ONE PIECE 〜船大工レイン〜   作:ペンギンって可愛いですよね

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第四十七話「特許制度」

 

ガレスの商船が島を離れてから数日後。

 

レインは工房の机に向かいながら、一枚の紙を見つめていた。

 

そこにはいくつもの文字が並んでいる。

 

『特許制度案』

 

そう書かれていた。

 

「やっぱり必要だよな……」

 

小さく呟く。

 

変形滑車。

 

計算機。

 

歯車。

 

今後も新しい物を作る予定は沢山ある。

 

だが、それらを誰かが勝手に真似して売り始めたらどうなるのか。

 

発明した人間だけが損をする。

 

それは健全ではない。

 

前世でも発明家を守る仕組みは存在した。

 

だからこそ技術は発展した。

 

この島にも必要になるはずだった。

 

「父さん、少し相談がある」

 

その日の夕方、レインは父へ声を掛けた。

 

「珍しいな」

 

父は作業の手を止める。

 

「どうした?」

 

レインは紙を差し出した。

 

「制度を作りたい」

 

「制度?」

 

父の顔が引きつる。

 

嫌な予感がしたのだろう。

 

最近のレインは発明だけではなく、島の仕組みまで変え始めている。

 

「今度は何を考えたんだ?」

 

「特許制度」

 

「……何だそれは」

 

予想通りの反応だった。

 

レインは説明を始める。

 

「新しい物を作った人を守る制度だよ」

 

「守る?」

 

「例えば俺が新しい道具を作る」

 

父は頷く。

 

「誰かがそれを真似して勝手に売る」

 

「まあ、あり得るな」

 

「そうすると発明した人だけ損をする」

 

父は少し考え込んだ。

 

確かにその通りだった。

 

作る苦労も研究も全て無視される。

 

「なるほど」

 

「だから一定期間は発明した人だけが作れるようにする」

 

父は腕を組む。

 

「悪くないな」

 

意外にも反応は良かった。

 

しかし問題もある。

 

「俺だけで決められる話じゃないぞ」

 

「分かってる」

 

レインも頷く。

 

「だから長老に相談したい」

 

 

翌日。

 

レインと父は長老の家を訪れていた。

 

長老はいつものようにお茶を飲みながら二人を迎える。

 

「珍しい組み合わせじゃな」

 

「レインがまた何か思いつきまして」

 

父が苦笑する。

 

長老も苦笑した。

 

「今度は何じゃ?」

 

レインは特許制度について説明した。

 

長老は最初こそ首を傾げていたが、徐々に真剣な顔になる。

 

全て聞き終えた後、長老は静かに口を開いた。

 

「面白い考えじゃな」

 

レインは少し驚いた。

 

もっと反対されると思っていた。

 

「良いんですか?」

 

「発明した者が報われる仕組みは必要じゃろう」

 

長老は頷く。

 

「今まではそんな心配は無かった」

 

「だが」

 

長老はレインを見る。

 

「お前さんがいる」

 

父が吹き出した。

 

レインは少し複雑な顔になる。

 

「褒めてるんですよね?」

 

「もちろんじゃ」

 

長老は笑った。

 

「正直、島の発展速度が異常じゃ」

 

「十年前なら考えられん」

 

レインは何とも言えない顔になる。

 

前世の知識を使っているので否定できない。

 

「ただし」

 

長老は表情を引き締めた。

 

「制度を作るなら条件がある」

 

「条件?」

 

「誰でも利用できることじゃ」

 

レインは頷く。

 

それは当然だった。

 

自分だけを守る制度にするつもりはない。

 

「新しい発明をした者」

 

「新しい技術を考えた者」

 

「そういった者達を守る仕組みにしたいです」

 

長老は満足そうに頷いた。

 

「なら問題ない」

 

そして少し笑う。

 

「もっとも」

 

「今のところ登録第一号はレインになりそうじゃがな」

 

父が再び吹き出した。

 

レインは苦笑するしかなかった。

 

 

帰り道…

 

父が空を見上げながら言う。

 

「まさか制度まで作るとはな」

 

「必要だから」

 

「七歳の言葉じゃないな」

 

レインは笑った。

 

確かにそうかもしれない。

 

だが必要なものは必要だ。

 

工房を作った。

 

採掘を始めた。

 

契約も結んだ。

 

そして今度は制度だ。

 

島は少しずつ変わっている。

 

いや、変わり始めている。

 

レインは青い空を見上げた。

 

まだ小さな一歩だ。

 

しかしいつか、この制度が島の未来を支えるかもしれない。

 

そんな予感がしていた。

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