原作主人公流石だね
ただいまクロッカス、俺が帰ってきたぞ。
ドロップ・インパクトが落ち着いたことにより街の人たちも普段と変わらない日常を過ごしている。やっぱ平和が一番。はっきり分かんだね。
一度アンジーヌさん家に帰ろうかと思っていたら、エースが何やら急いだ様子で走っていた。
「よぉエース。もう遅い時間なのにそんなに慌ててどうしたんだ?」
「あ、アルス!」
俺はエースに事情を聞いた。
ーーーーー
「なるほど。チャロが氷河熱になって、それを治すために氷の花が必要、と」
「簡単なおさらいありがとう」
アルスは少し考え込んだ後、手伝いを申し出た。
オレはアルスに迷惑をかけたくないと手伝いを断ろうとしたが、午前中に起こった事を思い出す。
レッドデモン達に手も足も出せず、ランスに助けられた。あれは、オレがもっと強ければ、それかアルスの申し出を素直に受け取っていれば防ぐことが出来たハズだ。
今もその時と似た状況。オレはどうすべきか考える、また同じことを起こさないために。
チャロの氷河熱を治したい。アルスの隣に、胸を張って立ちたい。そのためには………。
「———アルス、お願いがあるんだ」
ーーーーー
「ドロップを集めた後に揃えるんじゃない、ドロップを集めながら揃える事を意識しろ」
「はい!」
「でもちゃんと周りは見ろ。囲まれてるぞ?」
「え?……うわぁっ!!?」
俺は今、エースに指導中です。なんでさ。
午前中、エースはモンスターにコテンパンにされたらしい。だから鍛えてくれと頼まれた。なんでさ*1
と言うか、そんなに焦る必要は無いぞと言おうとしたがエースの目を見てやめた。あれは覚悟を宿している目だった。それこそ、強くなるために自分を崖っぷちにまで追い詰めてしまえる程の。
だから、正直しぶしぶではあるがこうやってアドバイスをしている。
絶対俺よりも適任が居るとはおもうんだがな……?
「そういえばアルス、なんでそんなにドロップの操作が上手いんだ?」
「そりゃ昔から触れ合ってたし、教えてくれる人も居たからな」
「へ〜………え、昔から?」
「え、うん。大体6歳くらいから」
「言ってよぉ!!」
「あれ言ってなかったっけ?」
知ってるものだとばかり思っていた。そっか知らないのか……、そりゃ確かになんで上手いんだ?って思ったりするか。
まぁ、ずっと俺に教えてくれる人がいたから上達したんだけど。それは言う必要もないか。
「コンボ数が多いほど攻撃力も上がるからな〜。一度に沢山ドロップを操るのも大切だぞ〜」
「一度の要求するのが多くないかなぁ!?」
「そりゃお前、強くなるんだったらさっさと色々教えた方がいいだろ?それに……」
「それに?」
「エースには才能がある。これくらいすぐに出来るようになるさ」
「そんな事言っちゃって………、嬉しくなるだろ!!」
「急にキレんなよ怖いわ」
エースの調子が急に上がる。コイツには褒めて伸ばすのが一番みたいだな。
「次の階層に目的の物があると思う。後少しだぞがんばえー」
「応援雑だねッ!!?」
俺は人に教えるのに向いてないからな。ここまでやっただけでもスゴイと思うんだよ。
ーーーーー
「おや、エースにアルス。遅かったから心配したんだよ」
「ただいま〜」
「たまぁ〜!」
「ホントに自分から龍喚してるなタマゾー……」
タマゾーは花を持ってアンジーヌに駆け寄る。
「おや、綺麗なお花じゃないか。あたしにくれるのかい?」
「そうしたい気持ちはあるけど、残念ながら違うよおばあちゃん」
「それ、氷河熱に効く氷の花です」
アルスの言葉にアンジーヌは驚く。都市伝説みたいなものだったからね、実在してるなんて夢にも思わなかったんだろう。
「コレさえあればチャロくんだってきっとすぐによくなるハズだよ!」
「じゃあ、後のことはよろしくお願いします」
「任せておきな、バッチリ治してやるからね!」
アンジーヌは氷の花を使って、チャロに処方していく………。
ーーーーー
翌日
「う、うーん……、ここは……?」
「どうやらちゃんと熱は下がったみたいだね」
朝、熱が下がり朧げだった意識が覚醒していく。視界に入るのは知らない天井に知らない女性。どうして自分がこんなところに居るのか思い出そうとする。
「あ、チャロ目が覚めたんだ!」
「顔色も良くなってるし、これならもう大丈夫そうだな」
「エースに……アルス……?」
ボクは起き上がりつつ記憶を遡る。確か、エースとドロップ・インパクトが起こったのに気付いて、ヴァハトン様の所に行った後、キャスケッド氷河で与えられた任務で……。
「そうだ、ボク、モンスターに襲われて……」
そこからの記憶は朧げだった。たしか最後、エースが視界の中に居て……。
「そうか、エースが助けてくれたんだね!!」
「ん?」
この時、ボクとエースの間にはすれ違いがあった。ボクはエースがモンスターから助けてくれたのだと思い、エースはボクがかかった氷河熱の事を言っているのだと、勘違いをしてしまった。
この事を、感謝を伝えまくった後にアルスから言われた。ボクはベッドの中でうずくまった。
というかまたアルスから可愛いとか言われたんだけど!?ボク男なんだけど!!?
ーーーーー
インターホンが鳴った。俺は昼食の準備をしているエースとアンジーヌの代わりに出る。
「はーい、どちら様で……あれ、ヴァハトンさん」
「ほっほっほ、チャロの意識が戻ったと聞いてのう」
扉を開ければ、そこにはヴァハトンさんが居た。この人、古老なのに結構会うんだよな、そんだけギルドの人たちを大切にしてるってことかね。
「ちょいと中に入らせてもらうぞ、顔だけでも見せておくれ」
「はい、今は奥の部屋で寝てます。チャロも多分喜ぶと思いますよ」
起きていればだけど。
閑話休題
「どれどれ……、うむ。もうすっかり良さそうじゃな」
「やっぱり氷の花ってすごいですよね〜」
「あれは氷河熱にしか効かんが、その分効果が高いからの〜」
ヴァハトンさんと雑談していると、昼食の準備が終わったのかエース達がこちらに近付く。
ヴァハトンさんはその方を見つめ……いや、これタマゾーを見つめてる?
「むぅ、やはり……。前に見たときからもしやと思っておったのじゃが……。こやつ、たまドラのようじゃのう」
「たまドラ!?なんだいあんた、タマゾーのこと知ってるのかい?」
たまドラ……?知らん名前だな。
とにかく、ヴァハトンが説明してくれるようだ。
たまドラとは、星の意志によって遣わされるモンスターと呼ばれてる。
昔はあちこちに居たが、今じゃ全くと言って良いほど姿を減らしている。
たまドラにはあらゆる生物を覚醒させる特別な力を持つと言われている……。
ヴァハトンさんが語ったのはこんな感じのこと。そんなスゴイモンスターの卵を、なんでエースの父親が持っていたのか気になるが、まぁ考えても無駄か。
ーーーーー
「そういえばエースよ。こんな噂話を知っておるか?」
「噂話?」
「先日のドロップ・インパクトの影響で新しい洞窟が氷河にできたようなんじゃ。氷河にある滝壺に入り口があるらしいんじゃよ」
ヴァハトンさんがそんな噂話を教えてくれる。最近出来たものだからか、オレはその話を聞いたことがなかった。
「で……、中に入った者の話ではな……」
「……ゴクリ」
「お宝がもうざっくざく!そりゃあスゴイことになっとるらしい!!」
お宝が……ざっくざく……!?
そんなロマンのある話に心を踊らせていると、ヴァハトンさんが続きを話す。
「じゃが、モンスターもおるらしくてな。腕の立つ者に調査を頼みたいんじゃよ。そこでどうじゃ。おぬし、行ってみる気はないかのう?」
「……腕ならアルスの方が立つと思うんですけど」
「アルスは別のことを頼んでおる。あの仕事はアルスが適任じゃからな」
アルス、ここまでヴァハトンさんに信頼されてるのか。
そんなアイツに、オレは教えてもらったんだ。ならオレは、それで付けた力を証明する!
「……その調査、引き受けます!」
「ほっほっほっほー!そういうと思っておったわい!!」
ヴァハトンさんは嬉しそうに笑った。
ヴァ「おぬし、これやってきてくれ」
アル「あの、俺新米龍喚士……」
ヴァ「やってくれたら良いもんやるぞ?」
アル「その仕事、私めにお任せください。如何なるものでもこなしてきましょう」
ヴァ(チョロいな……)