逆転なんて許さない   作:続(ツヅ)

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第3話『リヴォルトは対戦中2回使える』

 リヴォルト、それは戦況をひっくり返す逆転のカード。

 

 全てのカードはリヴォルト効果を持ち、どれも強力な効果を持つ。

 条件が厳しいがたった一枚でゲームを終わらせる性能の効果から、緩い条件でそれほどの性能の効果まで幅広く存在している。

 リヴォルト自体をデッキの軸とする構築から、構築の隙間を埋めるためにリヴォルトを使うなど、Reボードにおいて最も重要で戦略的な要素である。

 

 これほど重要なリヴォルトであるが、例外を除いて、ゲーム中2回しか発動できない。

 自分のターンならいつでもセットすることができるが故に気軽にセットしてしまう。

 しかし、一度セットしたリヴォルトは元には戻せず、発動するまで次のリヴォルトをセットすることができない。

 

 

 

 そして…目の前で戦うメアは2枚目(最後)のリヴォルトをセットした。

 

 

 

「俺のターン。イグニッション、スタートドロー、メインフェイズ」

 

 引いたのは2枚目のコガラか、ちょうどいい。

 

 

「メインフェイズ開始時にポラリスの【対応起動】、『夢カウンター』を3つ取り除き、墓地から<始まりの憧憬>を発動」

 

「効果により手札を二枚捨てて、捨てたカードのエナジーの分『夢カウンター』を振り分ける」

 

「リールに2つ乗せて、誘発して二人のエリンにもそれぞれ2つ乗せる。処理は終わりだよ」

 

 なるほど、ポラリスの効果で毎ターン夢カウンターを増やすわけか…まずいな、これで夢カウンターの合計は6、ポラリスの効果が2回発動できる。

 ポラリスの残り二つの効果は破壊とハンデス。

 破壊かハンデスが飛んでくるというわけか。

 

 

「人形工房の効果起動、墓地の友人形をデッキボトムに送り1ドロー」

 

 引いたのは単体に大ダメージを与えるマジックカード。

 メアのキャラは全員【潜伏】を持ってるから使わないな。

 

「セット、これで7エナジー。1コスト<幼少友人形(リトルフレンドール) コガラ>を召喚」

 

「通さないよ、ポラリスの【対応起動】、夢カウンターを3つ取り除いて、召喚されたコガラを破壊」

 

 妨害は残り一回。

 

「人形工房が誘発して、コガラと同じスタッツ(0/1)の<友人形トークン>が出ます」

 

 工房から出てきた人形が破壊されて、リサイクルされる。

 

 

「1コスト<幼少友人形(リトルフレンドール) コガラ>を召喚。通りますか?」

 

 

 返答はすぐには来なかった。

 

 

 俺の手札は残り2枚、盤面には後からでも処理できるキャラ(コガラ)とフィールドとトークンが一枚ずつ。

 

 片方の手札を捨てさせるか、次に出てくるかもしれない大型キャラを破壊するか、次のターンのため『夢カウンター』3つを温存するか。

 

 

………

 

 

……

 

 

 

 

「通すよ」

 

 

 

 

 読み合いは俺の勝ちだ。

 

 

「コガラで1軽減、4コスト<友忍形(ニンニンドール) シノブ >を召喚。誘発してコガラのスタッツを+1/0」

 

「シノブの効果により俺の場のカード全てに【潜伏】を付与する」

 

 

 さぁ、かくれんぼを始めようか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …めんどくさい。

 

「【位相】持ちのリール2体でシノブに合計4回攻撃!【位相】を持たないカードからアタックもブロックもされない!」

「トラップを2枚起動<無邪気な生贄>、効果によりアタック先を<リサイクルトークン>に変更」

「対応はなし…リールは【豪傑】により戦闘ダメージを受けない」

 

 ……めんどくさい。

 

「6/9のエリンでシノブに攻撃!」

「セイでブロック」

 

 …………めんどくさい。

 

「セカンドフェイズ」

「マジック<目覚めの時>を発動。『夢カウンター』を5つ取り除き、取り除いた数×2のダメージをサカイの場全体に与える」

「通します。【ガッツ】が剝がれていたノービス、セイ、コガラの3体が破壊されます。人形工房が誘発して同じスタッツの<リサイクルトークン>が出ます」

 

 

 めんどくさい!!!!!

 

 

 いくら攻撃しても防がれるし、小型キャラは並ぶし、攻撃はしてこないし、スタッツでも能力でもリソースだって圧倒してるのに…盤面を超えられない。

 

 手数は勝ってる、盤面を崩すマジックだって何枚も使った。

 けど、その時に限って対処される。

 

 サカイのマナは既に0、あとはダイレクトアタックするだけなのにあと1回の攻撃が遠い。

 

 盤面には見たことのない数のキャラが並んでいる。

 私のキャラだって今までにないほど強化されている。

 

 だが、同時に私の脳にかかる負荷も増えていっており、判断ミスだって増えてきている。

 

 

 <星詠みの夢 ポラリス>の破壊は【潜伏】により使えない。

 墓地蘇生は各ターン1度しか使えない。

 できることは潤沢な『夢カウンター』を消費して常にサカイの手札を0にすることしかできない

 

 

 何より…()()()()()()使()()()()

 

 

 セットしたのは自身のマナが4枚以下の時に発動できる<夢見る少女 リール>。

 私のデッキの攻撃の要であり、追い詰められた時の奥の手でもある。

 でも…今は手札に欲しい。

 既に私の盤面には残ったリール2体が出揃っているが、手数が足りない。

 セットしたリールが入ればという場面が何回もあった。

 

 それにリール以外のリヴォルトなら打開だってできた筈。

 

 

 

 

 

 これほどなら倒せるであろう。

 この程度なら負けないだろう。

 いつも通り倒せるだろうな。

 リヴォルトが使えない相手に逆転なんてされないだろう。

 

 

 

 

 

 そんな積もり積もった油断(私のミス)が牙をむく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいおいおい?!あんだけヤバいキャラが揃い切ってるのに…メアが攻めきれてないやと?!」

 

 

 

 笑みを抑えられない。

 

 

 

「予想以上の結果だな、サカイ」

 

 今まで見てきた相手でメアに健闘できたファイターは何人か見てきたが、ここまで長引くことは一度もなかった。

 

 

 

「予想以上というか異常事態やろ、あれは?!4()()()()()()()()()()()()()0()()()()()()()()()()

 

 そうだ…セツナが言ったように、サカイは4ターンもの間出来上がった盤面しか動かしていない。

 

「詰めが遅れたな、メア」

 

 全体に【潜伏】を付与する<友忍形(ニンニンドール) シノブ >でポラリスの破壊を免れている。

 【ガッツ】を付与する<熱血友人形(サンフレンドール) タイヨウ>でブロックを成り立たせている。

 【速動】を付与してエナジーから友人形を使える<俊足友人形(ランフレンドール) ファスト>で手札がなくとも動けるようにしている。

 ファイトの初めにセットしたトラップで致命傷となるマジックや攻撃を防いでいる。

 

 

 メアの盤面を突破はできない…しかし耐えることはできる。

 

 

「この状況になったのはサカイのプレイングもあるが…一番の原因はメアの油断だな」

 

「油断やと?初動以外いつも通りに見えたが?」

 

 

 確かにいつも通りだ。

 いつも通りの動きをして、いつも通りトドメをさす。

 何ら変わらないメアの動き。

 

 

「だったら、メアが負けたことを見たことはあるか?」

 

「そんなのあるわけなッ…そういうことか」

 

 ようやく気付いたか。

 

「いつも通りの展開でずっと勝ってきた…勝ててしまった。それ故に予想外の出来事(イレギュラー)に慣れていない!」

 

「それに加えて、勝ち続けたことによる油断と慢心…メアも気づかぬうちにプレイングが最近雑になっていった」

 

 

「本来の実力ならサカイの盤面が揃う前に決着をつけられたであろう」

 

 しかし、ここまで盤面が揃ってしまっては突破するのは難しいぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カウンターを数える。

 

 場のスタッツを確認する。

 

 どの順序で誰がブロックするのか考える。

 

 誰が倒せるのか確認する。

 

 メアの表情を読む。

 

 メアの使うカードを予測、選別する。

 

 残りの山札の枚数を確認する。

 

 デッキボトムに送った友人形(フレンドール)を思い出す。

 

 

 

 

 

 こんなにもReボードに熱中してるのは久しぶりだ。

 

 普段テーブルでやっているReボードよりも、断然情報量が多い。

 

 薄い勝ち筋を探り、星の数ほどある負け筋を考慮する。

 

 ここまで抵抗できたのはメアのミスを容赦なく突いていったからだ。

 

 

 

 

 楽しい。

 

 

 

 

 Reボードが楽しい。

 

 

 

 

 引退して心の火は消えたはずだったのに…

 

 

 

 

 Reボードへの思いに火が灯る。

 

 

 

 

「俺のターン」

 

「イグニッション、スタートドロー、メインフェイズ」

 

「ポラリスの効果起動!『夢カウンター』を取り除いてハンデス!」

 

 

「人形工房の効果を起動、友人形(フレンドール)をデッキボトムに送って1枚ドローします」

 

「ポラリスの効果起動!『夢カウンター』を取り除いてハンデス!」

 

「2枚目の人形工房の効果を起動、友人形(フレンドール)をデッキボトムに送って1枚ドローします」

 

「当然ポラリスの効果起動!『夢カウンター』を取り除いてハンデ『エラー、夢カウンターが足りません』……えっ?」

 

 

 夜空に浮かぶ()が消える。

 

 今となっては数えるほどしか見えない星々(夢カウンター)

 

 

 互いに10を超える数のキャラとフィールド。

 元のスタッツとはかけ離れた強化により、盤面には1/1~22/25まで幅広すぎるキャラが混在している。

 潤沢すぎる手札も脳へ負担をかける。

 キャラを出すたびに誘発して『夢カウンター』を乗せる複雑な処理と管理。

 圧倒的優勢な盤面とリソースによって、何でもできるが故の雑なプレイング。

 

 

 こちらだって負けたくないんだ。

 

 

 慣れない状況、予想外(弱み)に付け込み。

 読み勝って(勝てば)追い打ち。

 デッキの膨大な処理や対応できない隙間(欠点)をつけ狙う。

 

 

 これらすべて誰かから教わったこと。

 

「ようやく手札が使える」

 

「……たった1枚で何ができるの?次のターンには『夢カウンター』だって回復させ「()()()()()()」…何を言って」

 

 

「場の<俊足友人形(ランフレンドール) ファスト>の効果を起動、自身のエナジーからコストを支払い友人形を1枚プレイします」

 

 

「プレイするのは<友人形の証(フレンドール・トロフィー)>。効果は、全てのプレイヤーは場に存在する友人形の数だけドローする」

 

 

 

 場の友人形の数は13体、対してメアの山札も残り13枚。

 

 

 

 リーサルだ(通れば勝ち)

 

 

 

「通すわけない!トラップ起動<夢でも見てたのか>、『夢カウンター』を2つ取り除くことにより、効果を無効にする!」

 

 最後の()が消えていく。

 

 

 

 

 

「いいや、見てただけじゃない!人形たちは確かに夢は叶えた!」

 

 

 

 

 

 友人形(フレンドール)はアリスが孤独を埋めるために創り上げた人形たち。最初の人形はただの機械人形で、命令通りの動きしかしなかった。

 

 

 

「手札から<冷静友人形(ダウナーフレンドール) レイ>を召喚します。【瞬発】場に他の友人形がいるので1枚ドローします」

 

 

 

 それでもアリスはただの機械だった人形たちを大切にし、自分と同じく孤独な人たちのためにも新しく創り出した。

 

 

 

「今引いた<人形工房 キッズパーク>を展開。そして効果を起動して1枚ドローします」

 

 

 

 しかし、自分たちを創り、大事にして、誰かのために頑張ってもアリスはひとりぼっちだった。だから人形たちは自ら動き出した。

 

 

 

「<俊足友人形(ランフレンドール) ファスト>を召喚」

 

 

 

 アリスの友達になりたいために、アリスをひとりぼっちにしないために、ただただ友達を元気づけたいために、100の人形たちは一つのガラクタ(トロフィー)を作り上げた。

 

 

 

 

 

「ファストの効果を起動、効果によりエナジーから<友人形の証(フレンドール・トロフィー)>を発動!」

 

 

 

 

 

 そのガラクタ(トロフィー)こそが、アリスと人形たちの夢を叶え、人形を友人形(フレンドール)に変えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺のデッキは人形工房で全て把握し、操作していた」

 

 

 俺のデッキ枚数は残り1枚。

 

 

 対してメアのデッキは0枚。

 

 

 

 

「バトルもセカンドもスキップしてフィニッシュドロー」

 

 

 

 

「さぁターンエンド(夢から覚める時)だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




力なぞ技で制すればよかろう

──巧者の師範
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