ONE PIECE 〜船大工レイン〜 作:ペンギンって可愛いですよね
それから三日後…雨神の秘密工房。
カンッ。
カンッ。
カンッ。
最後の仕上げの音が響く。
そして、レインは大きく息を吐いた。
「よし」
作業台の上には、一丁の銃が置かれていた。
長い銃身。
無駄のない造形。
白銀色に輝く金属。
そして細部まで計算された設計。
一目見ただけで分かる。
普通の銃ではない。
ルークは思わず息を呑んだ。
「完成ですか?」
「ああ」
レインが頷く。
「完成だ」
ルークが近づく。
そして恐る恐る手に取った。
軽い。
驚くほど軽い。
なのに、異常なほど頑丈そうだった。
「軽い……」
「だろ?」
レインは少し得意そうだった。
ルークは銃を眺める。
「何でこんなに軽いんですか?」
すると、レインはさらっと言った。
「空飛ぶ船用の素材を少し使った」
沈黙......
ルークが固まる。
「は?」
「だから空飛ぶ船の素材」
「いやいやいや」
ルークは慌てて銃を確認する。
「良いんですか!?」
「何が?」
「そんな貴重そうな素材使って!」
レインは首を傾げた。
「別に」
「別にじゃないですよ!」
ルークが叫ぶ。
ジョイボーイの日誌。
ルーメンが残した資料。
地下施設。
あの大量の未来素材。
どれだけ貴重かは分かっている。
レインは笑った。
「少しくらいなら問題ない」
「何でです?」
「分析したから」
ルークが嫌な予感を覚える。
「分析?」
「ああ」
レインは普通に答えた。
「同じ素材作れる」
沈黙。
「……は?」
「だから」
レインは繰り返した。
「少しあれば構造を調べられる」
「調べたら再現できる」
「だから問題ない」
ルークが天井を見上げる。
そして、頭を抱えた。
やっぱりこの人ヤバい。
改めてそう思った。
空飛ぶ船の素材。
八百年前の技術。
未来の遺産。
それを、
『調べたから作れる』
の一言で片付けた。
「レインさん」
「何だ?」
「やっぱりヤバい人ですよね」
「失礼だな」
全く否定になっていなかった。
ルークは諦めた。
もう考えるだけ無駄である。
そして、改めて銃を見る。
美しい。
本当に美しい。
銃身には小さく文字が刻まれていた。
《白鷹》
「名前まで付いてる……」
「必要だろ」
レインは当然のように言う。
「黎明があるんだから」
「確かに」
ルークは少し嬉しくなった。
自分だけの武器。
そう思うと自然と笑みが浮かぶ。
すると、レインが思い出したように言った。
「ああ…そうだ…」
「何です?」
「弾も作っといた」
ルークが頷く。
当然だ。
銃だけあっても意味がない。
だが、次の言葉で固まった。
「五百発くらい」
沈黙。
「……はい?」
「五百発」
「いつの間に!?」
ルークが叫ぶ。
レインは首を傾げる。
「作ってた」
「見てませんけど!?」
「夜」
「寝てくださいよ!」
ルークが頭を抱える。
レインは真面目だった。
「念のためだ」
「五百発もいらないでしょ!」
「いるかもしれない」
「何と戦う気なんですか!」
「分からないだろ」
「分からないですけど!」
全く会話にならなかった。
レインは木箱を指差す。
そこには綺麗に整理された弾薬が並んでいる。
本当に五百発あった。
ルークは眩暈がした。
「多すぎる……」
「足りなくなるより良い」
「普通はそんなに撃ちません」
「未来は分からない」
「便利な言葉ですねそれ」
レインは満足そうだった。
そして、ライフルを持つルークを見る。
「撃ってみるか?」
その一言で、ルークの目が輝いた。
さっきまでの疲れが吹き飛ぶ。
「良いんですか!?」
「ああ」
レインは笑う。
「せっかくだ」
「性能確認しよう」
ルークは大事そうに白鷹を抱える。
人生初の銃。
しかも、世界に一丁しかない専用武器。
胸が高鳴る。
レインは工具を片付けながら笑った。
「さて」
「はい」
「驚くなよ?」
その言葉に、ルークは少しだけ不安になった。
レインがそう言う時。
大体常識が壊れる。
だが、まだこの時のルークは知らなかった。
この《白鷹》が、東の海どころか世界でも類を見ない怪物級のライフルになっていることを。
そして、これから始まる試射で、自分がさらに頭を抱えることになることを、まだ知らなかったのである。