ONE PIECE 〜船大工レイン〜 作:ペンギンって可愛いですよね
「レイン商会の社長?」
「十四歳?」
「医者?」
「船大工?」
「どれが本業なんだ?」
職人たちの質問が飛び交う。
レインは少し考えた。
そして真顔で答える。
「全部だな」
工房に沈黙が落ちた。
次の瞬間。
大爆笑が起こる。
「ガハハハハ!」
「そんな奴いるか!」
「盛りすぎだろ!」
誰も信じていなかった。
だがルークだけは真顔だった。
「全部本当です」
その一言で笑い声が止まる。
店主が頭を抱えた。
「訳が分からん……」
レインも同意だった。
自分でも時々そう思う。
前世の知識。
転生。
神との出会い。
巨大な王国の末裔。
説明したところで誰も信じないだろう。
だから深く考えないことにしていた。
「それより鉱石だ」
レインは話を戻した。
その瞬間、職人たちの目も真剣になる。
今はそちらの方が重要だった。
目の前には青みを帯びた鉱石。
鉄とは違う。
だが鉄に近い。
不思議な鉱石だった。
店主が腕を組む。
「名前はまだない」
「発見されたのも数年前だ」
「加工できねぇからな」
「誰も興味を持たなかった」
レインは鉱石を持ち上げる。
重い。
だが鉄ほどではない。
そして妙な粘りを感じる。
「鉱山は近いのか?」
「ああ」
「案内してくれ」
職人たちは顔を見合わせた。
普通なら断る。
だがレインは先ほど加工法の糸口を見つけた。
無視できない。
店主も少し考えた後、頷いた。
「いいだろう」
翌日、レインとルークは職人たちと共に鉱山へ向かっていた。
島の中央部。
巨大な山脈。
その中腹に鉱山がある。
道中も職人たちはレインへ質問していた。
「本当に十四歳か?」
「十四だ」
「彼女は?」
「いない」
「モテそうなのにな」
「興味ない」
ルークが苦笑する。
どこへ行っても同じだった。
やがて鉱山へ到着する。
中は広かった。
想像以上だった。
無数の坑道。
大量の鉱石。
島の経済を支える重要施設であることが分かる。
そして奥へ進む。
しばらく歩くと、青い鉱脈が現れた。
職人たちが立ち止まる。
「これだ」
レインは近付く。
鉱脈に触れる。
冷たい。
そして硬い。
だが鉄鉱石とは何かが違う。
しばらく観察していたレインは呟いた。
「やっぱりな」
「何か分かったのか?」
店主が聞く。
レインは頷く。
「これ鉄じゃない」
周囲が静まり返る。
「は?」
「鉄じゃない?」
職人たちが騒ぎ出す。
レインは鉱脈を指差した。
「正確には鉄だけじゃない」
「別の金属が混ざってる」
「だから普通の鉄と同じように扱えない」
店主が眉をひそめる。
「そんなこと分かるのか?」
「多分な」
またその台詞だった。
だが今まで全部当たっている。
誰も笑わない。
レインは続ける。
「強度が高い」
「軽い」
「錆びにくい」
「熱の伝わり方も違う」
職人たちがざわつく。
もし本当なら、とんでもない金属だった。
船にも使える。
武器にも使える。
工具にも使える。
可能性は無限だ。
その時だった。
レインの頭に一つの考えが浮かぶ。
船。
ではない。
武器。
レインは腰の黎明へ視線を落とした。
最近は剣を握る機会が増えている。
コウシロウとの修行。
飛ぶ斬撃。
覇気。
グランドラインへ来た以上、さらに強くなる必要がある。
船大工だけでは生き残れない。
医者だけでも足りない。
力が必要だ。
剣士としての力が。
「どうした?」
店主が聞く。
レインは小さく笑った。
「少し作りたい物ができた」
「何だ?」
「短剣だな」
ルークが首を傾げる。
「短剣ですか?」
「ああ」
レインは頷く。
大剣ではない。
名刀でもない。
もっと実用的な物。
船乗りの道具。
そして仲間の証。
「二本作る」
「二本?」
レインはルークを見る。
「お前の分だ」
ルークが固まった。
「俺の?」
「ああ」
「グランドライン記念だ」
レインは当たり前のように言う。
ルークはしばらく言葉を失った。
最初は雇われだった。
ただの従業員だった。
だが今は違う。
東の海を渡り、海賊と戦い、修行し、共にグランドラインへ来た。
いつの間にか相棒になっていた。
「ありがとうございます」
ルークは静かに頭を下げた。
レインは少し照れ臭そうに頭を掻く。
「船乗りは短剣一本あると便利だからな」
「大事にします」
その様子を見ていた職人たちが笑う。
「仲良いな」
「兄弟みたいじゃねぇか」
「親子だろ」
「誰が親だ」
レインが即座に突っ込む。
工房に笑い声が響いた。
そしてこの日、レインは決めた。
この青き鋼で短剣を作ると。
一本は自分のために、
一本は最初の仲間のために、
そしてそれは後に、二人の旅を支える大切な相棒となるのだった。