ONE PIECE 〜船大工レイン〜 作:ペンギンって可愛いですよね
宴は夜遅くまで続いた。
ロジャーは酒を飲み。
ガープも酒を飲み。
おでんは肉を食べ。
島民達は歌い。
シャンクスとバギーは騒ぎ回る。
いつもの島の日常に、少し変な客が増えただけだった。
そして翌朝。
港には軍艦が停泊していた。
ガープ率いる海兵達は出航準備をしている。
レイン達も見送りに来ていた。
ロジャー海賊団も何故か全員いる。
海兵達は居心地が悪そうだった。
当然である。
海賊王候補の船長と、その一味が普通に港にいるのだから。
そんな中、ガープが腕を組んだ。
「ふむ」
そして、
ロジャーを見る。
ロジャーも見る。
数秒。
沈黙。
海兵達に緊張が走った。
まさか...また始まるのか。
だが、ガープは大きく頷いた。
「今回は見逃してやる!」
沈黙...全員が固まった。
ガープは満足そうだった。
「ここで貴様を捕まえようとしたら島を壊しかねん」
「うむ」
ロジャーも頷く。
「そしたら」
ガープがレインを見る。
レインが嫌な予感を覚える。
「レインに殺されそうじゃからな!」
港が静まり返った。
数秒後。
ロジャー海賊団が爆笑した。
「ガハハハハハ!」
「確かに!」
「それは怖ぇ!」
おでんは腹を抱えている。
レイリーも笑っていた。
だが、レインとルーク、そして島民達だけは違った。
全員、同じことを考えていた。
(見逃すも何も)
(昨日一緒に酒飲んでたよね?)
完全に同じ感想だった。
海兵達も似たような顔をしている。
ガープだけが満足そうだった。
「よし!」
「帰る!」
「帰るのかよ!」
ロジャーが突っ込む。
「仕事があるからのう!」
するとガープは懐から袋を取り出した。
そして、レインへ放り投げる。
「ほれ」
「何だ?」
中を見る。
ベリーだった。
かなりの額が入っている。
「昨日の飲み代じゃ」
「払う気あったのか」
レインが思わず呟く。
ガープが胸を張る。
「当然じゃ!」
海兵達は微妙な顔をしていた。
昨日、あれだけ飲み食いしたのだから当然である。
ガープはそのまま軍艦へ向かう。
島民達が手を振る。
「また来てください!」
「うむ!」
「今度は魚釣りしましょう!」
「良いのう!」
完全に親戚のおじさんだった。
やがて軍艦が出航する。
見送る島民達。
そして誰かが呟いた。
「結局」
全員が振り返る。
「ガープ中将って何しに来たんだ?」
沈黙。
レイン。
ルーク。
島民達。
ロジャー海賊団。
全員考える。
そして...誰も答えられなかった。
「確かに」
レイリーが頷く。
「何しに来たんだ?」
本当に分からなかった。
その頃、軍艦の上、ガープは甲板で昼寝をしようとしていた。
「ふぁ~」
気持ち良さそうである。
だが、そこでふと思い出した。
「あ」
副官が振り返る。
「どうされました?」
ガープは数秒固まる。
そして、
「レインを海軍本部へ連れて来ようと思っておったんじゃった」
沈黙。
副官も固まる。
「忘れておった」
ガープは頭を掻く。
「まあ良いか」
「良いんですか?」
「良いじゃろ」
全然良くなかった。
だがガープは既に寝始めていた。
副官は頭を抱える。
そして数日後、海軍本部マリンフォード。
元帥室。
コング元帥の怒号が響いた。
「ガァァァァプ!!」
海軍本部が震える。
センゴクが頭を抱えていた。
「何をやらかしたんだ今度は……」
机の上には報告書。
内容は簡単だった。
『ロジャー海賊団と遭遇』
『戦闘開始寸前』
『島の少年に怒られる』
『その後宴会』
『ガープ中将とロジャーが一緒に飲酒』
コングの額に青筋が浮かぶ。
「貴様は馬鹿か!?」
「ガハハハ!」
「笑い事ではない!!」
センゴクも呆れていた。
「ロジャーを捕まえろとは言わん」
「だが一緒に酒を飲むな!」
「たまたまじゃ」
「たまたまな訳あるか!」
再び怒号が響く。
その後、コングは深いため息を吐いた。
「仕方ない」
「何がじゃ?」
「謝る」
数日後。
島。
レイン工房。
電話虫が鳴った。
プルルルルル。
レインが受話器を取る。
「もしもし?」
『コングだ』
レインが固まる。
「元帥?」
近くにいたロジャー海賊団も固まる。
まだいた...もう一週間近く滞在していたのである。
『先日はすまなかった』
「何がです?」
『ガープの件だ』
レインは納得した。
「ああ」
『迷惑を掛けた』
「慣れてます」
『そうか……』
コングの声が少し疲れていた。
そして電話が切れる。
工房が静まり返る。
ロジャーがゆっくり聞く。
「今のまさか...」
「コング元帥」
沈黙...
おでんが固まる。
ギャバンも固まる。
シャンクスとバギーも固まる。
レイリーが額を押さえる。
「待て」
「何だ?」
ロジャーが聞く。
「何で元帥から謝罪の電話が来る?」
「知らん」
レインも本当に知らなかった。
ロジャー海賊団全員が思った。
ガープ。
海軍本部。
コング元帥。
そしてレイン。
この島は本当に何なんだ?
そして、もう一週間近く滞在している自分達も大概だな。
そう思い始めていた。