

 

昨日、ロジャーの生まれた町を見に来た。

 

そして今日、ロジャー本人が現れた。

 

もはや運命と言われても否定できない。

 

「だが、驚いたぞ」

 

ロジャーが改めてレインを見る。

 

「随分と強くなったな」

 

その言葉にレイリーも頷く。

 

「私も驚いた」

 

「一年でここまで変わるとは思わなかった」

 

レインは少し照れ臭そうに頭を掻いた。

 

その横で、ルークも頭を下げる。

 

「お久しぶりです」

 

「ルークも随分と強くなったな」

 

レイリーは笑う。

 

一年前はまだ少年だった。

 

だが、今は違う。

 

特に見聞色。

 

その鋭さは同年代どころか、大人と比べても異常だった。

 

「お前たち、本当に東の海で修行していたのか?」

 

ギャバンが呆れたように尋ねる。

 

「してましたよ」

 

「シモツキ村という所で」

 

「コウシロウ先生に教わりました」

 

その瞬間だった。

 

おでんの箸が止まった。

 

「待て」

 

低い声だった。

 

全員の視線がおでんへ向く。

 

「どうしました?」

 

レインが首を傾げる。

 

おでんは真剣な顔で尋ねた。

 

「今、何と言った?」

 

「シモツキ村ですけど」

 

おでんの目が見開かれる。

 

「シモツキ?」

 

今度はロジャーたちも反応した。

 

「知ってるのか?」

 

ロジャーが尋ねる。

 

おでんは腕を組んだ。

 

「知っているも何も、シモツキはワノ国の名門だ」

 

その場が静まり返る。

 

レインとルークが同時に固まった。

 

「え?」

 

「え?」

 

二人の声が綺麗に重なる。

 

おでんは続けた。

 

「刀鍛冶も輩出しておる」

 

「剣士も多い」

 

「ワノ国でも有名な一族だぞ」

 

レインは思わずルークを見る。

 

ルークもこちらを見ていた。

 

二人とも初耳だった。

 

「いや、先生はそんなこと一言も……」

 

「言ってませんでしたね」

 

おでんは苦笑した。

 

「なるほどな」

 

「だから強かったのか」

 

「納得した」

 

レイリーも少し感心したように頷く。

 

「東の海にシモツキの血筋がいたとはな」

 

ロジャーは面白そうに笑った。

 

「ガハハハ!」

 

「また面白い話が出てきたな!」

 

レインは頭を掻いた。

 

シモツキ村。

 

一心道場。

 

コウシロウ。

 

まさかワノ国と繋がっているとは思わなかった。

 

「先生に聞いたら、教えてくれたんですかね」

 

「多分、教えてくれなかったと思います」

 

ルークが即答する。

 

何となく、そんな気がした。

 

その後、ロジャーの提案で宴会が始まった。

 

ローグタウンの大きな酒場を貸し切り、ロジャー海賊団の船員たちが次々と集まってくる。

 

レイン。

 

ルーク。

 

そして、おでん。

 

怪物たちの宴が始まる。

 

「乾杯だぁ!!」

 

「おおおおおお!!」

 

酒場が揺れるほどの歓声が響く。

 

肉が運ばれる。

 

酒が並ぶ。

 

船員たちが騒ぐ。

 

いつの間にか、レインとルークもその輪の中へ引きずり込まれていた。

 

「それで?」

 

ロジャーが肉を頬張りながら尋ねる。

 

「この一年、何をしていたんだ?」

 

レインは苦笑しながら答えた。

 

シモツキ村へ行ったこと。

 

一心道場へ入門したこと。

 

毎日素振りを続けたこと。

 

瞑想をしたこと。

 

農作業まで手伝ったこと。

 

その全てを、話を聞くたびに船員たちが驚いていく。

 

「飛ぶ斬撃?」

 

ギャバンが目を丸くした。

 

「出ました」

 

ルークが即答する。

 

「木を切って怒られてました」

 

その瞬間、酒場中が大爆笑した。

 

「ガハハハハハ!!」

 

「何やってるんだ、お前!」

 

「先生が可哀想じゃねぇか!」

 

「事故だったんだ!」

 

「事故で木は倒れねぇだろ!」

 

再び爆笑が巻き起こる。

 

レインは頭を抱えた。

 

一方、ロジャーは涙が出るほど笑っていた。

 

「面白すぎるぞ、お前!」

 

「本当に変わらねぇな!」

 

話はさらに続く。

 

ルークの見聞色。

 

東の海の海賊狩り。

 

修行の日々。

 

そして、ロジャーと白ひげの激突。

 

おでんの加入。

 

どれも興味深い話ばかりだった。

 

やがて、話題は自然とおでんへ移る。

 

「新聞で見ました」

 

レインが言う。

 

「白ひげ海賊団から移ったんですよね」

 

「ああ!」

 

おでんは豪快に笑った。

 

「面白そうだったからな!」

 

その答えに、レインは納得した。

 

ルークも納得した。

 

ロジャーもレイリーも納得していた。

 

おでんならそうだろう。

 

全員がそう思った。

 

そして、宴も盛り上がった頃。

 

ロジャーが酒を飲みながら、レインを見る。

 

先ほどまでの笑顔とは少し違う。

 

真剣な顔だった。

 

「そういえば、レイン」

 

「何です?」

 

レインも表情を改める。

 

ロジャーはニヤリと笑った。

 

「お前の島にあるポーネグリフ」

 

「俺たちに見せてくれないか?」

 

その瞬間、酒場の空気が少し変わった。

 

レイリーが静かに酒を置く。

 

ギャバンも笑みを消した。

 

おでんの目も真剣になる。

 

ついに、ロジャー海賊団が東の海へ来た本当の理由が語られた。

 

レインは数秒黙り込む。

 

そして、小さくため息を吐いた。

 

「やっぱり、その話になりますよね」

 

そう言って、苦笑したのだった。

 

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