ONE PIECE 〜船大工レイン〜 作:ペンギンって可愛いですよね
「ガハハハハハ!!」
ロジャーの豪快な笑い声が港に響き渡る。
周囲の町人たちは、遠巻きにその様子を見ていた。
海賊王に最も近い男。
そのロジャーが、腹を抱えて笑っている。
しかも、相手はまだ十四歳の少年。
状況を知らない者からすれば、意味不明だった。
「面白すぎるだろ!」
「会いに行こうと思ったら、本人がここにいるんだぞ!」
「こんな偶然があるか!」
ロジャーは涙を拭きながら笑う。
レインも苦笑するしかなかった。
確かに、偶然にしては出来過ぎている。
昨日、ロジャーの生まれた町を見に来た。
そして今日、ロジャー本人が現れた。
もはや運命と言われても否定できない。
「だが、驚いたぞ」
ロジャーが改めてレインを見る。
「随分と強くなったな」
その言葉にレイリーも頷く。
「私も驚いた」
「一年でここまで変わるとは思わなかった」
レインは少し照れ臭そうに頭を掻いた。
その横で、ルークも頭を下げる。
「お久しぶりです」
「ルークも随分と強くなったな」
レイリーは笑う。
一年前はまだ少年だった。
だが、今は違う。
特に見聞色。
その鋭さは同年代どころか、大人と比べても異常だった。
「お前たち、本当に東の海で修行していたのか?」
ギャバンが呆れたように尋ねる。
「してましたよ」
「シモツキ村という所で」
「コウシロウ先生に教わりました」
その瞬間だった。
おでんの箸が止まった。
「待て」
低い声だった。
全員の視線がおでんへ向く。
「どうしました?」
レインが首を傾げる。
おでんは真剣な顔で尋ねた。
「今、何と言った?」
「シモツキ村ですけど」
おでんの目が見開かれる。
「シモツキ?」
今度はロジャーたちも反応した。
「知ってるのか?」
ロジャーが尋ねる。
おでんは腕を組んだ。
「知っているも何も、シモツキはワノ国の名門だ」
その場が静まり返る。
レインとルークが同時に固まった。
「え?」
「え?」
二人の声が綺麗に重なる。
おでんは続けた。
「刀鍛冶も輩出しておる」
「剣士も多い」
「ワノ国でも有名な一族だぞ」
レインは思わずルークを見る。
ルークもこちらを見ていた。
二人とも初耳だった。
「いや、先生はそんなこと一言も……」
「言ってませんでしたね」
おでんは苦笑した。
「なるほどな」
「だから強かったのか」
「納得した」
レイリーも少し感心したように頷く。
「東の海にシモツキの血筋がいたとはな」
ロジャーは面白そうに笑った。
「ガハハハ!」
「また面白い話が出てきたな!」
レインは頭を掻いた。
シモツキ村。
一心道場。
コウシロウ。
まさかワノ国と繋がっているとは思わなかった。
「先生に聞いたら、教えてくれたんですかね」
「多分、教えてくれなかったと思います」
ルークが即答する。
何となく、そんな気がした。
その後、ロジャーの提案で宴会が始まった。
ローグタウンの大きな酒場を貸し切り、ロジャー海賊団の船員たちが次々と集まってくる。
レイン。
ルーク。
そして、おでん。
怪物たちの宴が始まる。
「乾杯だぁ!!」
「おおおおおお!!」
酒場が揺れるほどの歓声が響く。
肉が運ばれる。
酒が並ぶ。
船員たちが騒ぐ。
いつの間にか、レインとルークもその輪の中へ引きずり込まれていた。
「それで?」
ロジャーが肉を頬張りながら尋ねる。
「この一年、何をしていたんだ?」
レインは苦笑しながら答えた。
シモツキ村へ行ったこと。
一心道場へ入門したこと。
毎日素振りを続けたこと。
瞑想をしたこと。
農作業まで手伝ったこと。
その全てを、話を聞くたびに船員たちが驚いていく。
「飛ぶ斬撃?」
ギャバンが目を丸くした。
「出ました」
ルークが即答する。
「木を切って怒られてました」
その瞬間、酒場中が大爆笑した。
「ガハハハハハ!!」
「何やってるんだ、お前!」
「先生が可哀想じゃねぇか!」
「事故だったんだ!」
「事故で木は倒れねぇだろ!」
再び爆笑が巻き起こる。
レインは頭を抱えた。
一方、ロジャーは涙が出るほど笑っていた。
「面白すぎるぞ、お前!」
「本当に変わらねぇな!」
話はさらに続く。
ルークの見聞色。
東の海の海賊狩り。
修行の日々。
そして、ロジャーと白ひげの激突。
おでんの加入。
どれも興味深い話ばかりだった。
やがて、話題は自然とおでんへ移る。
「新聞で見ました」
レインが言う。
「白ひげ海賊団から移ったんですよね」
「ああ!」
おでんは豪快に笑った。
「面白そうだったからな!」
その答えに、レインは納得した。
ルークも納得した。
ロジャーもレイリーも納得していた。
おでんならそうだろう。
全員がそう思った。
そして、宴も盛り上がった頃。
ロジャーが酒を飲みながら、レインを見る。
先ほどまでの笑顔とは少し違う。
真剣な顔だった。
「そういえば、レイン」
「何です?」
レインも表情を改める。
ロジャーはニヤリと笑った。
「お前の島にあるポーネグリフ」
「俺たちに見せてくれないか?」
その瞬間、酒場の空気が少し変わった。
レイリーが静かに酒を置く。
ギャバンも笑みを消した。
おでんの目も真剣になる。
ついに、ロジャー海賊団が東の海へ来た本当の理由が語られた。
レインは数秒黙り込む。
そして、小さくため息を吐いた。
「やっぱり、その話になりますよね」
そう言って、苦笑したのだった。