ONE PIECE 〜船大工レイン〜   作:ペンギンって可愛いですよね

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第二十四話 「黒い資源」

 

石油を発見してから三日が経った。

 

あの日見つけた黒い液体は、今も森の奥で静かに眠っている。

 

もちろん、その存在を知る者は誰もいない。

 

レイン。

 

父親。

 

ルーク。

 

知っているのは三人だけだった。

 

工房の地下倉庫。

 

レインは一人で机へ向かっていた。

 

目の前には古びた地図。

 

そして、

 

石油について書き込んだメモ。

 

前世なら当たり前の存在。

 

だが、この世界では違う。

 

少なくともレインが見る限り。

 

石油を利用した技術は存在していない。

 

つまり、価値を理解しているのは自分だけだ。

 

レインは椅子へ深く腰掛けた。

 

石油...

 

それは燃料になる。

 

灯りになる。

 

潤滑油になる。

 

加工すれば様々な物が作れる。

 

前世では文明を支えた資源だった。

 

もし利用できれば、

 

島は大きく変わる。

 

だが、今はまだ無理だ。

 

設備が足りない。

 

知識が足りない。

 

人も足りない。

 

レインはため息を吐いた。

 

「見つけるのが早すぎたかもな」

 

そんな言葉が漏れる。

 

すると、地下へ降りてくる足音が聞こえた。

 

父親だった。

 

「また考え事か」

 

「うん」

 

父親は苦笑する。

 

最近のレインはずっとこんな調子だ。

 

石油を見つけてから特に酷い。

 

食事中でも考えている。

 

仕事中でも考えている。

 

寝る前も考えている。

 

「そんなに凄いのか?」

 

父親が聞いた。

 

レインは少し考える。

 

そして頷いた。

 

「たぶん」

 

「たぶん?」

 

「利用できれば」

 

「島が変わると思う」

 

父親が黙る。

 

レインがここまで言うことは珍しい。

 

つまり、本当に価値があるのだろう。

 

「長老に話さないのか?」

 

父親が聞く。

 

レインは首を横に振った。

 

「まだ」

 

「どうしてだ?」

 

「説明できないから」

 

それが本音だった。

 

石油の価値を説明するには、

 

前世の知識が必要になる。

 

だが、そんなもの説明できるはずがない。

 

だから今は秘密だ。

 

少なくとも、利用方法を考えるまでは。

 

その時、ルークも地下へ降りてきた。

 

「いた!」

 

「探しましたよ」

 

レインと父親を見る。

 

そして机の上の地図を見る。

 

「あー」

 

納得した。

 

また考えている。

 

いつものことだった。

 

ルークは椅子へ座る。

 

そして聞いた。

 

「結局あれ何なんですか?」

 

「石油」

 

「いや名前じゃなくて」

 

「何に使うんです?」

 

レインは少し考える。

 

説明が難しい。

 

前世では当たり前だった。

 

だが、この世界では違う。

 

「未来かな」

 

結局そんな答えになった。

 

ルークは固まる。

 

父親も固まる。

 

「未来?」

 

「うん」

 

「分からん」

 

父親が即答した。

 

ルークも全力で頷く。

 

「僕も分かりません」

 

レインは苦笑した。

 

まあそうだろう。

 

自分でも説明が難しい。

 

しばらく沈黙が続く。

 

地下倉庫は静かだった。

 

その静けさの中で、レインは改めて思う。

 

この島には、まだ何かある気がする。

 

根拠はない。

 

ただの勘だ。

 

だが、石油が眠っていた。

 

なら、他にも何かあっても不思議ではない。

 

そんな気がしていた。

 

レインは地図を畳む。

 

今考えても答えは出ない。

 

まずは目の前のことだ。

 

工房。

 

仕事。

 

そして、

 

石油をどう活かすか。

 

未来はまだ遠い。

 

だが、確実に近付いている。

 

レインは小さく笑った。

 

その様子を見た父親とルークは顔を見合わせる。

 

そして同時に思った。

 

また何か始まる。

 

間違いなく。

 

だが、その時の三人はまだ知らなかった。

 

石油の発見が、やがて島の未来そのものを変える第一歩だったことを。

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