「一か八か、第一宝具を開帳する!!」
決意に満ちた声が全フィールドに木霊する。
「第一宝具········?」
「なんだそりゃ?透さん」
「知りません」
高台に上がり、チートの効果時間が終わるのを待っていた彩葉達一行はそもそも第一宝具に聞き覚えがないのか、頭の上に?を浮かべていた。
そんな折、ログイン特有の青い粒子が近場に現れる。
段々と人の形を成していき、白衣を纏った男性もとい赤松 宗全がツクヨミに舞い戻った。
「兄さん!勇斗さんの治療は!?」
「終わった」
「え?」
何の起伏もない表情、抑揚のない声。目線を合わせず、ただ敵がいる方向へ視線を飛ばす見たことない兄の姿に琴葉は困惑が隠せなかった。
「今は戦いに集中しろ。勇斗が賭けに出るんなら、俺達はそれに乗っかるだけだ」
「··········わかりました」
最後に視線を敵に囲まれてる勇斗に移すと、早々に思考を切り替え、避難兼防衛をしている者達がいる背後へ振り向く。
「彩葉、黒鬼メンバーはデカいのを」
「おう!/わかりました!」
「大和と霙は灯籠頭を弾け」
「「はい!」」
「他の面々は勇斗の援護」
「「「よしきた!」」」
宗全の指示で酒寄兄弟が高台から飛び降り、次いで透さんと宗全が後を続く。
四刀を振り回すズイショウ型Bに鈍足付与の矢が突き刺さる。
動きが遅くなったその瞬間を勇斗が見逃す訳がなく、攻撃の合間を縫うようにして包囲網から抜ける。
「助かった!」
森方面へ出た勇斗は、包囲網を避けるようにぐるりと遠回りし、高台の根元あたりに守り手のように立ち塞がる。
一呼吸で息を安定させ、自身の胸に右手を突っ込む。
しかし、それで胸を貫くということはなく、四次元ポケットでもあるかのように沈み込んでいく。
「掴んだ」
探るようにして動かしていた右手が止まる。どうやら、お目当ての物が見つかったようだ。
そうして掴んだ物を一息で抜かんと手に力を込め、―――引き抜く。
「ふッ―――!」
天と地に光が満ちる。
遮蔽物なんてそこら中にあるだろうに、軽々と全てを呑み込み、光が全てを照らし出した。
宗全以外は全員目の前に手を持ってきたことだろう。
「んぐっ!」
何も見えない中、勇斗の苦しげな声が辛うじて聞こえた。
その声を合図に光は弱まっていき、最終的には勇斗の腹だけが輝く意味のわからない納まり方をしている。
「柄だけで、どうしろってんだッ!!」
眩い光で輪郭すら見えないが、柄だけが出ている状態のようだ。
しかし、柄だけでは何もできない。その先にある刀身もしくは穂先が必要。これだけではどうしようもない。
「くそっ。今必要だってのに、これじゃあ、また···········ッ、さっさと抜けやがれえええええ!!!!」
弱音を全て切り捨て、全力を以てして引き抜こうと試みる。
少しずつではあるが、徐々に掴んでいる柄らしき物が出てきている。それに付随するように、ブチブチと何かが強引に裂かれる嫌な音が鳴り始める。
「よせ、勇斗!心臓が露出するぞ!!!」
「構ってられっか!
この剣こそは――――――ッ!!」
宗全の忠告を無視し、手を止める素振りを一切見せることはない。
剣、剣ならば、強引に引き抜いた長さからあと半分程で全て抜ききるだろう。だが、抜ききるよりも速く肉体の限界が訪れる。間違いなく絶命する。
勇斗の肉体の現状をただ1人知っている宗全はそう確信した。
剣を抜くよりも速く、人知れず黒い衣を纏った青年が背後に立っている。
「―――傲慢。呆れる程に傲慢。」
刹那、黒耀 勇斗の右腕さらには胴体すらもが斜めに裂かれる。当然、支えをなくした上体は崩れるようにして地面へと―――
「――っぶねえ!!」
泣き別れした上体が巻き戻しかのように元の位置に戻り、下半身と感動の再会を果たす。
体勢を整えた勇斗は、すぐさま振り向くが、顔に筒状の物が投げられる。
「っと。なんだこれ?」
右手で投げられたそれを受け取る。
よく見れば時代劇などで見る手紙の役割をしている巻物。投げた本人である黒い衣を纏った青年もとい武内 湊がメニューを開き、何かを二回タップする。
巻物が開き、宙に文章が出現した。
「爺さんからの遺言書だ」
「爺さん·········あの人がか?そんな、馬鹿げた事があっていいわけが―――」
その続きはなかった。
文章を読めば、嫌でも気づかされる。この文章を書いたのは勇斗にとって恩人であり尊敬すべき人物、武内 勝彦。その遺言書だ。
阿呆、力を持っただけで調子やがって若造が。誰も彼もを幸せになんて出来ねえんだよ。
お前は夢を追いかける存在から追いかけられる存在になった。頼らずとも誰かが助けてくれるってのは気分がいいだろうさ。
1人で何かを成し遂げた事あったか?
結局、どれだけ力があろうが1人では生きてい
ない。俺も、宗全も、お前も。それを忘れたってんなら地獄から蘇って殴ってやる。面出せ。
墓参りぐらいは赦してやる。みたらし団子持ってきやがれ。よもぎ饅頭でも可だ。
戦うことを忘れ、かつての恩人の遺言書を読んでいく。その体は僅かに揺れている。
自身への嫌悪、怒り、―――死に目に会えず旅立ってしまった爺さんへの哀愁。それら全て呑み込み、顔を上げた。
目前には今尚戦い続ける彩葉達と盲目のバルティマイ。
彼が手紙を読んでいる間に59人もいた盲目のバルティマイは12人へ。彩葉達も残すは酒寄兄弟のみとなった。残機は総数であったとしても20にも満たない。
正しく崖っぷち。
歌唱も最早聞こえない。勇斗が動きを止めた時点で何人もの動きが止まっている。
だからこそ言おう。
真の戦いはこれからだと。惨めに醜く抗い続けたからこそ人類史は繁栄し、今があるのだ。なら、最後まで足掻くだけ。誰にでもできる。彼らならできる。
ズイショウ型Bの一刀が微動だにせず、立ち尽くす勇斗の首へと迫る。
「武内、手を貸してくれ」
刃の側面に鋭い突きが穿った。
衝撃で軌道がズレ、振るわれた凶刃は血飛沫を上げさせることは叶わず、土埃を上げるのみだった。
黒い衣のフードが風で巻き上がれ、翡翠のような瞳が狂った月光を反射して光る。
その表情は喜に満ちていた。
「その言葉が聞きたかった」
自身の攻撃がいなされたズイショウ型Bは手を止めず、もう片方の腕、宙に浮かぶ2本の腕が持つ大剣を回避先を潰すようにして湊諸共勇斗へ振り下ろす。
新たに何の変哲のない直剣を取り出し、針の隙間を縫うようにして投擲。ズイショウ型Bの片目へ突き刺す。
だが、その程度では止まらない。痛覚などないのだろう。
すかさず顔面目掛け飛翔。紙一重で大剣を避け、距離を縮めていく。
最初から持っていた直剣で先程刺した直剣の柄を突く。その衝撃でズイショウ型Bの頭部がひび割れていき、終には砕け散った。
頭部を失った影響か3本の腕が力をなくし、もと描いていた軌道から逸脱していく。狙いが逸れた3本の大剣は誰にも掠ることなく地面に落ちた。
突き刺さった直剣を回収し、二刀流に。
着地した頃には砕かれた頭部は鼻のあたりまで再生していた。
予測するにあと10秒ちょいで完全に治る。だが、彼らの前ではあまりにも遅かった。
光が満ちる。
先程のただ眩しいだけのものではない。
視界の阻害はない。
直視したとしても痛みはない。
―――温かい。
触覚がないツクヨミ内で感じる筈のない温かみが光から感じる。まるで、全身が包み込まれたかのような温もりだった。
「これは誰の記憶にも残らない空虚な物語」
今度ははっきりと見えた。
穏やかに目を細める表情をした黒耀 勇斗の姿。そんな彼が手に持つ剣。それはまるで、19世紀初めにナポレオンが作らせたジュワユーズのようだと有識者が後に言う。
「だとしても、俺は希望を唄い続けよう」
剣を掲げる。
ネロ・クラウディウスが宝具、原初の火に擬えて言うならば、その剣は原初の光と名付けるに相応しい。
暗闇をひた走ってきた人類史だからこそ誰もが手を伸ばした光。誰もが夢見た光。
月人の頭部が再生されると共に、極光が全てを呑み込んだ。
光が晴れた先には何も残らなかった。
だだっ広い地平線だけが目前に広がっている。
だが、それだけの破壊力を以てしても、まだ戦いは終わらない。
消し飛ばされた月人の代わりにと、ぽっかり空いた穴から際限なく増えていく。チートコードつきと言うおまけ付きで。
しかし、その程度で勇斗の障害になり得る筈がなく、光の柱を幾つも立てながら殲滅し続けている。
そんな光景を、宗全は宙で静止し続けるヤチヨの隣で眺めていた。
「武内家は勇斗特攻でも持ってんのか?」
もちろん、そんなものがないことは自身の才が解を出している。ただ単に忘れ物確認が上手いというだけの話。
「で、どうする。このまま黙りこくってるか?」
目線をぽっかり空いた穴からヤチヨへと移す。
第一宝具の真名解放により形勢はこちら側へと傾き始めている。順当に行けば、間違いなく勝利を手にするだろう。だが、そうなってしまえば輪廻が砕け散る。
きっと、ヤチヨは存在しなかったことになる。
「一つ、不思議なんだ」
「なら聞けばいい。アイツなら答えてくれる」
宗全の言葉に少しだけ微笑み、管理者権限を用いて勇斗の側に追従するように回線を開く。
自身の疑問を口にしようとするも、寸での所で言い淀む。
「優柔不断は嫌われるぞ。さっさとしろ」
優柔不断でダメな奴である月見 ヤチヨを急かす。
普段なら5分でも10分でも待つのだが、今は時間が惜しい。いつ勇斗の意識が消えるか気が気じゃない。
「―――ねえ、聞いてくれる?」
『聞こう!!』
「ふじゅ!?」
熱意が籠もった力強い大声にヤチヨの肩に乗っていたFUSHIが驚きで飛び跳ねた。若干ではあるが、ヤチヨもまた体を震わせた。
気を取り直して、爆発の音が聞こえる向こう側へ問いかける。
「貴方は、どうしてここまでしてくれるの?一度しか会ったことないのに」
戦場を駆け回っていた勇斗の動きがピタリと止まる。
おそらく、あまりに予想外の問いに脳みそがフル稼働しているのだろう。理由など探している時間がもったいないとは勇斗談。
『8000年。君は人類の足跡すら遺らない時代から、たった1人のためにここまで走ってきた。
その事実に俺は感動した。
8000年消えず光続けるような星が、未来に現れる。なら俺は、それまで全力で走り続けるだけだ。』
誰も彼もが自身を悪として自己推量で罰する地獄のような中、希望となった未来の
人が純粋悪であるのを理解しているつもりだった。だとしても、あの罵詈雑言は希望に満ちた青年にとっては劇毒。人類を未来がないものとして判断するには十分過ぎた。
そんなことはさておき。
『と言うかなあ!
好きな奴の泣き顔見たい奴が何処にいるかってんだ!!』
本音はたったそれだけ。
言語を圧縮したため、少し誤解が生まれそうな言葉である。現に勇斗を見る琴葉の顔が信じられないことになっていた。
その回答を受けて、ヤチヨは声を上げず、静かに瞠目していた。
耳を傾けていた宗全は、笑いを堪らえようとするが敢え無く決壊。それはもう爆笑した。
『宗全そこにいるな!?暇なら手を貸してくれ!』
「···········いいぜ。23年ぶりの共同戦線を組むか」
爆笑のためか荒くなっていた息を整え、その場に留まるのを止め、高台へと急降下を始める。
その間勇斗はヤチヨとの回線はそのままに、宗全への回線を右手の小指で操作して開く。
『あの連れられそうな子の奪還を頼む。なんか嫌な予感がする』
「その予感、大当たりだ」
轟音と共に着地するや、彩葉にトドメを刺そうとしていたコンゴウ型Bとズイショウ型Bを殴り飛ばす。
感触がないことを良いことに思いっきり放たれた拳は、直撃していないと言うのに2体共跡形もなく消し飛ばした。
ことなさげに宗全は、尻餅をついている彩葉へと振り返る。
「ッ·······!?」
「愛と希望、持ったか?持ってなくともやってもらうがな」
先程投げたようにフードをひったくるように掴み、飛翔。宙を蹴りながら、接敵されない範囲から雲のような物の上に立つかぐや姫を観察する。
「時間がないから短く言う。
羽衣を剥ぎ取れ。あれさえなくなれば後は俺達で何とかする」
フードを掴む手から自身の影を這わせ、彩葉の右手首あたりに常駐させながら指示をしていく。
あの羽衣をかけられると同時にかぐやの彩が抜けたのを見るに、人由来のものではないのは確か。推測するに月由来のハイパーテクノロジーまたは伝承によって生まれた宝具に近しい物。
つまり、穢れに染まった宗全や勇斗では掴めず、すり抜ける可能性がある。そのため、ここは1番最年少の彩葉が掴めるのに賭ける必要がある。
瞬間移動でもするかのように雲の周りを高速移動し、念の為の錯乱をしかける。が、彩葉からボサツ型の目がどう見えてるかなどわかる訳がなく、完全にタイミングは宗全頼みとなった。そもそも目なのか、アレは。
繰り返すに16。ようやくベスト位置を見つけたのか、ボサツ型の真上2m程空けた場所で停まった。
極度の運動で荒くなった呼吸を整え、フードを掴む手に力が籠る。
超人染みた力が込められ、今、―――放たれた。
かぐやとの位置を0にするのに3秒。その刹那に全てが決まる。
右手を伸ばす。
「かぐやあああああああ!!!!!!!!!―――――――――あ。」
「 。―――彩葉!?」
人差し指を襟元に引っ掛け、落下と共にかぐやから剥ぎ取る。しかし、触れると同時に彩葉の瞳が色彩を失った。
宗全は即座に常駐させておいた影を用いて彩葉の右手を切断。
「·········はっ!」
右手は失ったが、羽衣を手放したことで顔に生気を取り戻していく。
それを確認した宗全は雲の上に降り立つ。
ボサツ型に目もくれず、かぐやの前に立ち、二度目の対面を果たす。
「8000年の覚悟はいいか?」
「もちろん!彩葉の為なら何千何万年だって待つよ」
これから起こるであろう事の大まかな道筋は既に宗全からのメールで把握済み。そうは言っても、8000年間想い人と離れ離れと言うのは耐え難いだろうに笑うかぐや。
その姿を見て、宗全は珍しく目を少し伏せた。
「···········本来なら、覚悟を問うのは勇斗が担当だ。俺にはその覚悟が煌めいているように見えるだけで、本質まではわからない。」
「それじゃあ、宗全はなにを問うの?」
「愛と希望だ。
人類史は死と断絶に満ちた物語だったが、その一歩目には必ず愛と希望があった。だからこそ、人類史は汚く穢らわしく、そして美しい」
あらゆる叡智を生を受けた瞬間に理解した青年はやがて大人になり、人々の道こそ愛と希望だと定義した。
その答えに辿り着く要因となった青年は死ぬギリギリまで愛と希望を謳ったが、最後には狂いながら否定した。
青年達は何処で道を違えたのか。
正義に陶酔した民衆を見た時?
死体だらけの道を築いた時?
救済など不可能だと悟った時?
そんなものでは彼らの心は折れない。傷一つつかない。曇る訳がない。
「んー。全っ然わかんないけど、きっと大丈夫。
悔しいけど、彩葉にはヤチヨがいるしぃ。かぐやちゃんは完璧美少女だから8000年なんてへっちゃら〜♪そして、戻ってきて逞しくなったかぐやちゃんに彩葉はゾッコン♪ひゅー♪」
くるくると雲の上で踊りながらおちゃらけて歌うかぐやの姿に宗全はとある事を思い出した。
「―――そうか。勇斗には振り向いてくれる星がなかったのか」
「星?」
黒耀 勇斗にとっての星はシャルルマーニュ。
決して折れず、立ち止まらず走り続ける手が届く筈のない星。当然言葉を投げかけてくれるだの、視線を合わせるだのは不可能。なにせ、ゲームのキャラクターなのだから。
下を向いていた視線を戻し、かぐやと目線を合わせる。
「かぐや。絶対に星を見失うな。お前の進むべき道は長く険しいが、迷うことはないだろう。きっと、太陽が如く照らしてくれるはずだ」
「星なのに太陽〜?まあ意味はわかるけどさ」
「その道を歩けば嫌でもわかるだろうよ。俺達、盲目のバルティマイはそういう奴らの集まりだからな」
雲の端まで移動し、今尚戦い続ける勇斗、湊、渚、健二、琴葉の5人を2人して眺める。
誰かのために全力で泥臭くとも足掻き続けるその姿は、宝石のようにキラキラ煌めいている。夜空に浮かぶ星々のようだ。
「かぐやもなれるかな?」
「もうなってる。」
「ほん―――、うぇ?」
満面の笑顔で宗全の方へ振り向こうとするも、背後からの謎の衝撃で雲の上から落ちる。
言わずもがな宗全の脱力したヤクザキックである。
「さて、あとはお前だけだな」
かぐやは現在進行形で落下中。
雲の上には宗全と微動だにしないボサツ型のみ。言いたいことの二つ三つ言っていいだろう。
「
返答はない。
きっと、宗全の言葉がどういった意図、感情を以てして言われているのかは理解している。ただ、そういう情報として得ているのみでその先がないのだろう。
争いも蹴落とし合いもない月はさぞ楽園だろう。1ミリたりとも羨ましくはないが。
「つーわけで、お引き取り願う」
宗全の遥か後方に光の柱が顕現する。
光の柱の根元を見いれば、そこには先程と同様第一宝具を掲げた勇斗の姿があった。
「―――黎明を払い、停滞を打破するこの光こそは」
先程のは不完全だったと思い知らす程の光の奔流が彼を中心に渦巻き始める。
一撃目の数十倍に飽き足らず数百倍はあるだろう熱量がツクヨミの夜空を照らす。
それを目視した前線で戦う琴葉達は、すぐさま撤退しようとするも走り出した状態でピタリと止まってしまった。
(え、固まった?)
(ツクヨミサーバーの限界来ちゃったかぁ)
(·········無理だな)
(武内諦めなら打開は無理だな。勇斗さんに賭けよう)
固まった面々は視界に移る今尚動き続けている勇斗と宗全、そして敵である月人達が動いているのを確認し、握っていたコントローラーを机に置いた。
動ける月人達は散り散りになって、せめてもの回避行動を取る。だが、その棟梁であるボサツ型は一歩たりともその場を動こうとしない。
「
それは刹那の閃光であった。
刃として振り下ろされることなく、彼を中心に全方位へ炸裂した光はSENGOKUフィールドを余すことなく焼き、全ての月人を消滅させた。
光は永遠と地を照らし、夜空を明け空とした。
その惨劇と言うには、あまりにも美しすぎる光景を前に、事を成したかつて希望を謳った青年は一粒の涙を落とした。
「この落涙が、最後になることを祈る」
あと2話ぐらいで終わりかな?