ONE PIECE 〜船大工レイン〜   作:ペンギンって可愛いですよね

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第二百十二話「赤髪と道化」

 

地下遺跡を出た時には、既に太陽は西へ傾いていた。

 

空は茜色に染まり始めている。

 

レインは思わず空を見上げた。

 

「もう夕方ですか……」

 

地下に入った時はまだ昼前だった。

 

ジョイボーイ。

 

ルーメン。

 

リリィ。

 

空白の百年。

 

そして未来へ託された夢。

 

あまりにも濃い時間だったせいで、時間の感覚が完全に狂っていた。

 

ルークも大きく伸びをする。

 

「流石に疲れましたね」

 

「そうだな」

 

精神的にも体力的にも消耗していた。

 

だが、そんな空気を一瞬で吹き飛ばす男がいる。

 

「よし!!」

 

ロジャーが拳を突き上げた。

 

嫌な予感しかしない。

 

「宴だァァァァァ!!」

 

「やっぱり!」

 

レインとルークの声が綺麗に重なった。

 

ロジャーは満面の笑みだ。

 

「こんな面白い話を聞いた後に宴をせんでどうする!」

 

「いや、俺達の島なんですけど」

 

「細かいことは気にするな!」

 

「気にしてください!」

 

だが既に遅い。

 

ロジャー海賊団の面々は慣れた様子で準備を始めていた。

 

巨大な魚が捌かれ。

 

酒樽が運ばれ。

 

肉が豪快に焼かれていく。

 

おでんに至っては既に料理をつまみ食いしていた。

 

「うまい!」

 

「まだ焼けてませんよ!」

 

ルークが思わず突っ込む。

 

レイリーは苦笑しながら酒を準備していた。

 

ギャバンも完全に諦めている。

 

そして一時間後。

 

宴は盛大に始まっていた。

 

ロジャー海賊団。

 

島の住民達。

 

レインの家族。

 

長老。

 

皆が集まり大騒ぎになっている。

 

そんな中、

 

「おーい、レイン!」

 

ロジャーが手招きした。

 

「何ですか?」

 

「ちょっと来い」

 

レインは嫌な予感を覚えながら近付く。

 

すると、そこには二人の少年が立っていた。

 

一人は赤い髪。

 

もう一人は青い髪に大きな赤鼻。

 

年齢は十二歳ほど。

 

レインより二つ下だ。

 

まだ幼さの残る少年達だった。

 

だが、レインは思わず固まる。

 

(若っ!!)

 

いや当たり前である。

 

まだ十二歳なのだから。

 

だが前世の記憶を持つレインからすると違和感が凄かった。

 

未来の四皇。

 

世界中に名を轟かせる大海賊。

 

そして後に世界政府すら振り回す男。

 

その二人が目の前にいる。

 

しかもまだ十二歳だ。

 

「紹介するぞ!」

 

ロジャーが二人の肩を抱く。

 

「シャンクスじゃ!」

 

赤髪の少年がニッと笑う。

 

「よろしくな!」

 

「そしてバギーじゃ!」

 

青髪の少年が胸を張る。

 

「俺は将来大海賊になる男だ!」

 

「そうですか」

 

「反応薄くねぇ!?」

 

バギーが即座に叫んだ。

 

レインは苦笑する。

 

知っている。

 

大海賊になる。

 

色々な意味で。

 

「前は色々あって紹介できなかったからな」

 

ロジャーが笑う。

 

確かに前回会った時は色々あり過ぎた。

 

地下遺跡どころではなかった。

 

シャンクスはレインを見上げる。

 

「なあなあ!」

 

「何ですか?」

 

「お前強いんだろ?」

 

「まあ多少は」

 

「多少じゃないでしょう」

 

ルークが即座に突っ込んだ。

 

「ロジャーさん達相手に普通に話してる時点でおかしいですから」

 

「そうか?」

 

「そうです」

 

ルークは断言した。

 

するとロジャーがニヤリと笑った。

 

嫌な予感しかしない。

 

「レイン」

 

「何ですか?」

 

「こいつらに戦い方教えてやってくれんか?」

 

沈黙。

 

レインは無言でロジャーを見る。

 

ロジャーは満面の笑み。

 

嫌な笑顔だ。

 

「嫌です」

 

即答だった。

 

「何でだ!」

 

「面倒だからです」

 

「正直者!」

 

おでんが大爆笑する。

 

レイリーまで肩を震わせていた。

 

シャンクスは目を輝かせている。

 

バギーも興味津々だ。

 

「頼むよ!」

 

「お願いします!」

 

二人に頭を下げられる。

 

レインは頭を抱えた。

 

遠くを見るとルークが笑っている。

 

助ける気は全く無いらしい。

 

「……少しだけですよ」

 

結局折れた。

 

「やった!」

 

シャンクスが飛び上がる。

 

「本当か!?」

 

バギーも喜んでいる。

 

ロジャーは満足そうだった。

 

そんな時だった。

 

「む?」

 

おでんが声を上げる。

 

先程まで笑っていた顔が変わる。

 

鋭い視線。

 

完全に剣士の顔だった。

 

視線の先にあるのは。

 

レインの腰に差された刀。

 

黎明。

 

おでんはゆっくり近付く。

 

そして刀を見つめた。

 

数秒。

 

無言の時間が流れる。

 

やがて、

 

「レイン」

 

おでんが静かに口を開いた。

 

「何ですか?」

 

「その刀」

 

おでんの目は真剣そのものだった。

 

先程まで宴で騒いでいた男とは思えない。

 

「見せてもらっても良いか?」

 

その言葉に、

 

ロジャーも。

 

レイリーも。

 

ギャバンも。

 

剣士達が反応した。

 

どうやらおでんは何かに気付いたらしい。

 

レインは腰の黎明へ視線を落とした。

 

そして静かに頷く。

 

「良いですよ」

 

宴の喧騒の中、光月おでんの視線は一振りの刀へ向けられていた。

 

まるで宝物を見るかのように…

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