ONE PIECE 〜船大工レイン〜   作:ペンギンって可愛いですよね

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第二百四十話「青き鋼」

 

「レイン商会の社長?」

 

「十四歳?」

 

「医者?」

 

「船大工?」

 

「どれが本業なんだ?」

 

職人たちの質問が飛び交う。

 

レインは少し考えた。

 

そして真顔で答える。

 

「全部だな」

 

工房に沈黙が落ちた。

 

次の瞬間。

 

大爆笑が起こる。

 

「ガハハハハ!」

 

「そんな奴いるか!」

 

「盛りすぎだろ!」

 

誰も信じていなかった。

 

だがルークだけは真顔だった。

 

「全部本当です」

 

その一言で笑い声が止まる。

 

店主が頭を抱えた。

 

「訳が分からん……」

 

レインも同意だった。

 

自分でも時々そう思う。

 

前世の知識。

 

転生。

 

神との出会い。

 

巨大な王国の末裔。

 

説明したところで誰も信じないだろう。

 

だから深く考えないことにしていた。

 

「それより鉱石だ」

 

レインは話を戻した。

 

その瞬間、職人たちの目も真剣になる。

 

今はそちらの方が重要だった。

 

目の前には青みを帯びた鉱石。

 

鉄とは違う。

 

だが鉄に近い。

 

不思議な鉱石だった。

 

店主が腕を組む。

 

「名前はまだない」

 

「発見されたのも数年前だ」

 

「加工できねぇからな」

 

「誰も興味を持たなかった」

 

レインは鉱石を持ち上げる。

 

重い。

 

だが鉄ほどではない。

 

そして妙な粘りを感じる。

 

「鉱山は近いのか?」

 

「ああ」

 

「案内してくれ」

 

職人たちは顔を見合わせた。

 

普通なら断る。

 

だがレインは先ほど加工法の糸口を見つけた。

 

無視できない。

 

店主も少し考えた後、頷いた。

 

「いいだろう」

 

翌日、レインとルークは職人たちと共に鉱山へ向かっていた。

 

島の中央部。

 

巨大な山脈。

 

その中腹に鉱山がある。

 

道中も職人たちはレインへ質問していた。

 

「本当に十四歳か?」

 

「十四だ」

 

「彼女は?」

 

「いない」

 

「モテそうなのにな」

 

「興味ない」

 

ルークが苦笑する。

 

どこへ行っても同じだった。

 

やがて鉱山へ到着する。

 

中は広かった。

 

想像以上だった。

 

無数の坑道。

 

大量の鉱石。

 

島の経済を支える重要施設であることが分かる。

 

そして奥へ進む。

 

しばらく歩くと、青い鉱脈が現れた。

 

職人たちが立ち止まる。

 

「これだ」

 

レインは近付く。

 

鉱脈に触れる。

 

冷たい。

 

そして硬い。

 

だが鉄鉱石とは何かが違う。

 

しばらく観察していたレインは呟いた。

 

「やっぱりな」

 

「何か分かったのか?」

 

店主が聞く。

 

レインは頷く。

 

「これ鉄じゃない」

 

周囲が静まり返る。

 

「は?」

 

「鉄じゃない?」

 

職人たちが騒ぎ出す。

 

レインは鉱脈を指差した。

 

「正確には鉄だけじゃない」

 

「別の金属が混ざってる」

 

「だから普通の鉄と同じように扱えない」

 

店主が眉をひそめる。

 

「そんなこと分かるのか?」

 

「多分な」

 

またその台詞だった。

 

だが今まで全部当たっている。

 

誰も笑わない。

 

レインは続ける。

 

「強度が高い」

 

「軽い」

 

「錆びにくい」

 

「熱の伝わり方も違う」

 

職人たちがざわつく。

 

もし本当なら、とんでもない金属だった。

 

船にも使える。

 

武器にも使える。

 

工具にも使える。

 

可能性は無限だ。

 

その時だった。

 

レインの頭に一つの考えが浮かぶ。

 

船。

 

ではない。

 

武器。

 

レインは腰の黎明へ視線を落とした。

 

最近は剣を握る機会が増えている。

 

コウシロウとの修行。

 

飛ぶ斬撃。

 

覇気。

 

グランドラインへ来た以上、さらに強くなる必要がある。

 

船大工だけでは生き残れない。

 

医者だけでも足りない。

 

力が必要だ。

 

剣士としての力が。

 

「どうした?」

 

店主が聞く。

 

レインは小さく笑った。

 

「少し作りたい物ができた」

 

「何だ?」

 

「短剣だな」

 

ルークが首を傾げる。

 

「短剣ですか?」

 

「ああ」

 

レインは頷く。

 

大剣ではない。

 

名刀でもない。

 

もっと実用的な物。

 

船乗りの道具。

 

そして仲間の証。

 

「二本作る」

 

「二本?」

 

レインはルークを見る。

 

「お前の分だ」

 

ルークが固まった。

 

「俺の?」

 

「ああ」

 

「グランドライン記念だ」

 

レインは当たり前のように言う。

 

ルークはしばらく言葉を失った。

 

最初は雇われだった。

 

ただの従業員だった。

 

だが今は違う。

 

東の海を渡り、海賊と戦い、修行し、共にグランドラインへ来た。

 

いつの間にか相棒になっていた。

 

「ありがとうございます」

 

ルークは静かに頭を下げた。

 

レインは少し照れ臭そうに頭を掻く。

 

「船乗りは短剣一本あると便利だからな」

 

「大事にします」

 

その様子を見ていた職人たちが笑う。

 

「仲良いな」

 

「兄弟みたいじゃねぇか」

 

「親子だろ」

 

「誰が親だ」

 

レインが即座に突っ込む。

 

工房に笑い声が響いた。

 

そしてこの日、レインは決めた。

 

この青き鋼で短剣を作ると。

 

一本は自分のために、

 

一本は最初の仲間のために、

 

そしてそれは後に、二人の旅を支える大切な相棒となるのだった。

 

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