ペロロジラ? うるせえ、バルガでぶっ叩くぞ!   作:るりから

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M30 特機兵

「これが仕事なのでな。少しテロをするとしよう」

 

『エアレイダー、見えているぞ』

 

 上空に浮かぶDE-202がロケット砲を放ち、建物を破壊する。もちろん騒ぎになるのでマーケットガードがうじゃうじゃと湧いてくる。

 

「まあ……一時間も必要ないだろう」

 

 ハジメの両側に向かってコンバットフレームが前進する。ハジメはそれに合わせて後退して、前線をコンバットフレームに任せた。

 

「またあの女だオラァ! あの女おかしいぞ!」

「また女だ! また女だ!」

「おい女ァァアァァ!」

 

「おかしいのは自覚しているがね、あまり言うものじゃないぞ」

 

 ドローンが軍勢の方へと飛んでいく。指定された位置に到着すると、下に向けて弾丸を乱射して、戦車を破壊した。

 

「やっぱり、デカブツ相手には機関砲ドローンだな。まあ、市街地だから使わないだけで本当はKM6が使いたいがな」

 

 コンバットフレームのリボルバーカノンが兵士を吹き飛ばし、吹き飛ばされた兵士がさらにドローンの弾幕に巻き込まれる。

 

「せっかくだ、片方のコンバットフレームに乗り込もう」

 

 コンバットフレームに乗り込んで、マスターアーム*1をオンに変える。

 

「メインシステム、戦闘モードきど——げふんげふん、イオタ1起動した。コンバットフレーム隊、戦闘を開始する」

 

 コンバットバーナーで牽制して、リボルバーカノンでゴリアテを怯ませる。怯んだ隙にショルダーハウィツァーを放ち、コナゴナに粉砕した。

 誰も乗っていない方のコンバットフレームがミサイルを発射して、歩兵を眠らせる。さらに狙撃兵をリボルバーカノンで狙撃し返し、接近してきていた戦車をショルダーハウィツァーで破壊した。

 

「ダメだ! 抑えられん!」

「うわぁぁぁ!」

 

 ドローンが兵士を倒し、コンバットフレームがリボルバーカノンで戦車を吹き飛ばし、ハジメがショルダーハウィツァーでゴリアテを粉砕する。

 

「……ダメだ、欲望が抑えられん。建物を壊そう。空爆万歳だ」

 

『ターゲットは確認した』

『要請、受諾』

『エアレイダー、見えているぞ』

 

 上空の重爆撃機フォボスとDE-202が爆弾を投下する。周囲の建物は瓦礫と化し、歩いていた一般人は地面に倒れ伏す。

 

「よし、戦いやすくなったな」

 

 再度、フォボスが戦闘エリアに突入する。

 

「ミサイルはもう外れない、空爆からの逃げ場もない」

 

「うわあぁあ!」

「まるで空爆だ!」

(まるで?)

「逃げ場がないぞぉ!」

「助けてくれ!」

 

 ただのマーケットガードは吹き飛ばされ、戦車やゴリアテだけがその場に佇む。残った戦車やゴリアテも少しずつリボルバーカノンとショルダーハウィツァーに吹き飛ばされていく。

 

「こちらの戦線は安定しているな……。負けることはないだろう。銀行強盗は成功しているだろうか……」

 

 

 

 

 

「アル様。すみませんが、お客様へのご融資は難しいですね」

「えっ、えーっ!」

「まずは安定した仕事から始めてみたらどうでしょうか。短期バイトや、期間工などから……」

(……ううっ、むかつく……。もう大暴れして、銀行のお金を持ち出しちゃおうかしら……。いや、それはダメね。銀行からお金を持ち出せても、マーケットガードがいるし……でも、もしかすると私たち四人で……いや、ブラックマーケットを敵に回す勇気なんてないわ。情けない……キヴォトス一のアウトローになるって決めたのに……)

 

 突如、銀行の照明が落ちる。すると、銃撃音と人が倒れ伏す音が聞こえた。

 

「うわああああ!」

「助けてくれーーっ!」

「一寸先は闇ってことか……」

 

 そして、電気がつく。

 

「ん、銃を置いて、手を挙げて」

「従わないと、撃っちゃいますよ〜☆」

「あはは……痛い目に会いたくないなら、従ってくださいね」

 

 五人組の少女の内、先頭の紙袋を被った少女が、穏やかに、しかして冷ややかにそう告げる。その銃口は確実にセキュリティに向かっていて、いつでも撃てるという覚悟を醸し出している。

 

「ぎ、銀行強盗⁉︎」

「き、緊急事態発生! 緊急事態発生! 直ちに応援を……は⁉︎ マーケットガードがたった二人に抑えられてる⁉︎」

「うへ、無駄だよ。無駄無駄」

「ほら! そこ、伏せて! 早く伏せないと地獄行きだよ!」

「みなさん、お願いだからジッとしててください……」

「ここまでは計画通り、じゃあこの後はリーダーのファウストさん、指示を願う!」

「えっ、私がですか! 私がリーダー⁉︎ 私が⁉︎」

「はい! リーダーです☆ 因みに私は……

 

 覆面水着団のクリスティーナだお☆」

「うわっ」

 

 

「あ、あれ。アビドスの子達じゃない?」

「そ、そうですね……やりますか?」

「いや、狙いは私たちじゃないみたい」

「まったく……アルちゃんは何を……」

 

 

「監視カメラの死角、警備員のどうせ——」

『エアレイダー、見えているぞ』

「警備員の動線、銀行内のこう——」

『フォボスの恐ろしさがわかったか!』

「銀行内の構造、全てわかって——」

『全機、攻撃せよ!』

「ん、うるさい。貴方たちのことはなんでもわかってる。大人しく従うこと」

「わ、わかりました! なんでも差し上げます! 現金でも! 債券でも! 金塊でも!」

「なら、ついさっき来た現金輸送車の集金記録を」

「どどどうぞ! ありったけ詰めました!」

「あ……う、うーん……」

 

(な、なんてかっこいいの……)

 

「シロ……ブルー先輩、例のブツは手に入った?」

「うん」

「じゃあ逃げるよ!」

  

 少女たちが脱兎のように逃げ出していく。

 

「一人も逃すな! 道路を封鎖しろ! マーケットガードは……動けないか!」

 

 

 

「なるほど、撤退したか。なら俺も引くとしよう。ナパームの壁を越えられるかな?」

 

『こちらボマー、作戦エリアに投入する』

 

「Hasta la vista baby」

 

 コンバットフレームの中で親指を上げながら少しずつ撤退する。

 

 

 

 

『封鎖地点を突破、この先は安全です』

「はあ、ようやく追いついた。4のエアレイダーは暑いのよな……」

「あ、先輩」

「目当てのものは手に入れられたか?」

「うん、この中に……」

「おお、札束じゃないか」

「違う、目当ての書類はしっかりとある。職員が勝手に勘違いして入れただけで……」

「やったぁ! 何ぼーっとしてるの! 運ぶわよ!」

「…………」

「ちょ、ちょっと待ってください! そのお金を使うつもりですか⁉︎」

「は、犯罪だから何⁉︎ そもそもこのお金は私たちが汗水垂らして稼いだお金なんだよ⁉︎ それに、このままにしていたら兵器とか武器になってたかもしれない! 悪人のお金を盗んで、何が悪いの⁉︎」

「…………」

「私はセリカちゃんの意見に賛成です。これさえあれば、学校の借金をだいぶ減らせますから……」

「んむ……それはそうなんだけど……シロコちゃんはどう思う?」

「私が言うまでもない、私が反対しなくても、先輩がどうせ反対するから」

「うへ、シロコちゃん流石。私ことよくわかってるね。私たちに必要なのは書類だけ、お金じゃない。今回は悪人のお金だからいいけど、次はどうするの? そしたら、またこの先、仕方ないよねって言いながら、同じことをすると思う。

 おじさんからしたら、可愛い後輩がそうなっちゃうのはやだなぁ……。それにそもそも、こんな方法を使うくらいなら、最初っからノノミちゃんのゴールドカードに頼ってたはず……

 

 ヒフミちゃんと、ハジメちゃんはどう思う?」

「私はアビドスの事情はよく知りませんが……このお金を持っていると、よくないことに巻き込まれる気がします。災いの種……のようなものでしょうか……」

「ハジメちゃん……か……。私は卑怯なのも人並みには好きだし、正直なところ使ってもいいと思うが……ああ、マネーロンダリングは……」

「ハジメ先輩、カット」

「てひどい」

「じゃあ、このお金は……」

「この川にでも捨てておけばいいだろう。この先にたいした施設はなかったはずだ」

「わかりました☆ それじゃあ……」

『待ってください! 何者かが接近しています!』

「……! 新手のマーケットガード⁉︎」

 

 ハジメが柵を飛び越えて川に飛び込む。

 

「ダイナミック入水自殺⁉︎」

「ハジメ先輩の事は放っておいていい。それより……」

『いえ、敵対勢力ではないようですが……』

 

 

 

「ま、待ってちょうだい!」

「ん、何?」

「感動したわ! ブラックマーケットを襲撃する度胸、そしてあの鮮やかな手口! 貴方たちのアウトローっぷりには……!

 正直、衝撃的だったと言うか、このご時世にあんな大胆なことができるだなんて……。わ、私も頑張るわ! 法や規則に縛られない、本当の意味で自由な魂! そんなアウトローになりたいから!」

「一体……」

「だ、だから……名前を教えて!」

「名前?」

「その、組織名とか、チーム名とか。正式なものじゃなくていいから、私が今日のことをしっかり覚えていられるように……」

「はい、おっしゃることは、よーくわかりました☆ 私たちは人呼んで……

 

 ……覆面水着団!」

「…………ふ、覆面水着団⁉︎ 超クールだわ!」

「うへ〜、本当は覆面にスクール水着が正装なんだけど、今日は少しばかし急だったもんで、覆面だけなんだけどね」

「そうなんです! 昼間はアイドルとして活動してて、夜になると悪人を倒す正義の怪盗に変身するのです!」

「うへ、目には目を、歯には歯を。無慈悲に、孤高に、我が道の如く魔境を行く。これが私らのモットーだよ!」

「それじゃあこの辺で! アディオース☆」

「行こう! 夕陽に向かって!」

「夕陽、まだですけど……」

 

 

 

「あれ? 現金のバッグ置いてきちゃいました」

「うへ、いいんじゃない? どうせ捨てる予定だったし」

「うん、きっと誰かに拾われるでしょ」

「あはは……あのお金で誰かのお腹が膨れると思えば……」

「そうだな」

「………どこから?」

「上から。ほら、上にヘリがあるだろ?」

「……随分上にありますけど……」

「あの程度なら」

「服着替えたんだね」

「一番どうでもいいところを……」

 

 

 

「カイザーローンがヘルメット団に融資……」

「……ハジメ先輩。知ってた?」

「………実は?」

"ハジメ"

「真実には己で辿り着いてこそ意味がある、と言うものだろ? 答えのわかった問題集ほどつまらないものもない」

 

 

 

「では、この件はティーパーティに報告しておきます」

「まあ、動くとは考えづらいけどね」

「え、どうしてですか?」

「世の中そんなに甘くはない、と言うことだ。採算の取れないことはしない方がいい……まあ、私たちは少し話が変わってくるがな」

「軍人だからね……」

「悪いが、遅くなる前に帰らせてもらう。同居人が夕食を作っていてな。用があったらメールで頼むぞ」

*1
戦闘機などに搭載された武装の最終安全装置




ハジメが飛び込んだ理由は一つ、覆面水着団と一緒にされたくなかったからです。
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