ONE PIECE 〜船大工レイン〜   作:ペンギンって可愛いですよね

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第二百二十六話「雨神の秘密工房」

 

ルークは少し考えた後、ふと疑問に思った。

 

「そういえば」

 

「ん?」

 

レインは設計図を書き続けている。

 

「どこで作るんですか?」

 

その言葉に、レインは顔を上げた。

 

そして、

 

「船だけど」

 

当然のように答えた。

 

ルークが固まる。

 

「船?」

 

「ああ」

 

「雨神で?」

 

「ああ」

 

沈黙......

 

数秒後、

 

「どうやってですか?」

 

当然の疑問だった。

 

鍛冶には炉が必要だ。

 

金属を加工する設備も必要だ。

 

宿の部屋で出来る話ではない。

 

すると、レインは首を傾げた。

 

「知らなかったのか?」

 

「何をです?」

 

「二階」

 

「二階?」

 

ルークはさらに混乱する。

 

雨神は二階建て構造になっている。

 

だが、上は倉庫や居住スペースだと思っていた。

 

レインは普通に答える。

 

「小さい作業場作ってあるぞ」

 

沈黙。

 

「……は?」

 

「あと鍛冶用のかまどもある」

 

「……は?」

 

「石炭も積んでる」

 

「……は?」

 

ルークの思考が停止した。

 

レインは続ける。

 

「炉もある」

 

「……」

 

「金床もある」

 

「……」

 

「工具一式も」

 

「……」

 

「鉄材も」

 

「……」

 

「銅も」

 

「……」

 

「予備の歯車も」

 

「……」

 

「火薬の材料も」

 

「待ってください」

 

ルークが両手を上げた。

 

レインが首を傾げる。

 

「何だ?」

 

「知りませんでしたよそんなの!!」

 

宿中に響く大声だった。

 

隣の部屋から壁を叩く音まで聞こえてくる。

 

レインは少し考える。

 

そして、

 

「あれ?」

 

嫌な予感がした。

 

「言ってなかったか?」

 

ルークが頭を抱えた。

 

「聞いてませんよ!」

 

「そうだったか?」

 

「そうですよ!」

 

レインは本気で不思議そうだった。

 

ルークは天井を見上げる。

 

思い返してみれば、確かにレインならやる。

 

むしろ何故気付かなかったのか。

 

船を設計したのもレイン。

 

建造したのもレイン。

 

改良したのもレイン。

 

だったら、船の中に工房を作るくらい普通にやる。

 

「いや普通じゃないんですよ……」

 

思わず声に出ていた。

 

「何が?」

 

「全部です」

 

即答だった。

 

レインは納得していない。

 

だがルークはもう慣れていた。

 

この男は自分の異常さを理解していない。

 

そこで、レインは立ち上がった。

 

「来い」

 

「どこにです?」

 

「船」

 

数分後、二人は再び雨神へ戻っていた。

 

そして、ルークは初めて二階の奥へ案内される。

 

隠し扉…というほどではないが、普段は棚で隠されている場所だった。

 

レインが棚を動かす。

 

ガコン。

 

入口が現れる。

 

「……」

 

ルークは嫌な予感しかしない。

 

そして、中へ入った。

 

沈黙…

 

「……」

 

「……」

 

さらに沈黙。

 

そこには、小さな工房が存在していた。

 

炉。

 

金床。

 

工具棚。

 

金属材料。

 

設計机。

 

さらには小型の旋盤まである。

 

ルークが口を開ける。

 

「え?」

 

レインは満足そうだった。

 

「どうだ?」

 

「どうだじゃないですよ」

 

ルークは思わず壁へ手をつく。

 

頭が痛い。

 

「何で船の中に工房があるんですか?」

 

「便利だから」

 

「便利だからじゃないです」

 

「航海中に思いつくことあるだろ」

 

「ありますけど」

 

「その時作れる」

 

「それはそうですけど」

 

「だから作った」

 

レインの中では完璧な理屈だった。

 

ルークは反論できない。

 

悔しいが理屈は通っている。

 

ただ普通の人はやらないだけだ。

 

レインは炉を叩く。

 

「ここで作る」

 

ルークは改めて工房を見る。

 

確かに、ここなら銃くらい作れそうだった。

 

というか、本格的すぎる。

 

「もしかして」

 

「何だ?」

 

「空飛ぶ船の部品もここで?」

 

「一部は」

 

「ですよね……」

 

もはや驚かない。

 

驚けない。

 

するとレインは設計図を広げた。

 

「さて」

 

その瞬間、発明家の顔になる。

 

ルークは少し身構えた。

 

「ルーク専用ライフル計画開始だ」

 

「計画名まであるんですか」

 

「当然だ」

 

レインは真剣だった。

 

ルークはため息を吐く。

 

だが、少しだけ嬉しかった。

 

自分専用の武器。

 

しかもレインが本気で作る武器だ。

 

弱い訳がない。

 

レインは鉛筆を走らせる。

 

「まずは射程」

 

「はい」

 

「次に精度」

 

「はい」

 

「軽量化も必要だな」

 

「はい」

 

「見聞色との連携も考える」

 

「はい」

 

「ついでに覇気伝導率も」

 

「はい?」

 

最後だけ意味が分からなかった。

 

だが、レインはもう止まらない。

 

こうして、ローグタウンの港に停泊した雨神の秘密工房で。

 

未来の狙撃手ルークのための武器開発が始まったのであった。

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