ONE PIECE 〜船大工レイン〜 作:ペンギンって可愛いですよね
ローグタウンへ到着した二人は、港近くの宿を取っていた。
久しぶりの陸地である。
二日間船に揺られ続けていたため、ルークはベッドへ倒れ込んだ。
「はぁぁ……」
「やっぱり陸は良いですね」
レインも椅子へ腰掛ける。
「そうだな」
しばらく静かな時間が流れる。
だが、ルークは何か考え事をしている様子だった。
レインは気付く。
「どうした?」
ルークが顔を上げる。
少し真面目な顔だった。
「レインさん」
「ん?」
「相談があります」
珍しい。
ルークから相談してくることは多くない。
レインは腕を組んだ。
「聞こう」
ルークは少し迷った後、口を開く。
「俺も武器を持ちたいです」
レインが首を傾げる。
「武器?」
「はい」
ルークは頷いた。
「レインさんは黎明があります」
「うん」
「ロジャーさんも剣でした」
「そうだな」
「おでんさんも剣です」
「うん」
「でも俺は剣向いてないと思うんですよ」
レインは納得した。
確かにその通りだった。
ルークは元々武術家タイプだ。
剣術より体術の方が向いている。
しかも、見聞色の才能が高い。
レインは少し考え込む。
そして、ふと思いついた。
「銃とか良いんじゃないか?」
ルークが固まる。
「銃ですか?」
「ああ」
レインは頷く。
「お前の戦い方と相性良いと思う」
ルークは真剣に聞き始めた。
レインは机の上へ紙を置く。
そして簡単な絵を描き始める。
「まずお前は見聞色が得意だ」
「はい」
「相手を探知できる」
「はい」
「見えない場所からでも位置を把握できる」
「はい」
レインは笑った。
「なら近付く必要なくないか?」
ルークが固まる。
確かにそうだった。
今まで考えたこともなかった。
「見聞色で相手を捉える」
「はい」
「遠距離から撃つ」
「はい」
「相手はどこから撃たれたか分からない」
「……」
「めちゃくちゃ強くないか?」
ルークが沈黙する。
確かに強い。
かなり強い。
というか嫌らしい。
非常に嫌らしい。
レインはさらに続ける。
「しかも見聞色同士の戦いなら」
「はい」
「先に見つけた方が有利だ」
「確かに」
「お前そういう戦い方向いてるだろ」
ルークは否定できなかった。
昔からそうだった。
正面突破より状況判断。
力押しより作戦。
確かに自分らしい。
そして、レインはさらに恐ろしいことを言う。
「たまに武装色を弾に込めれば」
ルークの目が見開く。
「能力者相手でも通用する」
部屋が静かになる。
能力者。
普通の銃では効かない相手もいる。
だが、武装色なら話は別だ。
ルークは思わず呟く。
「それ……」
「うん」
「かなり強くないですか?」
「強いと思う」
レインはあっさり認めた。
そして、さらに爆弾を投下する。
「何なら俺が作ってやる」
沈黙。
ルークが固まる。
数秒。
十数秒。
そして。
「は?」
レインは普通だった。
「銃」
「いや」
「うん」
「作れるんですか?」
レインは首を傾げる。
「作れるだろ」
「何でそんな当たり前みたいに言うんですか」
ルークが頭を抱える。
この男。
鍛冶屋。
船大工。
医者。
発明家。
そして今、銃器開発者になろうとしていた。
肩書きがまた増える。
レインは紙へ設計図を書き始める。
「ライフルかな」
「らいふる?」
「長い銃だ」
「ほう」
「精度が高い」
「ほう」
「遠くまで届く」
「ほう」
「お前向きだ」
ルークは設計図を見る。
当然分からない。
だが、レインが作る物は今まで全て成功している。
空飛ぶ船以外。
まだ飛んでいないので。
「作れるんですか?」
「作れる」
即答だった。
「いつ頃ですか?」
レインは少し考える。
そして。
「三日」
ルークが固まる。
「三日?」
「ああ」
「三日?」
「ああ」
「また始まった……」
ルークは天を仰いだ。
普通の鍛冶屋なら数ヶ月。
いや一年掛かるかもしれない。
だが、目の前の男は三日と言った。
つまり三日で完成する。
ルークはもはや理解を諦めた。
「じゃあお願いします」
「ああ」
レインは笑う。
「世界一使いやすい銃を作ってやる」
その目は完全に発明家の目だった。
ルークは少しだけ不安になった。
世界一使いやすい。
その言葉が、何故か世界一危険な発明が生まれる前触れに聞こえたからだった。