ONE PIECE 〜船大工レイン〜 作:ペンギンって可愛いですよね
第二百二十四話「早すぎる到着」
島を出航して二日後。
快晴。
海は穏やかだった。
《雨神》は海面を滑るように進んでいる。
船首ではレインが海図を確認していた。
そして、見覚えのある町並みが見えてくる。
高い時計台。
港町特有の建物。
東の海最果ての町。
ローグタウンだった。
レインは頷く。
「着いたな」
その一言に。
ルークがゆっくり振り返る。
そして、町を見る。
もう一度見る。
海図を見る。
また町を見る。
数秒後、
「いや早すぎでしょ!!」
海に向かって叫んだ。
レインが耳を塞ぐ。
「うるさい」
「うるさくないですよ!」
ルークは本気だった。
「前来た時、一週間掛かりましたよね!?」
「ああ」
「二日ですよ!?」
「ああ」
「何なんですかこの船!?」
レインは少し考えた。
そして、
「船だな」
「知ってますよ!」
ルークが即座に突っ込む。
この二日間。
ルークはずっと驚いていた。
風が吹いている時は普通に帆走。
風が弱くなったら発電装置で蓄えた電力を使用。
後部の推進用プロペラが回転。
そのまま加速。
最初は壊れたと思った。
次に夢だと思った。
最後は諦めた。
そして今、予定より五日も早く到着したのである。
ルークは頭を抱える。
「レインさん」
「何だ?」
「何てものを発明したんですか」
レインは少し考える。
そして、
「便利な船」
「それだけじゃないでしょう!」
ルークは叫ぶ。
船乗りなら分かる。
これがどれだけ異常なことか。
風に左右されない。
移動速度が速い。
長距離航海が可能になる。
軍事的価値も高い。
物流も変わる。
世界が変わる。
それほどの発明だった。
ルークはため息を吐く。
「これ広まったら世界変わりますよ」
「そうか?」
「変わります」
即答だった。
レインは少し考え込む。
「じゃあしばらく秘密だな」
「それが良いと思います」
ルークも即答した。
こんなものを世界政府や海軍に知られたら面倒なことになる。
海賊に知られても面倒だ。
何よりベガパンク辺りが知ったら絶対に興味を持つ。
その時だった。
港の方から声が聞こえた。
「おい!」
「船が来たぞ!」
「早くねぇか!?」
港の人々も気付いたらしい。
《雨神》は予想より遥かに早く到着していた。
レインは笑う。
「とりあえず着いた」
「それはそうなんですけどね」
ルークはまだ納得していない。
一週間掛かると思っていた旅が二日。
正直。
感覚がおかしくなりそうだった。
するとレインが海図を畳む。
「次はどうする?」
「まず宿ですよ」
ルークが即答する。
「二日間船でしたし」
「そうだな」
そして二人はローグタウンの港へ入る。
東の海最後の町。
海賊王ゴールド・ロジャーが生まれ。
そして処刑された町。
だが、レインの頭の中は別のことでいっぱいだった。
ロジャーの血液。
不治の病。
空飛ぶ船。
ジョイボーイの日誌。
やることは山ほどある。
ルークはそんなレインを見て苦笑した。
「また何か考えてますね」
「まあな」
「今度は何ですか?」
レインは少し笑う。
「空飛ぶ船だ」
ルークは天を仰いだ。
「やっぱりか……」
ローグタウンへ到着して数分。
まだ町に入ってすらいない。
だが、二人の次の冒険は既に始まっていた。