なるべく早く冒険させたいね
「おお!アンジーヌではないか!!」
「あらヴァハトン。あんたもこの船に乗ってたのかい?」
船で会った老人とアンジーヌが知り合い。衝撃の事実にアルスは思考が止まる。本日2回目のフリーズである
閑話休題
老人———ヴァハトンと別れ、アンジーヌに連れられて家に向かった。
家でゆっくりとお茶を飲みながら、アンジーヌはエースから思い出話や今日の船旅の事を聞いていた。
「さて……と、そろそろ本題に入ろうか」
此処に至るまでのことを聞き終えたアンジーヌは、和やかな空気を真面目な空気に切り替える。それを感じ取ったアルスも再起動を果たす。やっぱ遅いな再起動。
「あんたの母さんから話は聞いてるよ。ドロップが見えるようになったんだって?」
そう、此処———ドラゴーザ島に来た理由は、エースがドロップを視認出来るようになったからである。それを祖母であり、同じくドロップを視認できるアンジーヌに相談しようと、遥々ドラゴーザ島まで来たのだ。
「なんだか嬉しいねぇ。お前の父さんも同じくらいの歳でドロップが見えるようになったんだよ」
「父さんも……!?」
「エース、その力は絶対にお前を傷つけやしない。だから怖がらずに受け入れておやり」
「……うん!」
力強く頷いたエースにアンジーヌは満足そうに微笑み、近くの宝箱のような形をした箱に近寄る。
「自分の力を理解するんだったらね、正しく向き合わなきゃいけないよ。その事を教えたくてこの島にお前を呼んだんだ」
そう言って、アンジーヌは箱を開け何かを取り出す。
「ほら、エース、アルス。コレはあたしからのプレゼントだよ」
それは2つの機械———D-ギアだった。片方は赤く、もう片方は黒い色で彩られていた。
「この赤いD-ギアはお前の父さんが使っていたモノなんだ。大切にするんだよ」
「おばあちゃん……ありがとう!」
「あの、アンジーヌさん。この黒いD-ギアは……?」
アンジーヌからのプレゼントに喜ぶエースと、あてくしにその様な縁はございませんわよ……?と言いたげな表情をするアルス。
しかし、アンジーヌからの返答は予想外だった。アルスに渡したD-ギアは、アンジーヌがわざわざ買ってきてくれたものだったからだ。
その言葉にアルスは即座に反応し、黄金比のように美しい土下座で感謝を述べる。これには流石のアンジーヌもおおいに戸惑った。
「自分の力と向き合うってことはね、モンスターと接することに繋がるんだ。その時にこのD-ギアが役立つハズさ」
何故D-ギアを2人に渡したのかを話し、じゃあ使い方を教えてもらおう!となったが。
「……やっぱり、本職に教えてもらうのが一番いいだろうねぇ」
なんと、拒否……ッ!2人は驚き、理由を問おうとする。
が、その前にアンジーヌから言葉が続く。
曰く、港で会った老人ことヴァハトンはそこそこ有名な龍喚士だと。
今は水の神殿に居るハズだとアンジーヌに言われた2人は早速向かうことにした……。
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「ふぅ……」
2人が出た後の家にて、アンジーヌはため息を吐く。その表情はあまり良いモノではなかった。
「言える訳が無いねぇ……。アルスに渡したD-ギアが、何処から現れたのかわからないモノだなんて……」
アンジーヌがエースの母親から2人が来ると連絡が入り、その確認を終えたアンジーヌが机を見ると、そこには先程———エースの母親からの連絡を確認する直前には
「何も無ければ、良いんだけどねぇ……」
処分しようにも何故か処分出来ず、アルスという言葉が出るたびに鼓動するかの如く黒く光っていた謎のD-ギアを渡してしまった罪悪感に、アンジーヌはまたため息を吐いた。