「くーろ、くろくろくろふくー」
「どうしたんですか?」
「嫌いなもの言い合うゲームしようぜ」
「誰が幸せになるんですか……」
「俺」
「全く……いいですよ」
「じゃあ始めよう。赤ダンゴ」
「理論すら把握せずに指示してくる上司」
「青ハチ」
「職員の体調を気にしない上司」
「四種のネイカー、特に赤」
「貴方」
「なんの恨みが……」
「私は今貴方のために、貴方の指示で、重戦車タイタンを作っています。それを貴方が邪魔しています」
「ごめん、ありがと」
と言っても、別にやることはないのだ。強いていうのなら……ああ、パワードスケルトンの残り三割、その調整は……ダルいから後でいいや。
「遊びに……いこっかなぁ。そうだ、ゲーム買いに行こう」
近所のところに行くので、わざわざフリージャーを使うこともなく、チャリで十分。武器はアサルトライフル……T2ストークとスラッグショットでいいか。せっかくだ、セントリーガンを持っていこう。
「ゲヘナにゲーム買いに行ってくる。帰りは……夜までには帰る」
「わかりました」
そういや、なんで俺は初登校の日チャリで登校していたのだろう。
「ありがとうございましたー」
おかしい! 必ず一悶着あると思っていたのに、そして人の顔面にスラグ弾をぶちかますことになると思っていたのに、まさか何も起きないだなんて。
本当にここはゲヘナか?
人外魔境ゲヘナではない可能性が爆アゲではないか?
それどころかキヴォトスですらない線が高くないか?
「ライサンダー欲しいなァ……」
本当にどうして何も起きなかったのだろうか。ゲーム強盗やらなんやら現れそうなものだが……。そう考えながら、チャリを漕ぐ——っ! 弾幕っ⁉︎
おそらく抗争、きっと、多分、めいびー。
店内で騒ぎがなかったのは
「爆発物持ってきてねえよ!」
いつもだったらグラントやゴリアスをぶっ放す局面だが、本日はあいにくロケットランチャーやミサイルランチャーを持っていない。それはおろか、バックパックにMGシリーズやらDNGシリーズの手榴弾もない。
特殊装備は……アンダーアシスト。
「ふぅー……はぁ……」
ゲームのカセットをアーマーの下にしまって、アサルトライフルを構える。
「EDFッ! EDFッ!」
愛と怒りと悲しみの突撃で解決する。紛争を解決するのがEDFの役割だ——プライマーのために結集されたがな。壁にセントリーガンを一個貼り付けて、射線を増やす。
「EDFッ! EDFッ!」
マガジンが切れたので接近してるやつを一度スラッグショットでで処理。すぐさま空のマガジンを落として新しいマガジンを装填。
背後から接近するやつに後ろ蹴りをかましてスラッグショットで追撃。セントリーガンを追加で一個地面に置いて、射線を増やす。
「EDFッ! EDFッ!」
スラッグショットに二発手込めして、再度ストークを放つ。
右側に寄ってきたやつを肘打ちで叩き、背後のやつをスラッグショットで撃ち抜く。この包囲網はまるで……。
「回転木馬かよ……!」
EDF伝統のテレポーションシップが周囲をぐるぐると回るミッション。それを思い出す。6には確か無かったけど。まあ、周囲を囲まれるミッションは『リング破壊作戦 前編』があったから。
恐らく、外周戦法で
「オーキッドさえあれば……」
本編アサルトライフルの中では最も強い気がするX-900オーキッドが欲しい。人殺せたりしないよな?
「なんで私はM4レイヴンを……ッ!」
唯一持っているhardest帯武器なのに。これまでで一番危険地帯に来ているのに……もしかして、アホなのではないか?
「そこの人、掃射するから気をつけて」
「ああ、了解した!」
誰だか知らないが、恐らく私に向かって言ったのだろう。知らないが。アンダーアシストを使って全力で人混みから脱出する。
その後ろを、紫色の弾幕が通り過ぎる。もし喰らっていたら、ハヴォック的にえげつない角度に吹き飛ばされていただろう。
「感謝する、民間人。君は……?」
「民間人かどうかは怪しいけれど……ゲヘナ学園一年生情報部所属、空崎ヒナ」
「空崎ヒナ……了解した。できれば、もう少しだけ手伝って欲しい」
「わかってる。この量は少し……」
「ああ、私もinferno帯の武器を持ってこれればよかったんだが」
「……? 何を言っているかはわからないけれど、とりあえず手助けするわ」
たった一人、EDFの援軍だったら本当に心許ない。軍曹やらグリムリーパーだとか、スプリガンでもない限り……。
まあ、ここはキヴォトスであるし、援軍も一騎当千の空崎ヒナだからマジで頼りになるのだが。
「EDFッ! EDFッ!」
安全な場所を見つけたぞ!
まあ、情けないので行かないが。
「ターゲットは確認した……」
やばいやばいやばいやばい、
「逃げることはできない」
俺の後ろをバカクソ大量の弾幕がバカ高速で通り過ぎる。さっすが
「あなたが残党?」
残った一人に急接近してマシンガンを突きつけてる……流石に可哀想になってきた。俺も後ろからスラッグショット突きつけよ。
「ふははは、冗談だよ」
「私だけでも助けてくれ!」
「待ってくれ! 話し合おうじゃないか!」
命乞いを無視して頭にスラグ弾をぶちかます。
「えーっと、あなたは……嵐山ハジメであってる?」
「おっと、私も有名人デビューか?」
「少なくとも、ゲヘナ学園の情報部だと有名人。入学してからまだそこまで経ってないのにもうビルを五棟壊したっていう噂が……」
「ああ、おかしいな。五棟全部に覚えがある」
「本当だったのね……」
「だが、一棟足りないなぁ」
「わかった。書類に書き足しておく」
「なっ、まさかよ自然な会話を意識して情報を……っ! こいつは大したスパイだ……!」
「あなたが勝手に漏らしたんでしょっ⁉︎」
「漏らしただなんて……そんな……」
「そういうことじゃない!」
空崎ヒナは弄りたくなってしまう。まあ、まあ、元本の先生だってヒナ吸いだとかしでかしてるのだ。俺もしたい! ヒナの持つお日様の匂いを肺いっぱいに取り込みたい!
「冗談だ。まったく、乙女が漏らすだなんて、そんなことするわけないだろう?」
「なら言わないでくれない?」
「それは無理な相談だな。人をおちょくって引っ掻き回すのが好きなんだ」
「控えめにカス」
「どストレートな暴言ッ⁉︎」
「はぁ……少し、取り調べに協力してもらいたい。安心して、すぐに終わる」
「すぐって三時間だっけ」
「ごめんなさい。思ってたより必要事項が多くって」
「よよよ、ハジメはまんまと騙されてしまいました。これから一体、どうなっちゃうんだぁ〜!」
「うるさい」
「酷いな。ああ、そうだ。少し所用があってな、というか今思いついてな。……風呂ってどこにある?」
「ああ、それなら……」
「ありがとう、お礼はいつかする」
「ええ、じゃあモモトークを……」
連絡先交換しちゃったしちゃったしちゃった……!
風呂はいい。心を落ち着けてくれる。なんていうか、しみるんだ、傷にじゃない、心に。
サウナは良くない。あんな地獄への耐久レースで何がしたい。
ああ、あと男風呂に入るところだった。ありがとう店員、あのロボットは後で殺す。
「見られて恥ずかしい体してるわけじゃないけどねえ」
美少女のサービスシーンである、俺はもう見慣れてしまったからそんなつらつら語るようなことはないが。
キヴォトスの風呂屋には初めて来たが、ただのロッカーではなく、掃除用具入れみたいなものが多い。武器として長物……具体的に言えば、アサルトライフルやスナイパーライフルを持っている奴がいるのである——因みに、拳銃持ちと何も持ってないやつは普通のロッカーを使う——っぽい。
「あゝ〜。いい湯だな……」
まだゲヘナには鬼怒川カスミが高等部に入学していない影響でそこまで変な連中は湧いていない。いずれやってくると考えると、嫌な気分だ。
変な奴らと思われたくはないのだが、しかして温泉には入りたい。別に、美少女の裸体を見たいという、そんなトンチンカンな理由ではない。
「あー。あー。あー……あったけぇなぁ……」
ゲヘナ湯は熱い、そう聞いていたのだが思ってたよりだな。ヘイローってもしかしてすごいのか? 凄すぎるのか?
「まるでフレイムガイザーで湯沸かしてるみてえだ……」
たぶん火炎放射器オメガじゃないと思う。
「随分長風呂しちまったなぁ……」
借りたタオルを受付に返して、外に出る。
空には星々が煌めいて……ん?
『ゲヘナにゲーム買いに行ってくる。帰りは……夜までには帰る』
今朝、確かそう言った気が……。
チャリンコで全速力じゃあああああああああ! 夕飯無くなっちゃうよー!
「次回から遅れるときは連絡してくださいね。夕飯ありますから」
「すまん!」
ヒナちゃんかわいいよヒナちゃんヒナヒナヒナヒナヒナ……。感想をください