ONE PIECE 〜船大工レイン〜   作:ペンギンって可愛いですよね

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第四十八話「新しい仕組み」

 

数日後。

 

長老の呼びかけによって、島の住民達が広場へ集まっていた。

 

漁師。

 

農家。

 

船大工。

 

鍛冶屋。

 

工房で働く職人達。

 

普段ならそれぞれ仕事をしている時間だが、長老が招集したとなれば話は別だった。

 

レインも父とルークと共に広場へ来ている。

 

「結構集まりましたね」

 

ルークが周囲を見回した。

 

「長老が呼んだからな」

 

父が答える。

 

やがて長老が前へ出た。

 

軽く咳払いをする。

 

「今日は島の新しい制度について話がある」

 

ざわつく住民達。

 

制度という言葉自体に馴染みがない。

 

当然の反応だった。

 

長老はレインへ視線を向ける。

 

「提案者本人から説明してもらおうかの」

 

一斉に視線が集まる。

 

レインは小さく息を吐いた。

 

そして一歩前へ出る。

 

「皆さんに聞きたいことがあります」

 

広場が静かになる。

 

「もし何年も掛けて新しい道具を作ったとします」

 

住民達は真剣に話を聞いていた。

 

「そして完成した翌日」

 

「誰かが真似して売り始めたらどう思いますか?」

 

数人が顔をしかめる。

 

「そりゃ嫌だな」

 

「苦労したのは作った奴だろ」

 

「割に合わねぇ」

 

あちこちから声が上がった。

 

レインは頷く。

 

「俺もそう思います」

 

そして続ける。

 

「だから発明した人を守る制度を作りたいんです」

 

漁師の一人が手を挙げる。

 

「どうやって守るんだ?」

 

「発明した人に一定期間の製造権を与えます」

 

住民達が首を傾げる。

 

レインは説明を続けた。

 

「例えば新しい道具を発明した人がいたら、その人だけが一定期間その道具を作って売ることができます」

 

「他の人は勝手に作ってはいけません」

 

「ただし」

 

レインはそこで言葉を区切った。

 

「買って使うのは自由です」

 

住民達の表情が少し和らぐ。

 

「使えるのか?」

 

「もちろんです」

 

「買った人が使うのを禁止するつもりはありません」

 

漁師達も納得したように頷いた。

 

すると今度は鍛冶屋の親方が口を開く。

 

「その期間が終わったら?」

 

「誰でも作れるようになります」

 

広場が少しざわつく。

 

「独占じゃないのか?」

 

「違います」

 

レインは首を振った。

 

「発明者を守るための制度です」

 

「技術を隠すための制度じゃありません」

 

前世でも特許には期限があった。

 

技術発展のためだ。

 

永久独占は社会の発展を妨げる。

 

レインはそれを理解していた。

 

親方は腕を組む。

 

「なるほどな」

 

「悪くねぇ」

 

今度は農家の一人が手を挙げた。

 

「つまり最初は発明した奴が得をする」

 

「そうです」

 

「その後は皆も作れる」

 

「そうです」

 

農家は笑った。

 

「それなら文句ねぇな」

 

周囲からも同意の声が上がる。

 

すると父が前へ出た。

 

「俺も賛成だ」

 

住民達が父を見る。

 

「レインを見てれば分かる」

 

父は真面目な顔で言った。

 

「新しい物を作るのは簡単じゃない」

 

「失敗する」

 

「作り直す」

 

「何度も試す」

 

それは事実だった。

 

計算機もそう。

 

変形滑車もそう。

 

歯車もそう。

 

完成した物だけ見れば簡単そうに見える。

 

しかしそこへ辿り着くまでには膨大な試行錯誤がある。

 

「だったら」

 

父は続ける。

 

「最初に考えた奴が報われるべきだろ」

 

その言葉に多くの住民が頷いた。

 

レインの努力は皆知っている。

 

だからこそ説得力があった。

 

しばらく議論が続いた後。

 

長老が立ち上がる。

 

「では採決じゃ」

 

広場が静まり返る。

 

「この制度に賛成の者」

 

次々と手が上がった。

 

漁師。

 

農家。

 

鍛冶屋。

 

船大工。

 

大半の住民が賛成している。

 

反対はごく少数だった。

 

長老は満足そうに頷く。

 

「決まりじゃな」

 

こうして島で初めての特許制度が誕生した。

 

発明者を守りながら。

 

技術も広げる。

 

島の未来のための新しい仕組みだった。

 

 

帰り道。

 

ルークが嬉しそうに言う。

 

「レインさん、成功しましたね」

 

「ああ」

 

「これで新しい物を作る人も増えるかもしれませんね」

 

レインは空を見上げた。

 

その通りだった。

 

この制度は自分のためだけではない。

 

これから先、新しい発明をする誰かのためでもある。

 

島は少しずつ変わっている。

 

そしてその変化は、まだ始まったばかりだった。

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