Revolt Board─通称Reボード
それぞれ特徴のある火、水、木、光、闇の5つの属性に加えて、どの属性にも属さない無属性。
Reボードのカードはこれらの属性を持ち、コンセプトにあった属性を中心にデッキを組んでいく。
長期戦がしたいなら火属性、高パワーで攻めたいなら水属性、相手の邪魔をしたいなら木属性、短期決戦や早く攻めたいなら光属性、ゆっくりと強化していき有利な盤面を作りたいなら闇属性。
そして…無属性、特徴はただ一つ。
汎用性が高い万能の属性…悪く言えば器用貧乏、無属性のみではパワーが足りなくなる…そんな属性。
あらゆるデッキに入れることで、デッキの細かな調整、構築の隙間を埋める、足りないパーツの代用などができる。
そんな無属性の代表的なテーマが
スプライム…Reボードのどの時代においても見かけるテーマ。
パワーは低い。驚くほど低い。どうにもできないほど単体のカードパワーが低い。
しかし、欠点はそれしかない。
エナジー加速、マナ回復、ドロー、サーチ、ルーター、墓地リセット、エナジー回収、コスト軽減、強化から破壊、墓地へ送ったり、耐性付与などなんでもござれ。
フレーバーテキストでは、これといった活躍はないものの、どこにでもいる。どの時代、どの次元、どの場面でも登場しやがるスライムである。
スプライムは常に誰かの味方であり、誰かの側にいる。
この言葉はフレーバーテキストだけじゃなく、現実の俺らにも当てはまった。
常に値段は安く、足りないパーツや役割の代用になる。
財布に余裕がないやつだってスプライムを入れることでデッキになる。
初心者から上級者まで幅広く使う…そんなテーマがゴミの様にストレージに落ちていた。
いやまぁ、助かるけどね…うん。
少しだけ悲しいな。
◆
「お釣りの2,375円になります」
店員から購入したカードとスリーブ、お釣りを受け取る。
「ちょっとファイトスペース借りてもいいか?」
「どうぞお使いください」
ファイトスペースへ移動してカードとスリーブを取り出して、スリーブを被せていく。
結局購入したカードのほとんどが
これらはストレージから購入し、一部のRやSRのカードはショーケースから探し出した。
ショーケースの中はシリーズも属性もバラバラで法則性などもなかったせいで一枚のカードを探し出すたびに、何十分も時間が掛かってしまった。
店の窓から外を見れば、既に夕暮れになっている。
一回程度一人回しして帰るか。
組み上げたはいいものの、しっかりと回るかテストしなければならない。
そう考え、スリーブを着けたデッキをシャッフルする。
デッキが無作為になるよう何度もシャッフルをする。
シャッフルし終わり、デッキからカードを引こうとしたその時…店の扉が開かれる。
俺と店員の2人しかいなかった店に、新たな客が訪れる。
一瞬だけ確認しようと目を向けて驚く。
綺麗に整えられた黒に紫がかった長髪、少しおどおどした様子の少女には見覚えがあった。
あの子は、昼間に俺が助けた子だ。
少女は店内を少し見渡した後、デッキケースを強く握りしめ、意を決して口を開く。
「あ、アノ、ファイトしませんか!!」
大声で発した言葉は、静かな店内によく響く。
その相貌は明らかにコミュ障…人との接し方を知らない様子の少女に店員が近づく。
「いらっしゃいませ、ファイトがご所望ならあちらのファイトスペースでファイトができます。ちょうどお一人様の方がいるので誘ってはどうでしょうか?」
笑みを浮かべながら、聞き取りやすいようゆったりと伝える。
「あっお願いしまス」
店員の後ろについていき、こちらへと近づいてくる。
キョロキョロしながら歩いてきた少女と目が合う。
「よっ、またあったな」
「セカイさん!」
知っている人を見つけた瞬間、いきなり表情が明るくなったな。
小型犬みたいで癒されるな。
「セカイさんもファイトをしに?」
「いや、俺は新しいデッキを買ってから一人回しでもしようかと」
「だ、だったら私とファイトしませんか?!あの、ほら一人で回するよりも対戦相手いた方が楽しいし、デッキのミスにも気づきやすいし、あ、えっと他にもいろいろある…筈デス」
早口だなぁ。
「それじゃ──対戦するか」
「──────ッはい!」
「対戦はテーブルとボード、どっちでやるんだ?」
「う~ん、せっかくならボードでお願いします」
満面の笑みで大きく頷くと、少し離れて俺の対面に立ちデッキをシャッフルする。
シャッフルの最中、何かに気付いたのか手を止める。
「あっ、そうだ名前、私は
「ユウナか、残念ながら手加減はしねぇぞ」
「望むところです」
「…お二人とも、ボードのオートシャッフル機能をお使いください」
「「あっ、すみません」」
◆
「デッキセット」
デッキをボードにセットする
「ファイトボード起動」
起動と同時にデッキがシャッフルされてる。
「マナカードセット」
続いてデッキから5枚のカードを引く。
「準備よし…ユウナは大丈夫か?」
「はい大丈夫です」
それじゃあ。
「「
先行は…ユウナか。
俺の手札はまぁまぁダメかもしれない。引くカード次第だな。
「先攻なのでイグニッションフェイズはスキップ」
「エナジーセット」
「1コスト、<
早速コスト軽減が出たか、まずいな。
「ターンエンド」
「俺のターン」
「スタートドロー」
「2エナジーのカードをセット」
「2コスト<ランナー
「フィニッシュドロー、ターンエンド」
「私のターン」
「イグニッション、スタートドロー」
「エナジーセット」
「もう1体<
コスト軽減が2体か…ドローができるレイが来なければまだ。
「2コスト軽減、1コスト<
終わったかもしれない。
場に他の友人形が出たときにスタッツを強化する共通効果を持ち、終盤に行くほど高いスタッツのキャラが並ぶのが特徴。
そのため低コストの友人形キャラを大量に並べる動きが強い。
低コストを大量に並べるのに重要な点が『コスト軽減』と『手札補充』である。
友人形は盤面さえできれば、高スタッツに厄介な能力の共有によって、ほとんど突破不可能な堅牢な要塞となる。
対処法としては、盤面が出来上がる前にケリをつけるか、妨害するか…それか相手以上の高スタッツを用意するしかない。
しかしこれらの対処法は理想展開の友人形にはほとんど間に合わない。
そして、現在の俺のデッキでは太刀打ちできる可能性はあるが…できるかは分からない。
まだリヴォルトさえ使えれば逆転できたかもしれないが…それも使えない。
だから…相手の事故を祈って、俺ができうる限りの最善の動きをするしかない。
時は経ち6ターン目、既に俺のマナは0、あとはダイレクトアタックされるだけで負けてしまうところまで追い詰められたが、その分エナジーは
次のターンで決めきる。
「フィニッシュドロー、リヴォルトセット、ターンエンド」
「フフフ、ここまでの盤面セカイさんは突破できますか?」
ユウナは
「突破して見せるさ」
負けるなんて想像はなしだ。
勝つための思考しかしない。
「俺のターン、イグニッション、スタートドロー」
「2コスト<ランナー
「3コスト<キャッチャー
「2コスト<コール
「2コストで今手札に戻した2コスト<ランナー
色とりどりのスライムが盤面に出たり消えたりして、カードを運んでいく。
よし、準備はできた。
「トラップ<コールドスキン>をエナジーにセット」
「3コスト<
「2コスト<アンブレイダーNo.21 ニール>を召喚」
「2コスト<スピード
「バトルフェイズ」
まずは【ガッツ】を付与してる
「<
「ニールの【攻発】によりATK+3、【貫通】を付与」
光るビニール傘を二本持ったニールが突撃する。
「もちろん<リサイクルトークン>でブロックします!」
「トラップ発動<コールドスキン>、手札を任意の枚数捨てて発動できる。このアタック中、捨てた枚数以下のコストのカードのブロックを無効化します」
これでブロックできるカードはなくなった。
「けどタイヨウは【ガッツ】でHP1で耐えるよ。そしてアタック後にライフルの効果でHPが減る…そちらのニールは破壊されるよ」
たしかに<
「ニールの【攻発】には続きがあります。アタック後にコールしてもよい。というわけでニールを
仕上げだ。
「【速攻】が付与されているニールに<
1/1のニールに+4/1、-2/+2で計3/4になる。
聖剣神殿は装備条件未達成によりまだ効果はない。
「3本装備したニールで<
「ニールの【攻発】によりATK+3、【貫通】を付与」
「スタッツが5/2以上になり<
3本の傘の連撃によりタイヨウが沈む。
「っ、全体に付与されてた【ガッツ】は解除されます」
「バトルでカードを破壊したため、マガジンとポレオンの効果発動」
「マガジンの効果によりニールを
「ポレオンの効果により『ドライブカウンター』を1つ乗せて、『ドライブカウンター』の数だけATK+1」
俺の説明を聞いてユウナが何かに気づく。
「これは…無限攻撃!?」
「けど、ニールの攻撃で倒れない、もしくは相打ちさえできれば攻撃は止められるはず」
「タイヨウが離れたことで<人形工房 キッズパーク>の効果が誘発!同じスタッツの<リサイクルトークン>が出て皆のスタッツを強化」
そうだな、だから最初から残しておいたトークンから倒す。
「ニールで残りのトークンに攻撃」
リサイクルトークンが3体破壊されたことで更にATKが上昇する。
「耐えることは出来なくなった…けど、相打ちは狙える!」
「いいや、<
「本当だ?!」
【貫通】の余剰ダメージでマナは削りきれる。
ニールの攻撃で盤面も更地にできる。
後は…セットされたリヴォルトカード次第だ。
「まだです、リサイクルトークンが出た時にHPを強化…【貫通】のダメージは細かくできる」
ニールが3振りのビニール傘で次々と友人形達を切り裂いていく。
「トリガートラップは…無し」
強化された友人形から順番に切り伏せていく。
「トリガートラップ…無し」
残った
そして、最後のマナが砕かれる。
「トリガートラップ無し」
残った人形工房の中には、誰もいない。
マナは0…後はダイレクトアタックするだけ。
剣を少女に向け…トドメをさす。
「リヴォルトオープン」
「<
あぁ。
「このカードはお互いのマナが0の時だけ発動できます」
届かなかったか。
「自身の墓地に存在する
残骸となったはずの人形たちが最後の気力を振り絞って、立ち上がる。
俺のトラップも妨害も尽きた、あの数をブロックできるだけのキャラはいない。
もう一度あの盤面を崩すには、まだ引けていない1パーツが足りない。
対戦ありがとうございました。
◆
「いやぁ、負けた負けた。行けると思ったんだけどな~」
背負っている少女…メアに話しかける。
「そんなことはどうでもいい!なんで私を忘れて行っちゃったの!」
ファイトが終わった後、負けた衝撃により公園にメアを置いてけぼりにしていたことを思い出し急いで戻った時、メアは完全にダウンしていた。
「まぁ色々あったんだよ。トラック止めたり、カード買ったりな」
後ろからポカポカ本気で叩かれるが微塵も痛くない。
「許さない。あとでゼリー買って」
「はいはい」
「…なんかイラついたからジュースも追加ね」
「分かった分かった!夕飯も豪華にするから許してくれ」
「…まぁ許す」
チョロいな。
「夕飯か…何が出るのかなぁ♪」
「今からスーパー寄るからな」
「あっ」
メアが何かを思い出したかのように腕を止める。
「今夜は夕飯の前にカード狩りしに行くから」
あいつは寝たか…よし、準備は整った。
今宵、狩りが始まる。
──