『もしもし、エース?初めての旅は寂しくない?』
「大丈夫だよ、アルスも居るし」
『そう、よかった!元気そうで安心したわ!!』
「それで?どうしたの?」
『そろそろ島に着く頃だと思ってね、おばあちゃんが港で待っているんですって。会ったらちゃ〜んと挨拶するのよ?』
「分かってるよ。小さい頃に会って以来だから少し緊張してるけど」
『おばあちゃん優しい人だから大丈夫よ、アルス君も一緒に来て良いって言うくらい!
それじゃあ、また連絡するわ。ステキな夏休みになると良いわね!』
「うん、ありがとうお母さん」
通話を切り、エースはスマホを仕舞う。その様子を見た隣の少年はエースに声をかける。
「まだ家出て数時間しか経って無いのにもうホームシックか?」
「そんな訳ないでしょ、ただの会話だよ。アルスも居るのにホームシックになんてなる訳ないさ」
「そりゃ嬉しいねぇ」
隣の少年———アルスは揶揄う様にエースに話しかけ、エースも特に気にすることなく返答する。
この2人は幼馴染というもので、物心ついた時からこの瞬間まで、何をするにしても一緒だった。
そうやって育った2人は親友と表すには仲が良過ぎないか?心友か……?と周りから思われる程度には仲が良かった。
そしてこの夏、休みの間旅に出ようぜ!と、2人旅が始まったのだ。お前ら離れる気ゼロか?
いつもの調子で会話をする2人。そこに突然、大きな影が2人の上を通り過ぎる。
その正体に目を向けると、そこには———ドラゴンが居た。
2人は驚いた口が塞がらず、数秒間ずっとドラゴンに目を見開いていた。
「ほっほっほ。ドラゴンを見るのは初めてかの?」
そんな2人に大きな杖を持った老人が声をかける。
「は、はい。オレ達ビエナシティに住んでたので、こうやって旅に出て初めて見ました……」
「ほー!ビエナシティから2人旅とは!そりゃあビックリしたじゃろ」
老人の言葉に、エースは相槌を打つ。因みにアルスはまだフリーズしていたりする。そろそろ起きろ。
「この船の行き先、ドラゴーザ島はモンスターの楽園と呼ばれておるのじゃ」
「モンスターの……楽園……?」
「大丈夫じゃよ、モンスターは訳もなく襲ったりはしない。人とモンスターが暮らす美しい島じゃ。ドラゴンともすぐに仲良くなれるじゃろ」
言い方は悪いが、田舎に居そうな都会から来た人に滅茶苦茶フレンドリーな感じの老人とエースの会話は弾む。それを隣で聞いてたアルスもようやく再起動する。時間がかかり過ぎである。
「まさか初日からあんなデカいドラゴン見るとはな……モンスターが無闇に人を襲わないのは理解っているけどああやってみるとやっぱ迫力あるよなー」
アルスは海の方を向き、潮風に気持ち良さそうに独り言ちる。
いつ見ても海は綺麗だなぁ……陽に反射する水面、跳ね上がる魚、今にも爆発しそうな密集してるドロップ……………ん?
「何だ、あれ?」
ーーーーー
「ふう〜、風が気持ちいいな〜。もうそろそろ島に着く頃かなぁ?」
緑髪の少j……少年は船尾楼甲板*1で潮風を気持ち良さそうに浴び、ぐっと伸びをする。
ふぅ、と一息吐き海を見る。そろそろ島が見えてくるか確認しようとし……
「……あれ?海の様子がおかしいような……」
少年は異常な景色を見つける。
「なにあれ!?ドロップが湧き出てる!!」
ーーーーー
「なにあれ!?ドロップが湧き出てる!!」
少年の大声にエースと老人が反応する。
海を見れば一部の箇所からドロップが大量に出現していた。
「おぬしたち……、もしやドロップが見えておるのか?」
老人の言葉にエースと少年は頷く。アルスは頷きはしなかったものの、老人の方に目線を向けているため、彼にも見えているのだろう。
「あの、ドロップってなんですか?」
「ドロップとは万物の根源、生命の源となる力と言われているものじゃ」
エースの言葉に老人は答える。
「普通の人間には見ることすらできないものなんじゃが……おぬしたち、龍喚士の力があるようじゃのう」
「……?」
「ドロップは世界中に溢れておってな、あらゆるものにその恵みを与えておる。
じゃがな、その力が乱れてしまうと危ないことが起こってしまうんじゃよ」
その言葉を言い終えた瞬間、船が揺れた。
「ね、ねぇ!これって、もしかして……!?」
「皆の者、安全な所に避難せい!ドロップ・インパクトじゃーー!!」
船の進行先から大量のドロップが吹き出す。
それに釣られるかのようにモンスターが出現した。
それを誰よりも間近で見た少年は恐怖で怯える。
しかし、老人が安心させるために声をかけた。
「心配しなくてよいぞ子供達!わしは龍喚士じゃ!!」
少年達……船に乗っている人達を守るため、老人は前に出る。
「これくらいのモンスター、わし1人で十分じゃわいっ!
我が
その力を解き放ち敵を討て!
老人はモンスターを召喚し、ドロップを操る。
しかし悲しいかな、身体は言う事を聞かず持病の腰痛が老人を襲う。
万事休すか、そう思われた時、老人はその場に居た3人の少年に言った。
「すまぬ子供達よ!わしの代わりにドロップを揃えてくれ!」
「えぇ!?」
「何言ってんのお爺さん!!?」
耄碌したかジジイ。正気を疑うような言葉が老人から放たれた。
その言葉に少年とエースは驚く。無理もない、彼らは今までドロップを操ったことがないのだから。
それでも老人は言葉を続ける。
「おぬしたちならば出来るハズじゃ!頼む……!力を貸してくれい!!」
老人の心からの言葉に少年は戸惑う。しかし、アルスとエースは前に飛び出して行った。
「アルス、行ける!?」
「何言ってんだエース、俺らなら余裕だろ!」
「「2人揃えば、何も怖くない!!!」」