ONE PIECE 〜船大工レイン〜   作:ペンギンって可愛いですよね

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第百九十七話「帰郷」

 

ローグタウンでの宴から数日後、東の海を二隻の船が進んでいた。

 

一隻はレインたちの船、雨神。

 

そして、もう一隻は世界最高峰の海賊団が乗る船――オーロ・ジャクソン号だった。

 

普通なら決して並ぶことのない二隻である。

 

しかし、今は違う。

 

ロジャーたちはレインの島へ向かっていた。

 

ポーネグリフを見るために。

 

そして、レインの家族へ会うために。

 

「それにしても面白い船だな!」

 

おでんが雨神の甲板を見回しながら言った。

 

すでに何度も見ているはずなのに、飽きないらしい。

 

「どこがです?」

 

レインが尋ねる。

 

「全部だ!」

 

おでんは即答した。

 

「船体もそうだが、細かい工夫が多い!」

 

「普通の船とは発想が違う!」

 

隣では、ギャバンも頷いていた。

 

航海士として興味を持ったらしい。

 

「確かにな」

 

「東の海で造られた船とは思えん」

 

「新世界でも十分通用する」

 

その評価に、レインは少し照れ臭そうに笑った。

 

一方、ロジャーは甲板の手すりへ腰掛けながら言う。

 

「十四歳でこんな船を設計する方がおかしいだろ」

 

「普通は無理だ」

 

「俺もそう思います」

 

ルークが真顔で頷いた。

 

レインが即座に睨む。

 

「おい」

 

「事実です」

 

「味方しろよ」

 

「無理です」

 

ロジャー海賊団の面々が笑った。

 

相変わらずのやり取りだった。

 

そんな平和な時間が流れる。

 

そして数日後、見慣れた島影が水平線の向こうに現れた。

 

レインの表情が少し変わる。

 

ルークも気付いた。

 

「見えてきましたね」

 

「ああ」

 

故郷だった。

 

生まれ育った島。

 

一年以上離れていた場所。

 

船乗りとしては長くない。

 

だが、レインにとっては随分久しぶりに感じた。

 

シモツキ村での修行。

 

ローグタウン。

 

ロジャーとの再会。

 

色々なことがあり過ぎたのだ。

 

「帰ってきたな」

 

レインが小さく呟く。

 

その声は、どこか柔らかかった。

 

ロジャーが隣へやって来る。

 

「お前でも、そんな顔をするんだな」

 

「どんな顔ですか?」

 

「故郷が恋しいって顔だ」

 

レインは苦笑した。

 

否定はしない。

 

実際、その通りだったからだ。

 

気付けば、島はどんどん近付いてくる。

 

港も見える。

 

見慣れた建物も。

 

工房も。

 

森も。

 

全てが懐かしかった。

 

その頃、港では一人の漁師が海を眺めていた。

 

そして、見覚えのある船を発見する。

 

「あれ?」

 

目を細める。

 

見間違えるはずがない。

 

「あれ、レインの船じゃないか?」

 

その言葉に、周囲の人々も振り返る。

 

「本当だ!」

 

「雨神だ!」

 

「帰ってきたぞ!」

 

瞬く間に噂が広がった。

 

一年以上ぶりの帰郷だ。

 

島民たちも大喜びである。

 

だが、次の瞬間、全員が固まった。

 

雨神の後ろに、さらに巨大な船が見える。

 

特徴的な船首。

 

巨大な帆。

 

見覚えがある。

 

いや、世界中の誰もが知っている。

 

「おい……」

 

「嘘だろ……」

 

「まさか……」

 

島民たちの顔色が変わる。

 

そして、誰かが叫んだ。

 

「ロジャー海賊団だあああああ!!」

 

一瞬で港が大混乱になった。

 

「何で!?」

 

「何を連れて帰ってきたんだ!?」

 

「海賊だぞ!?」

 

「しかもロジャーだぞ!?」

 

「この島、終わった!?」

 

大騒ぎだった。

 

子供たちは泣く。

 

大人たちは慌てる。

 

長老の家へ走る者まで現れた。

 

そんな騒動をよそに、雨神はゆっくりと港へ接岸した。

 

ロープが投げられる。

 

船が固定される。

 

そして、レインは静かに桟橋へ降り立った。

 

一年以上ぶりの故郷の土だった。

 

周囲を見渡す。

 

懐かしい顔ばかりだ。

 

やがて、人混みの向こうから二人の人物が走ってくる。

 

父だった。

 

母だった。

 

二人とも必死な顔をしている。

 

レインは思わず笑う。

 

「ただいま」

 

その一言だった。

 

母の目から涙が零れる。

 

父も安堵したように息を吐いた。

 

「おかえり」

 

たったそれだけ。

 

それだけだった。

 

だが、十分だった。

 

ルークも後ろで笑っている。

 

彼にとっても、ここは帰る場所だった。

 

しかし、感動の再会は長く続かなかった。

 

父の視線がレインの後ろへ向く。

 

そして、完全に固まった。

 

そこには――

 

ゴール・D・ロジャー。

 

シルバーズ・レイリー。

 

スコッパー・ギャバン。

 

光月おでん。

 

世界最高峰の怪物たちが並んでいる。

 

父は数秒沈黙した。

 

そして、ゆっくりとレインを見る。

 

「……レイン」

 

「何だ?」

 

「なぜ、ロジャー海賊団がいる?」

 

真顔だった。

 

完全に真顔だった。

 

レインは苦笑する。

 

ロジャーは腹を抱えて笑い始めた。

 

「ガハハハハハ!!」

 

レイリーも肩を震わせている。

 

ギャバンは頭を押さえた。

 

おでんは豪快に笑う。

 

港の島民たちは、ますます混乱していた。

 

そして、レインは空を見上げながら思う。

 

……説明が大変そうだ。

 

こうしてレインの帰郷は、予想以上に賑やかなものとなったのだった。

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