ONE PIECE 〜船大工レイン〜   作:ペンギンって可愛いですよね

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第二百三十一話「リバースマウンテン突破」

 

翌朝。

 

まだ太陽が昇りきる前、レインとルークは既に起きていた。

 

今日は特別な日だ。

 

ついに、グランドラインへ入る。

 

二人はまず《雨神》の最終点検を行った。

 

船体。

 

帆。

 

ロープ。

 

発電装置。

 

推進用プロペラ。

 

全て異常なし。

 

ルークは頷く。

 

「問題ありません」

 

レインも確認を終える。

 

「よし」

 

二人は顔を見合わせた。

 

そして、同時に笑う。

 

「行くか」

 

「はい!」

 

《雨神》はゆっくりと進み始める。

 

やがて、水平線の先に巨大な壁が見えてきた。

 

赤い大陸。

 

レッドライン。

 

そしてその中央。

 

リバースマウンテン。

 

世界中の海が集まる場所。

 

グランドラインへの入口だった。

 

ルークは思わず息を呑む。

 

「でかい……」

 

想像以上だった。

 

まるで山というより壁。

 

自然の要塞。

 

海そのものが山を登る異常地帯。

 

普通なら初めて見る者は圧倒される。

 

だが、レインは違うところを見ていた。

 

船尾。

 

発電装置。

 

蓄電量。

 

推進機関。

 

その確認を始める。

 

ルークが首を傾げた。

 

「何してるんですか?」

 

「準備」

 

「何のです?」

 

レインがニヤリと笑う。

 

嫌な予感がした。

 

「登る準備」

 

「普通に登るんですよね?」

 

「多分」

 

「多分?」

 

ルークの不安が急上昇する。

 

その頃には、入口が目の前まで迫っていた。

 

轟音。

 

大量の海水が上へ流れている。

 

自然の力とは思えない光景だった。

 

普通の船乗りなら。

 

ここからが本番である。

 

風向き。

 

流れ。

 

舵取り。

 

全てが重要になる。

 

ルークも昨日まで必死に勉強していた。

 

海図を調べ。

 

潮流を調べ。

 

風を調べ。

 

最適なルートを考えていた。

 

その成果を発揮する時。

 

だったはずなのだが......レインが突然発電装置のレバーを引いた。

 

ガコン...

 

「よし」

 

「何がよしなんですか?」

 

「フルパワーだ」

 

「嫌な予感しかしないんですけど!?」

 

だが、もう遅かった。

 

《雨神》が入口へ突入する。

 

その瞬間、レインが叫んだ。

 

「全開!」

 

次の瞬間だった。

 

ゴォォォォォォォ!!

 

船体が震える。

 

推進用プロペラが猛烈な勢いで回転を始めた。

 

蓄えていた電力。

 

全て解放。

 

エンジン出力最大。

 

ルークが目を見開く。

 

「うわぁぁぁぁぁ!?」

 

《雨神》が加速した。

 

異常な速度だった。

 

普通の船ではあり得ない。

 

海流に乗る。

 

ではない。

 

海流を力技でねじ伏せながら登っている。

 

レインは笑っていた。

 

「速いな!」

 

「速すぎますよ!?」

 

ルークが叫ぶ。

 

景色が流れる。

 

山肌が流れる。

 

海流が流れる。

 

そして、あっという間だった。

 

本当に、あっという間だった。

 

五分後。

 

頂上到達。

 

沈黙。

 

ルークが固まる。

 

「……え?」

 

周囲を見る。

 

頂上だった。

 

確かに頂上だった。

 

まだ心の準備すら終わっていない。

 

緊張もしていた。

 

冒険の始まりだと思っていた。

 

なのに、終わった。

 

最大の難関が...終わった。

 

レインは時計を見る。

 

「五分か」

 

「五分かじゃないですよ!!」

 

ルークが絶叫した。

 

「リバースマウンテンですよ!?」

 

「ああ」

 

「世界有数の難所ですよ!?」

 

「ああ」

 

「俺、昨日まで必死に航路考えてたんですよ!?」

 

「ああ」

 

「全部無駄じゃないですか!」

 

レインは少し考える。

 

そして、

 

「そうだな...ごめん」

 

認めた。

 

ルークは頭を抱える。

 

本当に無駄だった。

 

風向き。

 

潮流。

 

航路。

 

全部。

 

エンジンが解決した。

 

力技だった。

 

あまりにも力技だった。

 

レインは満足そうに頷く。

 

「やっぱり作って良かったな」

 

「何をです?」

 

「発電機」

 

ルークは天を仰いだ。

 

誰か助けてほしかった。

 

常識がどんどん壊れていく。

 

その時だった。

 

レインが前を指差す。

 

「お」

 

ルークも顔を上げる。

 

そこには。

 

見たことのない景色が広がっていた。

 

巨大な海。

 

見知らぬ空。

 

見知らぬ風。

 

そして、その先に待つ無数の冒険。

 

グランドライン。

 

偉大なる航路。

 

ついに、二人は辿り着いた。

 

レインは静かに笑う。

 

「ようこそ」

 

「はい」

 

ルークも笑った。

 

「グランドラインですね」

 

《雨神》は頂上からゆっくりと下り始める。

 

新たな世界へ向かって。

 

船大工兼医者兼剣士 レイン。

 

狙撃手兼航海士 ルーク。

 

二人の本当の冒険が、今、始まった。

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