この施設は空調が効いている。下手な学校の校舎より大きいが、それでも空調が効いている。地下施設メインだから安いのだろうか。地下施設の方が高い気もする。
コンバットフレームの格納庫に向かって移動を続けながら、近くの食糧庫からレーションを取ってくる。
「まずい」
美味いと食べ過ぎてしまうから、戦場であまり食べないために不味いらしいが、それでも不味い物は不味いのだ。
カエサルコーヒーがあるのだから、もしかしたらあの!
車両用に設計されている通路は人の身にはいささか広い。歴戦のEDF隊員には関係ないが。
いくらなんでも広いな。俺はマジで余裕だからいいが、流石に同行者が少し心配だな。
と、言ってもそこまで鬼のように広いわけでもなし、休息を取るまでもないだろう。高機動型フェンサーも使ってないからついてこれるだろうし。
「よし、ついたぞ。どうだ、二人とも」
「「足が速い!」」
「……気のせいだ!」
「で、ここはなんでしたっけ?」
「
「なんで私達にアイマスクが被せられてたの?」
「機密保持の観点だな——各務、君ならわかるだろう?」
「私の専門はITセキュリティ。こういうのはそこまで……まあ、わかるけど」
「どこにあるんですか?」
「それを隠すために君達にアイマスクをつけていたんだよ! ——まあ、キヴォトスのどこかの丘陵地帯とでも言おう」
そう、ここはバレンランド。そしてこいつらは明星と各務、なんで各務がいるか。それを思い返そう。
『ハジメさん』
『なんだ? 明星、私は今ダッシュセルを作っていて、これは下手をこくと上半身と下半身が
『ベース235見せてくださいよ』
『……嫌だが?』
『見せてくださいよ』
『だから嫌だって』
『見せてくださいよ』
『はいって言わないと進まないタイプのRPGかよ……。セキュリティ観念ちゃんとした奴を呼んでこい。ハッカー一人機密軍事施設に置くのは嫌だ』
ということだな。
「ハジメさん、私が車椅子ってこと忘れてませんか?」
「……忘れてたな。すまない」
「あと、ここ、寒くありません?」
「……そうか? 適温だと思うが……各務は?」
「私に言われても……まあ、私もちょうどいいと思うけど」
「そんな……」
「あと、空調室は遠い。もう何階か下がる必要があるからな……できるだけ歩きたくない」
「大丈夫ですか軍人?」
「わざわざ自らに不快な状況にするために歩きたくないんだよ」
「それはわかりますけど……」
「今日はオフだしな」
明星が車椅子をキコキコと漕いで、コンバットフレームに近づく。
「このロボット……コンバットフレーム……でしたっけ?」
「そうだな、強化外骨格コンバットフレーム。贔屓目とかじゃなく、真面目にそこらのゴリアテより強いと思うぞ」
「……多くないですか?」
「多い……というと?」
「その、『何言ってるんだろうコイツ疲れちゃったのかな?』みたいな顔やめません?」
「確かに一作戦に動員するには多すぎるが、私がいないところでも戦線は続く。それに、こいつらには自動操縦機能がある。量があって損という物でもない」
「にしても……多すぎじゃない?」
「……いや、これはニクス汎用型、これはグラビス、これはニクスレッドシャドゥ、これはニクスグレネーダー、これはエイレンの試作型とそれぞれしっかりと違う物でな」
指差ししてどれがなんだか教える。名前だけ聞いてもほとんどわからんがな!
「あの……赤いのは?」
「ん? どれだ? レッドシャドゥか?」
「いや、あの車……」
「ああ、コンバットワゴンか! 新型だな」
「あの不格好なのが新型?」
「酷いこと言うな、各務——燃費重視だ、不格好でも仕方ない。…………まぁ、クソザコだけど」
「……弱いんですか」
「そりゃ弱い。まったく……ニクス型の歩行システムにいくらかかったと思ってるんだ……」
「あの土台の車も民間車両でしょう? …………貴女が作ったんじゃないんですか?」
「ああ、私が作ったし、あれは民間車両だぞ……」
「なんで悪態ついたんですか! 貴女が製作者なんじゃないですか!」
「普通に雑魚だからな……。すぐ車両との接合部がイカれるし、トラックがコンバットフレームの重量に耐えられないし、タイヤがすぐに悲惨なことになるし、ニクスと比べて動力が脆いし……!」
「なんで作ったんですか? あの、本当に」
「駆除チームごっこがしたくて……」
「駆除チームって……?」
「プロテウス……あっちの部屋にあるんだが……だとか、そこのコンバットワゴンを使う集団だ」
「そのプロテウスにはどんな欠陥が?」
「各務、お前までそういうのを聞くのか……見た目がダサい……らしい、俺はかっこいいと思うんだがな」
「……見せてくださいよ」
「じゃあ、隣の格納庫に移動するぞ」
デカァァァァァいッ説明不要‼︎
「これは……?」
「BMX10プロテウス。ようやく完成した高性能機。まだ数台しかないはずだぞ」
「ここに二台もあるんですけど……」
「この不格好なのが新型?」
「歩く要塞だぞ。不格好でも仕方ない」
「天丼じゃないですか」
「……一つ難点がある。これ四人用なんだな」
「……貴女は一人ですよね?」
「おいおい、ボッチいじりか? そのために自動操縦があるんだよ。正直コレは人が運転するより機械に運転させた方が強い。コンバットフレームとは逆だな」
「コンバットフレームは?」
「私が運転した方がいい。なぜか自動操縦だと飛んだり跳ねたりしないんだ」
「…………あのサイズの鉄塊が飛ぶの?」
「飛ぶよ?」
「どうなってるんですか!」
「燃費悪いって言っただろ。あー、言ってない。コンバットワゴンが燃費重視だっ言っただろ。つまりコンバットフレームは燃費が悪いってことだ——その分、性能は高いがな」
「というと」
「せっかくだ。試作品の試作品、試作型セイバー・エイレンを見せてやろう」
演習場に移動して、コンバットフレームに搭乗する。
「コレがパワーセイバー、うわっ!」
「目に……悪い……ッ!」
「サングラスとかありませんか?」
「あったら俺が使ってる……ッ!」
ちなみに、試作型なので火力はカス。恐らく蟻だって倒すのには随分時間がかかるだろう。
「……そしてコレが、パワーダイン……!」
パワーダインのエネルギーに耐えきれず、セイバー・エイレン試作型が崩壊を始める、
「装甲が融解してる⁉︎」
「うわぁっ!」
爆発とともに、エイレンから投げ飛ばされる。
「とまあ、こんな感じだ」
「大丈夫⁉︎ 怪我は⁉︎」
「大丈夫だ、この程度。唾か、それがダメならリバーサーつけてたら治る」
「リバーサーってなんですか?」
「明星は少しぐらい心配してくれねえかな!」
「無傷でしょう?」
「無傷だよ! 全エアレイダーは崩壊するビークルからの安全な脱出方法を履修してるからな!」
なぜ空爆誘導兵なのに、ビークルに乗れるのだろうか……我々は、それを確かめるため大空洞の奥地へと向かった————訳もなく、普通に爆散したエイレンのかけらを集める。
「……ゴリアテ持ってくる」
「あるんですか⁉︎」
「カイザーとは違って工具にしか使わないがな。やっぱり時代はコンバットフレーム……まあ、EDFとエンジニア部にしか無いけど」
「エンジニア部にあるんですか?」
「ほら、グラビスがある。あれは自動操縦の時だけ異様に強くなる。私にもあれを使わせろ」
「……コンバットフレームは貴女が使った方が強いんじゃ……」
「あれは例外だ、遅い」
「遅くても貴女が乗らない時の方が異様に強くなる道理は……」
「ここで映像をご覧ください」
モニターの中で、グラビスが暴れる。
「……この連射速度で平気なんですか……?」
「パーツは、前乗ったが私はダメだった」
「……たしかに、大丈夫? その時の怪我とか……」
「超酔った。黒服がビニール袋を用意してくれていなかったら危なかったな」
持ってきたゴリアテを使って、エイレンの残骸をスクラップにする。
「よし、後掃除は終わり……せっかくだ、EDFの食糧庫の飯を勝手にあげよう」
「ゲロの話の後で食べたくないんですけど!」
「まあ、待て、考えてみろ。
——————レーションはそう言うの一切抜きにクソ不味い」
「より一層食べたくない」
「……仕方ない。アイスメーカーがある」
「うわっ、雰囲気変わりすぎ」
「普通に飯もあるし」
「なんでレーションを先に言ったんですか?」
「やっぱり軍隊といえばレーションだからな」
「ついさっき『まずい』って吐き捨ててましたよね!」
「やめろよ、飯で吐き捨ててるって言うと別の意味になる!」
食堂に移動して、棚から飯を取り出す。
「アシッドベーカリーのソラスパンだ。いつもならぬっくぬく亭の買い置きがあるんだが……残念なことに夜食で食い尽くしてしまった」
やはりこれだけあるんだ。鮨処『霊陀亜』を持って来い。
「ソフトクリームメーカーはあっちだ。食べたいなら持ってけ。私は昼飯を食べたから持ってくる」
「いつの間に食べてるんですか?」
「レーションは腹に溜まるんだ。軽食をと思って食べたが、思ってたより胃に来る」
ソフトクリームを食べながら、左手で算盤を叩く。
「……何を計算してるんですか?」
「手慰みだ。フラッシュ暗算」
「暗算って言ってるでしょ?」
「フラッシュ暗算って算盤使っちゃいけないのか⁉︎」
「貴女って時々バカですよね!」
「うわ酷い。ずっと火力バカだぞ、はぁと」
「ハートって口で言うのやめない?」
「確かに、美少女枠と面白枠を兼任するのはずるいよな——なら、陸八魔は存在自体がズルでは?」
「誰ですか!」
「ああ、ゲヘナの」
「……交友関係広くない?」
「白石にも言われた。だが別に陸八魔は俺が一方的に知ってるだけだ」
「ストーキング?」
「それは私のすることではない——同居人のすることだ」
「「ヤバい人だー!」」
「大丈夫ですか、その家!」
「通報する? 通報する?」
「平気だ。ほら、ここにドローンもあるし……」
「つけられてるじゃないですか!」
「合意の上——ではないが、別に気にすることでもない。奴は私の体に興味はあるが興味はないさ」
「どういうことですか!」
「年齢不詳、成人であることは確定。性別はmale、職業は……自営業だろうか」
「怪しい怪しい怪しい怪しい」
「ふむ、では……私の日用品は全て奴の懐から出ている」
「…………」
「週二で奴の家に通って……」
『どれだけ私の悪評撒き散らせば気が済むんですか?』
「ああ、やはり聞いていたか——ここは外から通信できないはずだろ?」
『そうですね。今工廠にいます』
「Nか?」
『テンペストです』
「ならいいや。——悪評なんぞ撒き散らす物だ。ベアトリーチェはバカ」
「本当に関わりない誰かの悪評だ……」
「もし見つけたら拳銃で頭蓋を叩き割ってもらえると助かる——嘘だ全然助からないチャートが乱れる」
ドゴォォォン!
警報が鳴り響く。うるさいのでリモコンで止める。
「え、秘密基地なんじゃないんですか! 敵襲⁉︎」
「はあ、違う。黒服——同居人のミスだ。あいつテンペストを爆破させやがった……」
黒服に電話をかける。
「生きてるか?」
『ええ』
「リバーサーは?」
『近くにあります』
「ならどうでもいいな」
「貴女が一番薄情じゃないですか! ついさっき私に言ってきましたけど!」
「聞こえないな」
ごめんねチヒロ、かわいいねチヒロ、チヒロチヒロチヒロチヒ(以下略
感想ください。
ふとした興味です。みなさま、EDFとブルアカやってます?
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どっちもやってる
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地球防衛軍だけ
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ブルアカだけ
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EDF? ブルアカ? なにそれ美味しいの?