ONE PIECE 〜船大工レイン〜 作:ペンギンって可愛いですよね
翌日。
レインとルークは《雨神》を出航させていた。
目的地はローグタウンから少し離れた無人島。
流石に町の中で試し撃ちは出来ない。
銃声だけで海兵が飛んでくる可能性がある。
何より危険だった。
「確かにローグタウンで撃ったら大騒ぎですね」
ルークが言う。
「間違いなく海兵が来るな」
レインも頷いた。
そして数時間後、二人は無人島へ到着する。
島の中央付近。
人がいないことを確認して準備を始めた。
レインは木材を組み立てる。
そして的を設置した。
距離はおよそ二百メートル。
この世界の一般的な銃ならかなり厳しい距離である。
ルークは思わず聞いた。
「遠くないですか?」
「近いだろ」
「どこがですか」
「白鷹なら問題ない」
全く参考にならなかった。
レインは平然としている。
ルークは不安になってきた。
本当に当たるのだろうか。
人生初の銃だ。
まともに扱える自信もない。
だが、レインは自信満々だった。
「とりあえず撃て」
「はい」
ルークは深呼吸する。
白鷹を肩へ当てる。
狙いを定める。
見聞色を集中させる。
不思議だった。
初めて触る武器なのに。
妙に手に馴染む。
まるで昔から使っていたような感覚。
そして、引き金へ指を掛けた。
「行きます」
「ああ」
次の瞬間。
パンッ!!
乾いた銃声が島へ響いた。
鳥達が一斉に飛び立つ。
そして、二人は的を見る。
沈黙...
数秒...
その後...
的の中央に穴が空いた。
綺麗に。
完璧に。
ど真ん中だった。
風も考慮していない。
試し撃ちの一発目。
それなのに、中心へ命中した。
ルークが固まる。
「え?」
自分の目を疑った。
もう一度見る。
やはり中心だった。
レインも固まる。
「……え?」
珍しくレインも驚いていた。
二人は顔を見合わせる。
再び的を見る。
中心だった。
「当たった?」
ルークが呟く。
「当たったな」
レインも呟く。
そして、二人とも黙る。
あり得ない。
普通なら外す。
多少ズレる。
それが当たり前だ。
だが、今の一発は違った。
まるで最初からそこへ当たることが決まっていたかのようだった。
レインは腕を組む。
「もう一回」
「はい」
ルークも真剣になる。
再び構える。
見聞色を集中。
呼吸を整える。
そして。
パンッ!!
二発目。
再び命中。
しかも、一発目の穴のすぐ隣だった。
沈黙……
今度は少し長かった。
「レインさん」
「何だ」
「これヤバくないですか?」
「ヤバいな」
即答だった。
ルークは再び的を見る。
自分でも信じられない。
だが、レインは違う部分に注目していた。
「そうか」
「何です?」
「見聞色だ」
ルークが首を傾げる。
レインは説明する。
「お前、無意識に見聞色で弾道を補正してる」
「そんなこと出来るんですか?」
「普通は出来ない」
「ですよね」
「でもお前はやってる」
レインは苦笑した。
つまり、銃が凄いだけではない。
ルークも異常だった。
見聞色。
集中力。
冷静さ。
そして白鷹。
全てが噛み合っている。
レインは少し笑った。
「とんでもないな」
「銃ですか?」
「お前だ」
ルークが固まる。
レインは本気だった。
ここまで相性が良いとは思っていなかった。
白鷹も優秀。
だが、持ち主の才能が想定以上だった。
レインは改めて確信する。
これは、とんでもない武器だ。
そして、とんでもない持ち主だ。
見聞色を極めた狙撃手。
その第一歩が今始まった。
ルークはもう一度白鷹を見た。
白銀色の銃身が太陽の光を反射している。
そして、自然と笑みが浮かんだ。
「これ」
「うん」
「めちゃくちゃ面白いですね」
レインも笑う。
「ああ」
「大成功だ」
こうして、世界でも類を見ない狙撃手と専用ライフルが誕生した。
後に多くの強者達を震え上がらせることになる。
《白鷹》とルークの伝説は、この無人島の一発目から始まったのである。