ONE PIECE 〜船大工レイン〜   作:ペンギンって可愛いですよね

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第二百四十五話「救出」

 

坑道の中は暗かった。

 

外から差し込む光はほとんどない。

 

崩落によって空気も淀んでいる。

 

レインは蒼星を片手に奥へ進んでいた。

 

見聞色の覇気は常に広げている。

 

周囲の気配。

 

岩盤の状態。

 

人の位置。

 

全てを探っていた。

 

「右か」

 

レインが呟く。

 

生存者の気配が微かに感じられる。

 

距離はそれほど遠くない。

 

だが問題は途中の崩落だった。

 

巨大な岩が通路を塞いでいる。

 

普通なら掘削作業が必要になる。

 

数時間。

 

いや、下手をすれば一日以上。

 

だが中に閉じ込められている人間にそんな余裕はない。

 

レインは岩へ手を置く。

 

冷たい。

 

重い。

 

だが完全に塞がっているわけではない。

 

「やっぱりな」

 

崩落の隙間を確認する。

 

ほんの少しだけ空間が残っていた。

 

だから生存している。

 

だが逆に言えば時間の問題だった。

 

再び崩れれば終わる。

 

レインは蒼星を構える。

 

「黎明なら一発なんだがな」

 

少し苦笑する。

 

黎明は船に置いてきている。

 

今あるのは蒼星だけ。

 

だが。

 

十分だった。

 

武装色を纏う。

 

黒く染まる刀身。

 

蒼い輝きの中に黒が混ざる。

 

レインは大きく息を吐いた。

 

そして。

 

横薙ぎ。

 

シュン―――

 

鋭い斬撃が放たれる。

 

次の瞬間。

 

ドン!!

 

岩が割れた。

 

巨大な岩塊が崩れ落ちる。

 

だが完全には壊さない。

 

必要最低限だけ。

 

構造を見ながら切ったのだ。

 

船大工として培った知識が役立っていた。

 

「よし」

 

レインは隙間へ身体を滑り込ませる。

 

さらに奥へ。

 

気配が近付いてくる。

 

そして、

 

「誰かいるか!?」

 

叫び声が聞こえた。

 

レインは少し安心する。

 

声が出るならまだ大丈夫だ。

 

「助けに来た!」

 

一瞬。

 

静寂。

 

そして。

 

「本当か!?」

 

男の声だった。

 

「生きてるか?」

 

「ああ!」

 

「二人とも生きてる!」

 

レインは急いで奥へ進む。

 

やがて小さな空洞へ辿り着いた。

 

そこには二人の鉱夫がいた。

 

顔は煤だらけ。

 

服もボロボロ。

 

だが生きている。

 

一人は足を怪我していた。

 

もう一人は腕を押さえている。

 

レインはすぐに診察した。

 

骨折。

 

だが命に別状はない。

 

「良かった」

 

二人が涙ぐむ。

 

「助かった……」

 

「もう駄目かと思った……」

 

レインは笑った。

 

「まだ泣くな」

 

「外に出るまで気を引き締めろ」

 

二人も笑う。

 

だがその時だった。

 

ピキッ。

 

嫌な音が響いた。

 

レインの表情が変わる。

 

上を見る。

 

岩盤。

 

亀裂。

 

嫌な予感しかしない。

 

見聞色も反応していた。

 

「まずいな」

 

「どうした?」

 

鉱夫たちが青ざめる。

 

レインは即座に判断する。

 

「ここ崩れる」

 

二人の顔から血の気が引いた。

 

「え?」

 

「急ぐぞ」

 

レインは足を怪我した男を背負う。

 

もう一人には肩を貸した。

 

そして走る。

 

来た道を戻る。

 

全力だった。

 

外では。

 

ルークたちが待っていた。

 

誰も喋らない。

 

皆が坑道を見つめている。

 

重苦しい空気。

 

店主が拳を握る。

 

「あいつ……」

 

ルークは静かだった。

 

不思議と心配していない。

 

昔からそうだ。

 

レインは無茶をする。

 

だが無謀ではない。

 

勝算があるから動く。

 

だから信じていた。

 

その時だった。

 

ドォォォォォン!!

 

坑道の奥から轟音が響く。

 

悲鳴が上がる。

 

「崩れた!」

 

「おい!」

 

島民たちの顔が青ざめる。

 

だが、ルークだけは坑道を見続けていた。

 

そして、

 

「来ました」

 

誰かが振り返る。

 

次の瞬間。

 

土煙の中から人影が飛び出した。

 

先頭を走るレイン。

 

背中には一人。

 

肩にはもう一人。

 

そして、全員生きていた。

 

一瞬。

 

誰も理解できなかった。

 

数秒後。

 

歓声が爆発する。

 

「おおおおおおおお!!」

 

「生きてる!」

 

「助かった!」

 

「帰ってきた!」

 

家族たちが駆け寄る。

 

涙を流しながら抱き締める。

 

鉱夫たちも泣いていた。

 

レインはゆっくりと二人を降ろす。

 

その瞬間、膝をついた。

 

流石に疲れていた。

 

見聞色。

 

武装色。

 

全力疾走。

 

怪我人二人を運搬。

 

負担は大きい。

 

ルークが慌てて駆け寄る。

 

「大丈夫ですか?」

 

「大丈夫だ」

 

「顔色が大丈夫じゃありません」

 

「少し疲れただけだ」

 

ルークは呆れた。

 

いつものことだった。

 

店主も近付いてくる。

 

しばらく何も言わない。

 

そして、大きな手でレインの頭を乱暴に撫でた。

 

「よくやった」

 

レインは少し照れ臭そうに笑う。

 

周囲の職人たちも頷いていた。

 

もはや誰も十四歳とは思っていない。

 

船大工。

 

医者。

 

発明家。

 

そして今。

 

命の恩人。

 

鉄鋼島の人々にとって、レインは特別な存在になり始めていた。

 

そしてこの救出劇をきっかけに、レインは思いもよらない贈り物を受け取ることになるのだった。

 

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