カード狩り…アジトに戻るまでにメアから色々聞いた。
闇のカードから産み出されるブラックエナジーを使って強制的に真のファイトを行わせる。
強制的に行われる真のファイト…ソウルファイトでは勝者が敗者に言う事を聞かせられるらしい。
シャドウリヴォルトはこのソウルファイトを利用して、この世に蔓延る闇のカードを収集しているらしい。
スーパーで夕飯の買い出しを終わらせ、アジトへと戻る。
「戻ったぞー」
「ただいまぁ」
「おかえりやで」
「うむ、やっと来たか」
リビングには既に準備を整えたのか、セツナと【U】が待機していた。
セツナは謎の装置を用意しており、【U】は…今か今かとシャドーボクシングしたりジャンプしたりしてわくわくしている。
おんぶしていたメアをソファに降ろして、食材を片付ける。
「サカイ、まだ終わらんのか。早く行くぞ!」
「ちょっと待て【U】。サカイにはまだ準備してもらうことがあるやろ」
「準備?サカイに準備なんているっけ?」
メアがソファから寝っ転がりながら返事をする。
確かにメアの言う通り俺には準備なんて何もないはずだ。
準備が何なのか頭にはてなを浮かべていると、セツナが別の部屋から何かを引きずってくる。
ズズズと重そうな様子で引きずってくるそれは…メアが抱いていたぬいぐるみ、もとい改造された着ぐるみ。
着ぐるみを見た瞬間、メアは飛び起きる。
「あ────マクマーーーー!?!?」
「うっさ」
「うるさいぞメア」
「どっからそんな大声でるんだよ」
マクマ…メアがいつも大事に大事に抱いて一緒に寝ている巨大なぬいぐるみ兼抱き枕だった。
「仕方ないやん、組織は度重なる出費に資金難に資源難でちょうどいいものがなかったんや。それにサカイの身柄をどうにか隠すように指示したのは総督だからワイは悪くない!!」
なんてセツナは言い訳しているが…
「絶対許さない」
「スマンやで」
メアが起こっている裏で、黙々とマクマに着替える。
マクマの後ろにある隠されたファスナーを降ろし、足から中に入れていく。
下半身を入れ終わり、腕も通す。
最後に頭のパーツを被れば…真っ暗闇というわけではなく、360°全天周囲を確認できる。
通気性もよし、暑いどころか、むしろ涼しい。
物も違和感なくつかめるし、各動作にも支障はない。
「サカイ…いや、マクマ。準備はいいな?」
せっかくだし無口キャラになってみるか。
「…」(頷いてグッドサインを作る)
◆
月夜に照らされた街を歩く。
人影はなく、奥の曲がり角からは幽霊でも出そうな雰囲気の路地裏を進む。
「……ここ、どこでしょうか」
カードショップ『ラビリンス』からの帰り道、ラビリンスまでの道のりを戻っていたら、迷ってしまいました。
そもそも、お家からラビリンスまでの道のりですら曖昧にしか覚えてません。
スマホのバッテリーもとっくの昔に0ですし、どうしましょう。
「うぅ、お家に帰りたぃ…」
薄暗い路地を進んでいると、だんだん不安になってくる。
雑音のみが支配する空間に、一人の声が響く。
「貴様が
背後の方から声をかけられる。
振り向くと、街の光を背にして4人の人影が見えた。
「…だ、誰でしょうか」
「ふっふっふっ……我らが何者か…答えてやろう!!」
「我ら!影を統べる皇たる組織『シャドウリヴォルト』!!」
「闇を飲み込み、光を墜とし…」
「この世界をひっくり返すゥ!」
「【U】!」
「…メア」
「セツナァ!」
「マクマ..」
「今ここに…『シャドウリヴォルト』参上!!!」
「おぉぉ、なんかかっこいいですね!」
「ふっふっふっ、そうだろうかっこいいだろう!メアはかっこ悪いとか言うが、やっぱりなかなか悪くないじゃないか.................って、違ーーーーーう!!」
あれっ?何か間違えたかなぁ?
あっ、そうか。
「私の名前は
【U】さんが鳩が豆鉄砲を食ったような顔をする。
「うぅぅぅぅぅそれもっ違ーーーーーう!!!!!!!」
「??だったら何の用ですか??」
「貴様の持つ!闇のカードを!渡してもらおうか!!」
闇のカード?がなんなのか知らないが、思い当たるカードが一つだけある。
「もしかして…フレンのことですか?」
「心当たりがあるなら話は速い!我がファイトで勝利したら、そのカードを渡してもらおうか!」
【U】が真っ黒いオーラを放つカードを取り出す。
「ブラックエナジー充填完了!ファイトフィールド展開!ソウルファイト強制執行!」
【U】の持つカードから出る『黒』が、辺りを侵食していく。
私と【U】さんを囲むように半透明の黒のドームが出来上がる。
唐突な出来事に、まだ頭が追い付かない。
.................けど、一つだけ確かに分かることがある。
ファイトで勝てばいい。
「デッキセット」
デッキをボードにセットする
ファイトボードは勝手に起動されている。
起動と同時にデッキがシャッフルされてる。
「マナカードセット」
「闇のカードは我がもらう」
「私の親友は渡しません!」
「「
◆
【U】とユウナのファイトが始まった。
「エナジーセット、<
ユウナの方は…夕方と同じくコスト軽減が出来るコガラを引いてるか…デッキに3枚しかないのによく引けたな。
「エナジー2のマジシャンをセット」
「我は2コストで<ラストライク サポーター>を召喚」
【U】はラストライクか…あれが複数体入ってるとすれば早々に決着をつけなければならないが…
「…」『【U】のデッキってラストライクの他に何のテーマがあるんだ?』
マクマに搭載されたチャット機能でセツナに聞いてみる。
「何言ってるんや?他のテーマを入れるわけないやろ?」
「…」『なんでだ?ラストライクなら自己破壊するためにエクスプローラーでも混ぜるだろ?』
「そんなことしたら感応率が下がる…」
俺の疑問にメアが答える。
ここでも感応率か…
「…」『そもそも感応率って一体何なんだ?昨日聞いた時はすっごく曖昧な答え方だったが?』
「私もなんとなくしか分かってないけど…なんか引きが悪くなるというか…リヴォルトが使えたり使えなかったり、調子が悪くなったり…うん、色々ある、色々」
「メアが言ってることで大体あってるで。もっと詳しく言えば、カードとの繋がり…人によっては好きなカードを好きなときに引いたり、相性のいいテーマのリヴォルトが全て使えたりできるやで」
「逆に、デッキに相性の悪いカードを入れると感応率が下がって、リヴォルトが使えなかったり、引きが悪くなる。つまり糞みたいな運ゲーに身を任せるしかないんやで」
「…」『待て、その説明だとまるで大体のリヴォルトが使えないみたいに聞こえるが?』
「そりゃ普通そうやろ。レアリティが高くなるほど…相性が悪いほど…リヴォルトが見えづらくなっていき、ノイズ、文字化け、抜けていく文字…考えるだけで恐ろしいわ」
もしかしなくてもこの世界って…クソなのでは?
「サポーターでコガラにアタック!」
「セイでブロックします」
小柄な友だちを守るため
「ふん、相打ちか。だが破壊された時サポーターの効果が起動する!デッキの上から5枚を見て、<最終戦線 ラストライク>を回収」
「セカンドフェイズ、4コストで<ラストライク ソルジャー>を召喚」
「フィニッシュドロー……リヴォルトをセットしてターンエンド」
二人のファイトに戻る。
後攻2ターン目が終わったばかりでまだまだ序盤…フレンドールは闇単体だから動き出すのはもう少し後、対してラストライクは火単体で他のテーマも入ってないとしたらまだまだ動き出すのは後か……
「私のターン、イグニッション、ドロー」
「ゲンキをエナジーにセット、軽減1コストで<
「…アタックせずにエンドフェイズ」
このターンは盤面を整えてきたか。
「ふっふっふっ、そちらが動かぬのならば、こちらから攻めるまでだ!!我のターン!」
【U】の方はこのターンで動き出すらしいが…あれを出すには厳しくないか?
現在の場には強化したコガラ、カツキ、人形工房の3枚に、ソルジャー1体のみの計4枚…
セットしたリヴォルトが本当にあれだとしたら、発動にはバトルフェイズ終了までに4枚破壊しなきゃいけないが…相当要求値は高いぞ。
…いや、前世界じゃ理論値のようなルートだが…感応率があるんだからあり得るかもしんないか。
「エナジーセット、5コスト出てこい!<ラストライク マジシャン>!」
「バトルフェイズ!
「コガラにはまだ仕事が残ってる…
「カツキが破壊された時、人形工房の効果で同じスタッツの<リサイクルトークン>が出ます。これは種族に友人形が含まれるのでコガラのHPを強化」
これで1枚破壊、あと3枚…
「まだ我のとっておきが残ってる!自身のキャラを1体、我はマジシャンを破壊することでスピードマジック<打ち上げ花火>をコストを支払わずに発動!」
「リサイクルトークンに2ダメージ!」
マジシャンの効果は破壊された時、5コス以下のマジックを使えたはず。
「マジシャンが破壊された時!マジック発動!」
今の状況に、5コス以下のマジックで発動させたいラストライクのカードなんて一つしかない…
カード1枚に現在のマナ分のダメージを与える効果…
(<
「<
「効果で人形工房を破壊!」
そしてこの破壊によりリヴォルト条件が達成される。
リヴォルトオープン!
「意思は託される。誰かが託す限り、その意思は決して折れぬ希望となる!」
「立て!<
うわ、ほんとに出たよ最強の爆弾。
<
問題となった効果が、破壊された時、相手の場のカード全てに10ダメージを与える。
ただでさえ倒れないキャラが置き土産で実質的な全体破壊をしてくるんじゃねぇ!お前を処理するだけでリソースが尽きるわ!ダメージだから【破壊無効】で対策もできないし…
破壊以外の方法で処理すればいいだろうって?【ガッツ】剥がれた瞬間自爆してくんだよなぁ。
◆
「リヴォルト効果で墓地から<ラストライク サポーター>と<ラストライク マジシャン>を蘇生!」
「見たか!これぞ我が切り札!最強の英雄!」
<最後の英雄《ラストライク》 ブレイヴ>か…厄介ですね。今の手札じゃ盤面を突破できない…どう動くかは次のドロー次第。
「私のターン!イグニッション」
「ドロー!」
デッキからその1枚を引くその瞬間、カードが光った気がした。
引いたカードを見て、次にエナジーを見る。
エナジーにはガッツ付与のタイヨウがいる。手札…よし、エナジー…よし、相手のトラップよし。
出す順番は…カツキレイリヴォルトフレンエナジータイヨウゲンキゲンキコールゲンキ、再確認…カツキレイリヴォルトフレンエナジータイヨウゲンキゲンキコールゲンキ、強化するスタッツ確認…カツキレイリヴォルトフレンエナジータイヨウゲンキゲンキコールゲンキ、最終確認…カツキレイリヴォルトフレンエナジータイヨウゲンキゲンキコールゲンキ.................全部よし。
(これなら…行ける!)
「ゲンキをエナジーにセット」
これでエナジーは7…エナジーにタイヨウとゲンキ2枚がセットされているかをもう一度確認する。
「軽減1コスト<
「軽減2コスト<
これは…ゲンキコールはなしでいいか。
「軽減4コスト<人形工房 キッズパーク>を展開。【起動】効果でカツキをボトムへ送り1枚ドロー」
「リヴォルトセット!」
手札にある親友をセットする。
「発動条件は私の場に
リヴォルトオープン
「行くよ!<
カードから元気よく金髪のお嬢様が飛び出す。
「リヴォルト効果の前にフレンの【瞬発】から発動してエナジーから<
「リヴォルト効果でエナジーから<
フレンは軽い条件でリヴォルトオープンできる代わりに、フレン以外を破壊されてしまうデメリットが存在する。
しかし、
「タイヨウ以外のキャラは、付与された【ガッツ】によりHPを1にして耐えます」
子どもながらの暴れん坊の結果、
「タイヨウ以外のキャラは、付与された【ガッツ】によりHPを1にして耐えます。人形工房の効果で同じスタッツのリサイクルトークンを出して全員のHPを強化」
タイヨウを用意しておくことで強化された盤面をそのまま残すことができる。
これで盤面は
「ふん、あれだけ展開したと思ったら、貴様の切り札以外は既に瀕死ではないか」
「それはどうでしょうか?」
人形工房があるおかげで破壊されたとしても<リサイクルトークン>で更に強化できる。
「それに…どれだけ強くしたところで、我のブレイブは超えられない!」
いいや、次のターン耐えることさえできれば…あなたごと倒せる。
回せ回せ、明日の天軌を作らなきゃ!
──お空の天軌島