逆転なんて許さない   作:続(ツヅ)

3 / 18
 サカイ君の第1期内最高最強最高額デッキの最初で最後のファイトがは~じま~るよ~
※今回のファイトは第一章で一番複雑なデュエルとなっております。お読みの際はお気を付けください。


第2話『リヴォルトオープンはいつでも行える』

「ボードは試作型(プロトタイプ)のファイトボードしかないから、これを使ってクレメンス」「左腕で大丈夫か?」「当たってるで、次に操作方法やけど──」

 

 シャドウリヴォルトの技術屋…影山(かげやま)セツナにボードの使い方を教わる。

 

 シャドウリヴォルトに入団し、【U】から腕試しのためファイトしろと言われた。

 相手はシャドウリヴォルトの戦闘員…夢梨(ゆめなし) メア、総督の次に強いらしい。

 といってもこの組織、構成員は【U】とセツナとメアの三人だけの貧相な組織。

 【U】が言うには「超少数精鋭の組織」らしい

 

 

「そんじゃ使い方は覚えたか?」

 

「あぁ問題ねぇ」

 

 

 こちらの用意が済んだのを察したのか【U】とメアが近づいてくる。

 

「準備はいいか?」

 

「デッキ以外は大丈夫だ」

 

 

 俺の言葉にメアは少し不満な表情を浮かべる。

 

「そんなデッキで私に勝てるの?」

 

「どんなデッキだろうと勝(・)た(・)せ(・)る(・)の(・)が(・)プ(・)レ(・)イ(・)ヤ(・)ー(・)だ(・)。デッキがすべてじゃねぇよ」

 

 

「それじゃあファイトで証明して見せてよ!」

 

 

 獰猛な笑みを浮かべてボードを構える。

 

 

 

 

◆

 

 

 

 

「デッキセット」

 

 デッキをボードにセットする

 

 

「ファイトボード起動」

 

 説明されたボタンを押す。起動と同時にデッキがシャッフルされてる。

 

 

「マナカードセット」

 

 マナ(命の源)がデッキから10枚束となってセットされる。

 

 

 続いてデッキから5枚のカードを引く。

 

「マリガンは?」

 

「大丈夫だ問題ない」

 

 

「それじゃあ、始めよっか」

 

 

 

 たしかファイトを開始する時はこう言うんだっけな。

 

 

 

 

 

 

「「対戦開始(イグニッションスタート)」」

 

 

 

 

◆

 

 

 

 

 フィールドから少し離れたところでセツナと観戦する。

 

「始まったか」

 

 目の前では二人のファイトが繰り広げられる。

 

 感応率がマイナスか…そんなファイターは見たことがない。

 今まで戦ってきたものは少なからず、どのカードとも感応していた。

 

 サカイの世界にReボードがあったということは聞いている。

 しかし、使ったことのないデッキ…普通のファイターならば扱えないはずだ。

 

「どうやらメアの方は調子が悪いらしいで」

 

「ふむ、珍しいな」

 

 既に3ターン目、メアの場はいつもと比べ動きが少ない。

 それに比べてサカイの方は小型キャラクターを並べ場を強化させている。

 

「案外動けているな」

 

「ワイも何もできずに瞬殺されると思ってたやで、とは言っても勝つのは無理やろうな」

 

 確かに、今の場だけを見るとどちらが有利かは明白…しかし

 

 

「次のターンでひっくり返るぞサカイ、貴様はどう対処する」

 

 

 

◆

 

 

 

 

 現在は後攻メアの3ターン目。

 数日ぶりのReボードでも腕は落ちていない。

 

 回復(イグニッション)とドローの合間に場を確認する。

 

 こちらの場は小型の<フレンドール>が3体、対してあちらはキャラが1体のみ…

 一見有利に見えるだろうが実際はこちらが大幅に不利な場だ。

 

 その理由が…

 

「セット、<夢の追走者 エリン>を追加召喚。エリンの【瞬発】によりもともといたエリンを+2/2、更に今出したエリンは【速動】をもつ」

 

 

 知らないテーマ、圧倒的なカードパワー差、そして恐らくリヴォルトが使えないという縛り。

 

 

 

 友人形(フレンドール)は約8年前に出た闇属性のテーマ。

 場に他の友人形が出たときにスタッツを強化する共通効果を持ち、終盤に行くほど高いスタッツのキャラが並ぶのが特徴。

 出た当初は高いカードパワーにド派手な場が作れるということで初心者向けにストラクチャーデッキが作られたが……スタッツを強化する関係上、場の管理が複雑という理由で初心者お断りデッキとなってしまった悲しい歴史がある。

 構築としては、小型友人形を使いまわして強化する『ムキムキショターズ』、相手のキャラにフレンドールを付与してコントロールを奪う『俺達友達(強制)デッキ』、ギリギリまで耐えて一気に強化して逆転する『フレンドーピング』、安く買って(出して)高く売る(リソースに変換)『転売リサイクル』などがあるが、どれも強化カードが必須である。

 

 

 問題なのは相手のカードパワーだ。

 <夢(ドリーム)>?知らないテーマですね。2コスで0/3+2/2出来て二回行動持ちに速動持ちなんて全部そろってんじゃん。ついでのようにある潜伏もダメじゃん。しかも多分あのカードのメインの効果ってその下の『夢カウンター』を自分にも乗せる効果じゃん。『夢カウンター』を貯めてどうなるかもまだ検討もつかない。

 

 つまり…この世界のReボードはおそらく最(・)新(・)環(・)境(・)である。

 

 

 そして一番の問題点…リ(・)ヴ(・)ォ(・)ル(・)ト(・)が(・)使(・)え(・)な(・)い(・)。

 より細かく言えば全てのカードにあるはずのリヴォルトテキストが見えない。どれだけカードを傾けても何にも書かれていない。

 セツナに言われた通りに、ファイトボードにセットしようとしてみたらエラーと表示された。これは恐らくほぼ確実にリヴォルトが使えないということだ。

 唯一の救いは俺がリヴォルトが使えないレギュレーション『ノーリヴォルトレギュレーション』をやっていたことだろうか。まさかこんな状況で使えるなんて思ってもみなかったな。といっても相手はリヴォルトが使えるんだから気をつけなきゃいけない。

 

 

 

「バトル、2/5のエリンで<陽気友人形(ライトフレンドール) ゲンキ>に攻撃」

 

「通ります」

 

「次に、今出したエリンは【速動】を持つため行動できる。<夢の追走者 エリン>をコールして手札に戻す」

 

「セカンドに入ってそのままエンドフェイズ。フィニッシュドローしてターンエンド」

 

 

 残ったエナジーは2、エリンを出し直して更に+2/2出来たはずなのにそれをしないか…何かあるな。

 

 

「イグニッション、スタートドロー、メインに入ります」

 

 手札には友人形のスタッツを強化できるゲンキがあるが…多分処理されるし、強化したとしてもパワーは届かないな。ならカツキは要らないな。

 

「:<陽気友人形《ライトフレンドール》 ゲンキ>をセット、ゲンキのエナジーは2、合計5コスト<人形工房 キッズパーク>を展開」

 

 俺の足元からレンガ調の床と景色が広がっていく。

 友人形の作者であるアリスの工房、数々の友人形が創られてきた工房、友人形達の家が展開される。

 

「<人形工房 キッズパーク>は展開時、場に存在する友人形の数だけHPが上がり計7になります。起動効果で自分ターンに1度、墓地の友人形をデッキに戻すことで、1枚ドローか山札の上から1枚をダウン状態でセットします。通りますか?」

 

「残念、何もない」

 

「キッズパークの効果起動、墓地のゲンキをデッキボトムに送り1枚ドローします」

 

 

「バトルフェイズ、<幼少友人形(リトルフレンドール) コガラ>をコールして手札に戻します。通りますか?」

 

「何もない」

 

 対面のメアの表情が少し曇った。

 正解だな。

 恐らく使いたかったのは手札誘発の全体除去、それも条件付き。

 

「場の友人形(フレンドール)が離れた時、人形工房の効果が誘発。離れたキャラと同じスタッツ(1/4)の<友人形トークン>が出ます」

 

「続いて<勝気友人形(ビクトリーフレンドール) カツキ>をリリースして(墓地へ送り)カツキの2コスト分エナジーを回復、同様に同じスタッツ(2/2)の<友人形トークン>が出ます」

 

 

 メアの方を見ると、完全に嫌な顔をしている。

 

 

「殴ってこないんだね。普通のファイターならさっさと終わらせたくて殴ってくるのに」

 

「そりゃあ迂闊に殴ってエナジー増やすのは悪手だからな」

 

「ふーん…めんどくさいなぁ」

 

 

「バトル終了、セカンドはスキップしてエンドフェイズ」

 

 

「それじゃエンドフェイズに手札からフィールド<上る三日月>を展開」

 

「通ります」

 

 辺りを暗闇が覆う。真っ暗闇の景色の中、雲の間から三日月が顔を出し、月光が俺らを照らす。

 

「このカードはエンドフェイズにしか発動できず、相手ターンならコストが下がる」

「そして【瞬発】、場に出た時相手の場全体に4ダメージを与えて、このフィールドに『夢カウンター』を2つ乗せる。更にエリンの効果で同じ数『夢カウンター』をエリンに乗せる」

「このフィールドは場にドリームキャラが出た時、そのキャラとこのフィールドに『夢カウンター』を1つ乗せる」

 

「マジかよ…トークンは全部破壊されます」

 

 一枚に効果詰め込みすぎだろ。

 

「フィニッシュドローをしてターンエンド」

 

 

 

 

 

「…その程度で終わり?」

 

 

 空気が変わり、肌に刺さる様な冷たさが空間を支配する。

 

 

 少しでも気を抜いたら眠ってしまいそうなほどに。

 

 

「その程度だったら、もう…終わ(眠)らせようか」

 

 

 メアの目が妖しく光る。

 

 

 

 

「イグニッション、スタートドロー、メイン」

 

「エナジー2の<小さな夢>をセット」

 

 これでエナジーは5、ファイトボードからテキストを確認する。

 

「1コスト<始まりの憧憬>。手札を二枚捨てて、捨てたカードのエナジーの分『夢カウンター』を振り分ける」

 

 墓地を確認する。

 <夢でも見てたのか?>と<夢の追走者 エリン>、知らないカードだ。片方はさっき手札に戻したカード、もう片方は夢カウンターを使っての無効化か。

 

「エナジーの合計は2、なので<上る三日月>に2つ乗せる。誘発してエリンにも同じ数乗せる」

 

「残りのエナジーで<夢見る少女 リール>を召喚、誘発して『夢カウンター』を増やす」

 

 月光が照らす場に、決意を宿らせた少女が現れる。

 

「効果は…夢カウンターを2つ消費して強化…または能力の獲得か。たしかにそのカードならこのターン決めきることもできるな」

 

 

「考えが甘いよサカイ」

 

 

「まだ動くか!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 残りエナジーは0、こんな状況で何をするかなんて決まってる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「リヴォルトセット」

 

 

 

 

 

 

 

 

「それは誰かの夢の果て、それは一人の少女が願った夢、いつか届く宇宙の星々(叶う憧憬の夢)」

 

 

 

 

 

 

 

 

リヴォルトオープン

 

 

 

 

 

 

 

 

「夢を叶えるよ<星詠みの夢 ポラリス>」

 

 

 

 

 

 

 

 

 宇宙(そら)に浮かぶ月から神秘的な女性が降ってくる。

 

「このカードは場の『夢カウンター』を6つ取り除くことでオープンできる。続いて、山札の上から6枚見てカードを2枚加える。誘発して『夢カウンター』が増える」

 

「ポラリスの効果を起動し、場の『夢カウンター』を3つ取り除いて3つの効果から1つ発動できる。発動するのは墓(・)地(・)か(・)ら(・)<(・)夢(・)の(・)追(・)走(・)者(・) (・)エ(・)リ(・)ン(・)>(・)を(・)蘇(・)生(・)」

 

 更にキャラが登場する。

 

「エリンの【瞬発】によりリールに+2/2(計5/5)、そしてエリンは【速動】を得る。誘発して『夢カウンター』を増やす」

 

「<夢見る少女 リール>の効果起動、『夢カウンター』を6つ取り除いて【二回行動】【魔葬】【速動】を得る」

 

 5/5で?2回アタック出来て?マナがエナジーの代わりに墓地に送られるのか?

 まともに受けたら逆転の可能性(トリガートラップ)すらない!

 本当に友人形とはカードパワーが違うな。

 

 

「バトル、リールでサカイに攻撃」

 

「そのまま受けます、ッ!」

 

 衝撃とともに、5枚のマナが攻撃を受けて墓地へと落ちる。

 

 攻撃を受けて痛みが走るが…

 

「トラックと衝突した時よりかは痛くないなぁ!」

 

 確かに強い、だからってあきらめるにはまだ早い。

 

「リールで二回目の攻撃」

 

 それは止める!

 

「攻撃に反応して2コスト!手札からカウンターマジック<バーリア>を発動。効果により手札から友人形を一枚捨てます、そしてターン終了時まで自身はダメージを受けません」

 

「時間稼ぎか、めんどくさい。けど<バーリア>のデメリットで、次の自分エンドフェイズまで攻撃できないよ」

 

 安心しろ、攻撃なんてしないからな。

 

「2/5のエリンで<人形工房 キッズパーク>に二回攻撃」

 

「一回目はそのまま耐えます。二回目で人形工房の効果発動。このフィールドが破壊されるとき、墓地から友人形を3枚デッキボトムに送ることで、破壊を免れます」

 

 マナから墓地にカードが落ちたことで、人形工房が耐えるための友人形は3枚以上貯まっている。

 

「【魔葬】の攻撃を受けたのは墓地に友人形を落とすため!?」

 

 

「攻めきれなかった…バトル終了、セカンドは飛ばしてフィニッシュドロー、リ(・)ヴ(・)ォ(・)ル(・)ト(・)を(・)セ(・)ッ(・)ト(・)してターンエンド」

 

 

 

 

 

 

 よし…最後のリヴォルトをセットしたな。

 

 

 

 

 

 

 勝ち目はまだ残っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




技なんて力で粉砕すればよいのだ!

──剛力の師範
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。