3D彼女♂とレトロ彼氏♀ ~男女あべこべVTuber、中の人ごと好きになる~   作:式守 芽衣

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第9話 四十ニ時間の添い寝

 2人の休みが、ようやく揃った日曜日。

 

 起き抜けのリビングで、アキラさんがコーヒーを淹れていた。

 

「ねー、せっかく休み合ったしさ。今日の夕飯、なんか凝ったもの作らない?」

 

「凝ったもの、ですか」

 

「うん。餃子、どう? 包むの楽しいし」

 

「お、いいですね」

 

「二人なら、いっぱい包めるしさー」

 

 ——確かに餃子なんて、一人だと絶対に作らない。

 

「じゃあ俺、買い出し行ってきます。何が必要ですか?」

 

「メモ書くね、ちょっと待ってて」

 

 アキラさんが、メモ用紙にすらすらと書いていく。

 

 春キャベツ。ニラ。しょうが。にんにく。豚ひき肉。むきエビ。餃子の皮。

 

 ——なかなかに本格的だ。

 

「調理器具とつけだれは、こっちで仕込んどくね」

 

「お願いします」

 

「あ、あとさ」

 

 アキラさんが、思い出したように声をかけてきた。

 

「買い出しの間、VR触っていい? またやってみたくって」

 

「あ、もちろん。セットアップは前のまま残ってるんで」

 

「オフラインのアプリなら自由に使っていいんだっけ?」

 

「いいですよ。好きに使ってください」

 

「やった」

 

「それじゃ、いってきます」

 

 メモを受け取って、玄関で靴を履く。

 

 ——アキラさんの手が、軽く振られた。

 

◇ ◇ ◇

 

 近所のスーパー。日曜の昼前で、そこそこ混んでいた。

 

 カゴに春キャベツを入れる。ニラ。しょうが。にんにく。

 

 豚ひき肉のパックを選んでいるとき、隣のおばさんがまったく同じパックを手に取って、裏のラベルをじっと睨んでいた。

 

 ——俺も同じことをやっていたことに気づいて、少しだけ可笑しかった。

 

 エビ。餃子の皮。

 

 レジを済ませて、外に出る。

 

 日差しが思ったより強い。買い物袋が両手にずっしり来て、肩紐が指に食い込む。

 

 春キャベツの葉の匂いと、ニラの青い香りがビニール越しに、鼻先で混ざった。

 

◇ ◇ ◇

 

「ただいまー」

 

 返事が、ない。

 

 代わりに、仕事部屋の方から声が聞こえた。

 

「……ふふっ」

 

「……だめだって、それ……」

 

 ——アキラさんの声だが、いつもと質が違う。配信のときの落ち着いた声でもない。もっと——なんだろう、無防備な。

 

 買い物袋を玄関に下ろす。

 

 靴を、脱ぐ。

 

 仕事部屋の扉まで、足音を立てないように歩いた。

 

 扉に、手をかける。

 

 ——ゆっくり、開けた。

 

 仕事部屋の床に、アキラさんが横たわっていた。

 

 VRヘッドセットを、被ったまま。

 

 ——ゴーグルで、顔の上半分は、隠れている。

 

 でも、口元が完全にゆるんでいた。

 

 頬が、笑いをこらえきれずに震えている。

 半開きの唇の端から、ふっ、ふ、と、息が漏れる。

 

 首は、横を向いたまま。

 立てた片膝。靴下の白いつま先が、画面の中の何かに合わせて、リズムよく上下していた。

 

 もう片方の脚は伸ばしたまま、両手は胸元で軽く組まれている。

 ヘッドセットの黒いコードが、首筋から床へゆるく垂れていた。

 

 ……俺の手が、ドアノブの上で、止まった。

 

 ——待て。

 

 これは——。

 

 PCのモニターに目をやった。

 

 見覚えのある、タイトル画面。

 

『添い寝ガールズVR』。

 

「ああっ!!?」

 

 思わず、声が漏れた。

 

 アキラさんの肩が、ビクッと跳ねた。

 

 ヘッドセットを、ガバッと外した。

 

 まだ半分VRの中にいるような、ぼんやりした目。

 頬の赤みが引かないまま、こちらを見ている。

 

「……はぁ~。これ、すっごいね」

 

 素の声だった。和太郎でもない、からかいでもない。ただ、感心したような。

 

「……アニメっぽいCGなのに全然、本物みたい。隣にいる感じ、するんだね」

 

 耳の付け根が、熱い。

 口が半開きのまま、止まった。

 手が、宙で行き場をなくしていた。

 

 ——本物みたい、と言った。

 馬鹿にする声でも、引いた声でもなかった。

 ここまで前のめりな感想が来るとは思わず、何も言えなかった。

 

 アキラさんが、こっちの顔を見た。

 

 二秒。

 

 ——満面の笑み。

 

「……お帰り、紗雪ちゃん」

 

 声の間合いが変わっていた。低く、余裕のある和太郎の間合い。

 

 ——終わった、と思った。

 

◇ ◇ ◇

 

 ——「好きに使ってください」と、言ったのは俺だ。言い訳のしようがない。

 

「えっと、これは、その。——技術検証で」

 

「技術検証」

 

「そう! 技術検証なんです! フルトラの、あれです、女性モーションの参考に! 紗雪の配信クオリティアップのため!」

 

「ふーん」

 

 アキラさんが、床から起き上がった。チェアに座り直して、足を組んで、こちらを見上げている。

 

 完全に和太郎モードの構え。

 

「……四十二時間も、技術検証したのかぁ? 全キャライベントコンプリート済みだって?」

 

「!」

 

「素直に好きって言えば、いいだけじゃん」

 

 素のアキラさんに戻り、ケラケラと笑う。

 

「……」

 

 完全に、論破された。

 

 成すすべもなく、がっくりとうなだれる。

 

「——でもさ、昴さん」

 

「……はい」

 

「私だったら黒髪三つ編みの子にするけどなー」

 

「……え?」

 

「メインヒロインじゃないけどさ、図書室のシーンのあの子。声がいいんだよね、声が」

 

 アキラさんが、指先で宙をくるくる回しながら言った。何かを思い出しているような目。

 

「……アキラさん?」

 

「……いや、ね、ちょっと、ハマりそうだった。うん」

 

 ——和太郎モードが、完全に解けていた。

 

 アキラさんが、ばつが悪そうに頬をぽりぽり掻いている。

 

 二人して、口をつぐんだ。

 

 二秒。

 

「……お腹すいた。餃子、作ろっか」

 

 肩を、軽く、叩かれた。

 

◇ ◇ ◇

 

 台所に、二人で立つ。

 

 まな板もボウルも、もう用意されている。

 つけだれの小皿が3種、テーブルに並んでいた。

 

 アキラさんが、エビの殻を剥いている。春キャベツを千切る音。ニラの匂い。

 

 さっきまでのやり取りが嘘みたいに、普通に、料理をしている。

 

 具を混ぜ合わせて出来た餃子の種をテーブルに移動して、餃子を包む。

 

「肘、こっちに来てるよ」

 

「おっと、すみません」

 

 肘を、引く。

 

 皮を、左の手のひらに乗せる。具を、中央に置く。

 

 縁を、寄せる。ひだを作る。

 

「……不器用だなー、紗雪ちゃん」

 

「こういうの、あんまり得意でなくて……」

 

「いいよ、形悪くても、味変わらないから」

 

 アキラさんの皮が、皿に並んでいく。ひだの数が揃っている。

 

 俺のは、半分くらいの速度。

 

 ——皮の縁を寄せようと、手元に集中していたとき。

 

 アキラさんの肘が、ぶつかってきた。

 

 布越しに。思ったより柔らかかった。

 

 手が、止まる。

 アキラさんの手も止まった。

 

「あ、ごめんごめん」

 

 アキラさんが、軽く肘を引いた。

 

 最後の一枚を、皿に置いた。

 

◇ ◇ ◇

 

 焼き上がった餃子を二人で食べた。

 

「これもう、店超えたでしょ」

 

「超えてるかどうかはわからないですけど、うまいです」

 

「——でさ、紗雪ちゃん」

 

「はい」

 

「さっきのゲームさ、やっぱり推しは、ツインテールの子?」

 

 アキラさんが、両手で髪を、両側にぐいっと持ち上げた。

 

「……」

 

「こんな感じ?」

 

 ……目を、逸らした。

 

「あ、やっぱり」

 

 アキラさんが、くしゃっと笑って、髪を戻した。

 

 食べ終わり、片付けを済ませてからお茶を淹れた。

 

 ソファに座る。

 

 アキラさんはカップを両手で包んで、テレビの天気予報をぼんやり見ている。

 

 ——何でもない時間。

 

 俺は、右の肘を見た。

 

 まだ、柔らかさが薄く残っている。

 

 ——四十二時間、画面の中の女の子たちは、隣で添い寝してくれた。

 

 でも、肘はぶつからなかった。

 

 ——ふと、画面の中のツインテールの子の顔が、アキラさんに変わった気がした。

 

(――いやいやいや!)

 

 俺は、軽くかぶりを振った。

 

 余計なものを喉に流し込むように、お茶を飲んだ。

 

 ◇ ◇ ◇

 

 日曜の夜から、数日が経った。

 アキラさんの繁忙期は最高潮で、俺もまた、忙しくなっていた。

 

 徹夜明けの朝。

 

 仕事部屋から出ると、アキラさんがキッチンでコーヒーを淹れていた。

 

 淡いブルーのブラウスにグレーのスラックス。髪は後ろで一つに束ねている。

 

「おはよ〜。今日も徹夜だった?」

 

「あ、はい」

 

 カウンターに寄りかかる。アキラさんはコーヒーポットを傾けていた。湯気がふわっと顔にかかる。

 

「お疲れさま。私、今日も終電だと思う。展示の準備、ヤマ場で」

 

 開幕前は、いつもこの時期から終電だそうだ。

 

「あー、了解です。お互い、今日の配信はお休みですね」

 

「早く、ゆっくり配信してリスナーさんと喋りたいんだけどねぇ。社会人やりながらの個人勢VTuberって、辛いとこあるわー」

 

 アキラさんが、ふっと息を吐いた。

 

「朝ツイは?」

 

「しばらく予約投稿で貯めといた〜。テンプレだけは死守してる」

 

「そうなりますよねぇ。予約投稿貯められるだけえらいです」

 

 アキラさんが、ふふっと笑った。

 

「紗雪ちゃんも無理しないでね」

 

「はい。和太郎さんも無理なく」

 

「うんうん。——夕飯はお互い適当に済ますでいいよね」

 

「そうですね。——あの、落ち着いたら、また餃子、作りませんか」

 

「お、いいねぇ。包むの楽しかったし」

 

 マグカップを差し出された。受け取る。

 

 Tシャツが背中に張り付いている。窓を開けても、風は入ってこない。

 

「行ってきまーす」

 

 玄関のドアが閉まる。

 

 コーヒーを一口。まだ温かい。

 

◇ ◇ ◇

 

 日付が変わる、少し前。

 

 最後の納品が、ようやく、終わった。

 

 画面の青白い光が、目の奥に刺さる。

 

 二日連続の徹夜が、ようやく終わった。

 

 机の隅にコーヒーが半分残っていて、すっかり冷めていた。

 モニターの脇のコンビニのおにぎりの包装紙は、具材の名前がもう読めなくなっている。

 

 奥には、VRヘッドセットが立てかけられたまま。黒い布にうっすら埃が乗っている。

 

(しばらく触れてないな)

 

 仕事部屋の隅、敷きっぱなしの布団に倒れこむ。

 

◇ ◇ ◇

 

 どれくらい経ったのか、わからない。

 

 玄関の鍵が、遠くで回った気がする。

 

「ただいま」

 

 小さな、声。

 

 鞄を下ろす音、短い吐息、廊下を進む足音が続いた。

 

 返事をしようとして、口が動かない。

 

 仕事部屋の扉が、薄く開く気配がした。

 

「……寝てる」

 

 囁き。

 

 目の奥にぼんやりと光が滲む。

 

 ……気がしただけかもしれない。

 

 扉は、閉まらなかった。

 

 布の擦れる音。

 何かが、すぐ近くの床に、沈み込む。

 

 また瞼が落ちた。

 

◇ ◇ ◇

 

 夢の中だった。

 

 俺はVR空間の中にいた。

 ツインテールの子が、膝の上に頭を預けてくる。

 

「お兄ちゃん〜。今日も一緒に寝よ~」

 

 黒髪三つ編みの子が、後ろから抱きついてきた。

 もうひとり、横から肩に。

 

「私も〜」「離れない〜」

 

 全員が、群がってくる。

 

 重い。

 息ができない。

 

「お、紗雪ちゃん。俺も混ぜてくれよ」

 

 和太郎の声。

 いちばん重いのが、上から乗ってきた。

 

「うわっ、うわっ——」

 

◇ ◇ ◇

 

「う……?」

 

 うっすら目を開ける。

 

 窓のカーテン越しに、薄い青白い光が差している。

 遠くで雀の声。

 

 朝になっていた。

 

 腹が重い。上に、何か乗っている。

 

 恐る恐る視線を下に落とす。

 黒い長い髪が顔の前にかかっている。

 

 その下、俺の腹の上に頭を預けて、寝ている。

 

(——アキラさん?)

 

「へぁっ——!?」

 

 反射的に、声が漏れた。

 

 でも、アキラさんは、ぴくりともしない。

 規則的な寝息が続いている。

 

 心臓が、跳ねた。

 

 動けない。

 

 布団は自分のもの。でも、その上にアキラさんの頭。

 

 Tシャツ越しに、確かな重さ。

 

 すうすうと寝息が上がる。俺の腹がその分だけ、ゆっくり上下する。

 

 和太郎さんでも、普段のアキラさんでもない、寝顔だった。

 

 長い黒髪の隙間から、化粧をしていない素の顔がのぞいている。半開きの唇から漏れるすうすうという寝息に合わせて、まつ毛がかすかに震えた。

 

 視線を、ゆっくり下に落とす。

 

 力の抜けた片手が、俺の脇腹のあたりに伸びている。もう片方は、自分の頬の下に折りたたまれていた。

 

「……ぅん」

 

「……レトロん……みんな、ごめん……」

 

(……レトロゲー?)

 

 アキラさんが寝言を漏らした。

 眉間に、わずかなしわが浮く。

 すん、と、俺のTシャツのあたりで、小さく鼻を鳴らす音。

 頭が、わずかにずれる。腹の上で、左に少しだけ重心が動く。

 

 脇腹に置かれていた手が——

 ふいに、力を取り戻して、俺の右手の指を、ぎゅっと握りこんできた。

 

 息を止めた。

 

 心臓は、もう跳ねるどころじゃない。

 リズムを忘れて、勝手に走り出す。

 

 布団の中で、自分の足の指が勝手に丸まった。

 

 でも、腹の上の重さも、握られた手の感触も、消えない。

 

 髪の毛から、シャンプーの薄い匂いがする。

 アキラさんが、自分用に買ってきたやつ。

 俺のとは違う、薄い甘さが、その奥に混じっている。

 

 窓のカーテンの向こうで、青白い光が、ほんの少しだけ濃くなる。

 

 空が明るんでいく速度の方が、俺の鼓動より、ずっと遅い。

 

 何分が経ったのか、わからない。

 

 肩が、布団の上で固まっていた。

 動かしたら、たぶん、起きる。

 

 動けなかった。

 

 ただ息だけを繰り返した。

 

 アキラさんが、また小さく寝返りを打った。頬が、俺の腹に擦り付けられる。

 

(……いつから?)

 

 思い出せない。

 

 窓の外がゆっくり明るんでいく。

 

 四十二時間、添い寝してくれた、画面の中の女の子たちには、こんな重さはなかった。

 

 息をゆっくり吐いた。

 

 腹の上のアキラさんが、その分だけゆっくり沈んだ。

 

◇ ◇ ◇

 

「……ん」

 

 アキラさんの瞼が震えた。

 

 半開きの目で、俺の顔と、自分の状況を、視線でたどる。

 

 二秒。

 

「——ぅえ!?」

 

 飛び起きた。

 

「うわっ、うわっ、ごめんごめん! ごめん昴さん、なんで私ここで——」

 

 布団から勢いよく離れる。頬が真っ赤。

 

「あの、ほんとに、ごめん! 昨日、終電で帰ってきて着替えてメイク落として——それで、昴さんの様子だけ見ようと思って——」

 

「……はい」

 

「ぜんぜん覚えてない、ほんとごめん」

 

 深く頭を下げる。

 

 俺は何も言えない。

 

「あの、私、シャワー浴びてくる! ほんとごめんね!」

 

 アキラさんが配信部屋へ駆けていった。

 

 ぱたん、と扉が閉まる。

 

 俺は布団の中で、目を開けたまま動けないでいた。

 

 配信部屋の方から、シャワーの音。

 

◇ ◇ ◇

 

 しばらくして、シャワーの音が止まった。

 

 配信部屋の扉が開く。いつもの足音。でも、いつもより少しだけ、慎重。

 

「あの、紗雪ちゃ——」

 

 言いかけて、止まった。

 

「……昴さん」

 

「はい」

 

 仕事部屋の扉の前に、アキラさんが立っている。

 白いブラウスに着替えて、化粧もきちんと済ませている。

 頬が、うっすら赤い。

 

 鞄の口を、開けて、閉めて、また開けている。

 

「今朝、ほんとに、ごめんね」

 

「……いえ」

 

 目が合わない。

 アキラさんの視線は、俺の手元のあたりで止まって、すぐに玄関の方へ流れていく。

 

「あの、今日終わればさ、ちょっと、落ち着くから」

 

「あ、はい」

 

「落ち着いたら、その、ちょっと、相談したいことが、あって」

 

「相談、ですか」

 

「うん、急ぎじゃ、ないんだけど」

 

「はい、いつでも」

 

 ファスナーを、もう一度、閉める。

 

 ようやく、視線が、こっちを向いた。

 

「ありがと。——それじゃ、行ってきます」

 

 アキラさんが、ふいに、テーブルの上のカートリッジを手に取った。

 いつものように、鼻先に近づけて、軽く息を吸う。

 

 ……目元が、一瞬、迷った。

 

 カートリッジをそっと戻す。

 小さく、首を振った。

 

 いつもより、少しだけ強く、玄関のドアが閉まった。

 

◇ ◇ ◇

 

 仕事部屋に、ひとり。

 

 昨夜、納品ごと飲み残したコーヒーが、まだ机の隅で冷えていた。

 代わりに、新しく淹れた。

 

 飲む先が、なかった。

 

 布団の凹みは、まだ俺の腹のあたりに残っている。

 手を置いた。

 

 まだ、重さが残っている。

 

 窓の外、雨の音。

 

(……これ、どうしたらいいんだろう)

 

 ゆっくり、目を閉じた。

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