ONE PIECE 〜船大工レイン〜   作:ペンギンって可愛いですよね

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第二百四十七話「雨神改修計画」

 

翌朝。

 

港は朝から異様な熱気に包まれていた。

 

職人。

 

職人。

 

そして職人。

 

見渡す限り職人だらけだった。

 

《雨神》の周囲には百人近い職人たちが集まっている。

 

船大工。

 

鍛冶職人。

 

鉱夫。

 

金属加工職人。

 

昨日の救出劇で世話になった者たちまでいた。

 

ルークはその光景を見て呟く。

 

「凄いことになってますね……」

 

「そうだな……」

 

レインも苦笑していた。

 

予想以上だった。

 

まさか島中が集まるとは思わなかった。

 

すると店主が大声を上げる。

 

「野郎ども!」

 

「おお!!」

 

「今日からこの船を改造する!」

 

「おおおお!!」

 

港が揺れそうなほどの歓声だった。

 

レインは思わず聞く。

 

「いや、何でそんなにやる気なんだ?」

 

店主は笑う。

 

「楽しいからだ」

 

即答だった。

 

職人たちも大きく頷く。

 

それだけだった。

 

新しい技術。

 

新しい船。

 

見たこともない発電装置。

 

彼らにとって《雨神》は宝の山だった。

 

職人魂が刺激されているのである。

 

レインは頭を掻いた。

 

「まあ、嫌いじゃない」

 

「知ってる」

 

ルークが即答した。

 

誰よりも楽しそうなのはレイン自身だった。

 

船の話になると止まらない。

 

船大工の血が騒ぐのである。

 

店主が《雨神》を見上げる。

 

「まず聞く」

 

「何だ?」

 

「どこを強化したい?」

 

レインは少し考える。

 

そして真面目な顔になる。

 

ここからは遊びではない。

 

グランドラインを生き残るための話だ。

 

「船底だな」

 

職人たちが頷く。

 

予想通りだった。

 

グランドラインの海は東の海とは違う。

 

海流。

 

岩礁。

 

異常気象。

 

全てが危険だ。

 

「船底に青き鋼を使う」

 

レインが言う。

 

職人たちがざわつく。

 

贅沢な使い方だった。

 

だが効果は絶大だろう。

 

「軽量化できる」

 

「耐久性も上がる」

 

「錆びにも強い」

 

店主が笑う。

 

「いいな」

 

「だろ?」

 

「贅沢だがな」

 

「そこは仕方ない」

 

職人たちも笑った。

 

そして次、レインは船尾へ向かう。

 

発電装置を指差した。

 

「ここもだ」

 

職人たちが集まる。

 

この装置が島中の話題だった。

 

風がなくても進む船。

 

誰も見たことがない。

 

「凄ぇな……」

 

「本当に動くのか?」

 

「動くぞ」

 

レインはスイッチを入れる。

 

プロペラが回り始めた。

 

職人たちが歓声を上げる。

 

何度見ても面白い。

 

レインは笑った。

 

「プロペラ軸を青き鋼へ変更したい」

 

「なるほど」

 

店主が頷く。

 

負荷が掛かる部分だ。

 

強化する価値はある。

 

さらに、レインは次々と改善案を出していく。

 

船首補強。

 

衝角強化。

 

工具収納。

 

予備部品格納庫。

 

職人たちは目を輝かせていた。

 

まるで巨大な共同研究だった。

 

そして、気付けば全員が夢中になっていた。

 

昼。

 

食事も忘れる。

 

夕方。

 

休憩も忘れる。

 

夜。

 

まだ続いていた。

 

ルークは少し離れた場所でその様子を見ていた。

 

苦笑する。

 

誰も止まらない。

 

完全に職人の集団だった。

 

その時だった。

 

店主が突然叫ぶ。

 

「レイン!」

 

「ん?」

 

「船首空いてるぞ!」

 

レインが振り返る。

 

確かに少し余裕がある。

 

すると店主がニヤリと笑った。

 

嫌な笑みだった。

 

「鉄鋼島の記念を付けよう」

 

職人たちが盛り上がる。

 

「いいな!」

 

「やろう!」

 

「絶対やろう!」

 

レインの嫌な予感が的中する。

 

「待て」

 

「嫌だ」

 

「聞け」

 

「嫌だ」

 

完全に一致団結していた。

 

ルークは笑いを堪えている。

 

数十分後。

 

職人たちによる多数決が行われた。

 

結果。

 

レインの反対は無視された。

 

そして翌朝。

 

船首に新しい金属板が取り付けられる。

 

そこには青き鋼で刻まれていた。

 

『鉄鋼島公認』

 

レインは頭を抱えた。

 

「何でだよ……」

 

職人たちは大爆笑だった。

 

「ガハハハ!」

 

「似合ってるぞ!」

 

「最高だ!」

 

ルークも吹き出した。

 

「記念ですね」

 

「消したい」

 

「絶対怒られますよ」

 

レインは諦めた。

 

どうせ消してもまた付けられる。

 

それくらい分かる。

 

職人たちとの付き合いで理解した。

 

頑固なのだ。

 

そして改修はさらに続く。

 

三日後。

 

《雨神》は見違えていた。

 

船底には青き鋼による補強。

 

プロペラ軸の強化。

 

発電装置の改良。

 

各部の軽量化。

 

工具格納庫の増設。

 

予備部品倉庫の追加。

 

そして何より。

 

島中の職人たちの技術が詰め込まれていた。

 

店主が船体を叩く。

 

コン。

 

澄んだ音が響く。

 

「良い船だ」

 

レインも頷いた。

 

「ああ」

 

心からそう思う。

 

この島へ来て良かった。

 

青き鋼。

 

蒼星。

 

蒼月。

 

そして新しく生まれ変わった《雨神》。

 

得た物は想像以上だった。

 

店主は笑う。

 

「これでグランドラインも少しは楽になる」

 

「楽にはならないだろ」

 

「違いねぇ」

 

職人たちが笑う。

 

グランドラインは甘くない。

 

だからこそ面白い。

 

そしてレインも笑った。

 

次の島。

 

次の冒険。

 

その先には何が待っているのか。

 

まだ誰も知らない。

 

だが一つだけ確かなことがあった。

 

《雨神》はさらに強くなった。

 

そしてレインもまた、一歩前へ進んでいた。

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