時刻20:12、盲目のバルティマイが宿泊するホテルにて。
そこには、一通の返信をじっと待つ大人達の姿があった。
『かぐや無事です!』
「「「よっしゃーーー!!!」」」
達成された勝利条件に大の大人達が両腕を上げて、勝利の雄叫びを上げる。
達、と言っても5名程なのだが。
残りの面々は集中状態から解放され、椅子に脱力してもたれかかる。
「ふぃー·······」
「マジ疲れた」
「考察したいのに考察する体力がなーい」
「勇斗さんだからで片付けとこ」
宝具の持ち込みだの鯖落ちしても動けた理由だの考える事は山程あるのだが、体力がそれを許さない。
遅れて、ドジっ娘属性を持つ凪の携帯へ電話がかかる。そして、コール音に紛れながらも何処からか通知音が鳴った。
「もしもし、兵郷で―――」
『凪さん、琴葉です。勇斗さんが危篤状態かもしれません。様子を見に行ってもらいませんか』
その言葉を聞いた凪は、騒音とはしゃぐ人々の背に身を隠しながら出口の方へと向かう。
しかし、彼女よりも速く武内 湊が扉の前に立ち塞がる。
「追加の依頼だ。この部屋からは誰も出さない」
殺意に近しい戦意が部屋全体に満ちる。
喜びを分かち合っていた者達、だらけ切っていた面々も気を張った表情で立ち上がり、武内 湊へ視線を向ける。
事態を重く受け取った石井 健二がパイプ椅子を手に走り出す。
「やっぱ駄目か······っ!」
湊の横腹目がけて振るうが、軽々と右手受け止められ、空いた左手で襟元を掴まれてしまった。
すぐにどうこうするという素振りは見せず、見せしめとするためか左手のみで70kg後半はある健二の足が地面から離れる程持ち上げる。
生殺与奪の権利を握られていると言って差し支えない状態だが、その程度で怖じ気つく者はここにいない。
真意を確かめるように、湊へ問いかける。
「宗全からの依頼。つまり、あの2人が死ぬかもしれない事態だと言うこと。なら、俺達はさっさと行かなきゃならん」
自身の襟元を掴む腕を両手で全力を以てして握る。それでも、湊は顔色一つ変えることなく、冷製に次の手を予測している。
「さっさと、そこを退け」
何処からか転がってきた丸い物体が湊の靴先に当たる。
「煙幕?」
「手榴弾だと思ったでしょお?残念、ただの煙幕玉でした」
健二から手を離し、蹴り飛ばそうとするが時既に遅し。柏葉 渚お手製の煙幕玉が部屋中を白い煙で満たしていく。
だが、扉は湊の後ろの物のみ。接敵なくして脱出は不可能。
「俺らの骨、10本20本折る覚悟をしろ」
「ガチでそんぐらい折られそうですよね」
「無駄に折られるのは勘弁してもらいたい」
「1人でも通れればいい。隙を作るぞ」
こうして、4時間にも及ぶ激闘が人知れず始まった。
時刻を同じにして、とある病院の一室。
金色の瞳、ひし形が連なってできた冠を被った青年が立入禁止の張り紙を無視し、扉をすり抜け、その一室に入る。
その病室には2人。
1人は椅子に座り、顔を下に向けた医者。そしてもう1人は今しがた入室した青年と瓜二つの男性。ベットに静かに横たわっている。
本来心音が可視化されているベットサイドモニターには何の脈も示されず、0が表示されている。
「宗全、車借りてくぜ」
▼返事がないただの屍のようだ。
医者の後ろの机に置いてある鍵を手に取り、そのまま退室しようと扉へと進むが、その場で足を止める。
「お疲れ様、宗全」
視線だけ親友へと向け、これまでの旅路を振り返る。
彼なくして成し得なかった出来事の数々。記録に残らなくとも、その偉業は誰かに称えられるべきだ。
だからこそ、この一言を言わないという選択肢はなかった。
少し進んで21:20頃、かぐやいろP宅。
大勢の尽力によって防衛戦を完遂した彼女らは、2人だけで祝勝会を開いていた。もちろん食卓に並んでいるのはパンケーキである。
「んっまー!前食べたのとは別物だよ!」
「悪かったわね。不味いパンケーキで」
「イヤ〜?オイシカッタ、デスヨ?」
「なにその片言」
かぐやのバレバレの嘘に頬を緩める彩葉。その顔を見て笑うかぐや。
終わりを乗り越えた今、ようやく心の底から笑い合えた気がする。
奪われる心配はいらない。かぐやがいなくなる日なんて想像しないでいい。もう、明日に怯えなくていい。
「食事中にすまない!失礼する!!」
叫ぶ男性の声に体を跳ねさせる。
声のした方向、玄関へ続く廊下へ目を向けると、そこには格好こそ違えどツクヨミで獅子奮迅を果たした黒耀 勇斗だった。
服装を細かく言うのなら、頭にひし形が連なってできた冠、上は白のパイレーツシャツ、下は黒のスキニーパンツ、腰には水色のフリンジストール、靴は純白の中世ヨーロッパの騎士が履いてそうなものになっている。室内で靴は止めて欲しい。*1
「突然の訪問、続けて不法侵入をしたことを謝罪する。だが、今は本当に時間がない」
一歩一歩踏みしめるようにこちらに近づいてくる。
あまりの存在感に圧のようなものを感じ、言葉がでない。かぐやに至っては時が止まったかのように静止している。あ、フォークに刺さったパンケーキが落ちた。
「君達2人に会わせたい人がいる。スマコンを持ってついてきてくれ」
こんな時間に何処へ、と思いはしたが、彼の淀みない金色の瞳からは一切の邪気を感じられない。
かぐやもそれを察してか、フォークから落ちたパンケーキに再度フォークを刺し、一気に頬張った。
口をモゴモゴ動かしているかぐやと視線を合わせ、頷き合う。かぐやの意志を確認し、黒耀さんへと向き直る。
「わかりました。」
と、言うことで現在私たちは黒耀さんが運転する車の後部座席に2人して座っていた。
夜ということもあり、車内は真っ暗で、時折街灯が車内を照らすのみ。そんな真っ暗闇でとある事に気づいた。
「黒耀さん、左肩の怪我は大丈夫なんですか?」
「今は大丈夫だぞ、ほれ。あと、黒耀じゃなく勇斗で呼んでくれ」
「それなら良かったです」
力なく垂れていた左腕を肩程まで上げ、慣らすように回す姿を見るに大丈夫そうだ。
遠目でパッカリ割れているように見えたが、実際そこまでは深くなかったのだろう。それに、赤松さんの迅速な治療で―――ちょっと待て。勇斗さんはアマゾンにいた筈では。
そんな疑念が生まれと共に寒気が込み上がる。嫌な汗も出てきた。
疑念に満ちた視線を勇斗さんの後頭部へ向ける。
そんな私の考えを知る筈もないかぐやが勇斗さんに声をかける。
「ねえねえ。勇斗はアマゾンにいたんじゃないの?なんで日本にいんの?」
「ちょ、かぐや?!」
慌ててかぐやの口に手を被せる。
もし、これでこの勇斗さんの正体が勇斗さんではなく得体の知れない何かで、私達に害成す存在であればハンドルを大きくきって2人合わせてお陀仏である。
「んー·······ああ、2人はまだ知らなかったな。
俺と宗全、あと多分湊もツクヨミ内でしてた動き、現実でもできるぞ」
「それって、どういう·········」
ツクヨミ内でしてた動き、ってまさか。
いやいや、人があんな速度で動ける訳がない。ツクヨミだからこそ、いやツクヨミでも可笑しいのだが。
「ほれ」
車内に光が満ち、留まることをしらず車の窓から光が漏れる。
発生源は信じがたいことに勇斗さんの左手。もう意味がわからない。
「うおーー!!!すげえええ!!!!」
信じられない光景を前にフリーズした私とは違い、隣のかぐやは勇斗さんの左手に興味津々。それはシートベルトを限界まで伸ばして体を運転席に乗り出す程だった。それでも足りないのか左手をその光を触ろうと伸ばしている。
「おっと、触っちゃダメだぞ。手なくなっちまうからな」
「あぶなっ!早く言ってよ!」
「すまんすまん」
脱兎の如く左手を引っ込めたかぐやを見て微笑しながら、光を握り潰す。
すると、何処にいったのやら光が消えてしまった。車内も元通り暗闇になった。
「どうやって!どうやってすんの?!」
「すまん、これは俺だけの特権なんだ」
「なにそれ!ズルくなあい!?······あ、そうだ」
諦めきれずムスッとしていたが、それも束の間、何か閃いたのかヘンテコなサングラスをかけた。
突如として隣から1680万色の光が放たれる。
「ん?」
「うわっ、なに!?」
「かぐやも光れるんだった。どやっ、すごいでしょ?」
目を細めながら隣にいるかぐやを見ると、ゲーミングカラーに発光している意味のわからない状態があった。てかキモ。
勇斗さんは勇斗さんで後ろを振り向くことはせず、疑問に思いながらも前を向いて運転している。安全運転ありがとうございます。
「虹色の車になっちゃったな」
「虹色とか綺麗なものじゃないですよ!ゲーミングカラーですよ!ゲーミングカラー!!」
「いいじゃん、ゲーミングカラーの車!」
「ちょ、その色で近づかないで!目おかしくなる!」
「ええ〜、いけると思ったのにぃ」
嫌がる私を見てか、ゲーミング発光をやめ、いつもの白が交じったような金髪に戻る。
こういう所があるからかわいいのだ、私のかぐやは。
そんなこんなでかぐやとワチャワチャしていると、切り込むようにして勇斗さんが声をかけてきた。
「そろそろ目的地が近くなってきた。」
家を出発して40分程。時刻は22時を回った頃。
窓の外を見ると未だ東京ではあるが、立川市ははるか遠く。
この周辺に私の知り合いはいないため、きっと会わせたい人物と言うのは勇斗さんの知り合いだろう。
「君達に今から会わせたい人物は、俺が14年前栃木で出会った者だ。まあ、その時は人の姿ではなかったんだが」
人の姿じゃなかった?
14年前は人ではなく、今は人。エジプトのなぞなぞだろうか。まああれの答えは人なのだが。
「端的に言えば白いナマコみたいだった」
「はい?」
ナマコ、それも白いナマコ。
海に面していない内陸部にある栃木県でナマコ。水族館で出会えるかどうかと言ったところだろうか。
にしても、14年前はナマコで、今は人。もしくは美女と野獣の野獣のように呪いでナマコに変えられた人なのか。いや、そんな訳あるまい。
頭を振り、素っ頓狂な考えを吹き飛ばす。
どうやら、かぐや防衛戦の疲れが出てきたようだ。頭が回っていない。
「―――名前はかぐや」
「えっ?」
咄嗟に隣に座っているかぐやへ顔を向ける。
そんな私に気づいたかぐやは否定や肯定をするでもなく、目を細め悲しそうな笑みを向けてきた。
「今の名前を月見 ヤチヨ。ツクヨミの管理人をしている」
「··········はっ?」
14年前、栃木でかぐやが?いや、かぐやは生後2ヶ月だ。おむつだって私が変えた。覚えてる。だから、14年前の栃木にいるわけがない。そもそも、ヤチヨの本名がかぐやだって説もあるし、ライバーなんだから個人情報の取り扱いはヤチヨが上だし。いやでもそれなら、かぐやはあんな顔しない。きっと、真実を知れば私が傷つくから黙っていたのだ。なら、その私が傷つく真実と言うのは?かぐやはヤチヨのクローン?それなら時系列が合わない理由も、いや、それだと人と同じように成長したのが可笑しい。わからないわからないわからない········っ!
···········。
謎は謎でいい。
今は、かぐやが悲しそうに笑った方が問題だ。
いつもいつも無茶苦茶で、天真爛漫で、笑顔が絶えないかぐやが悲しそうにしていた。今は、それだけが問題なのだ。
「―――勇斗さん。
知ってること全部教えてください」
「ははっ!すごいな、君は!」
どこに笑う点があったのかわからないが快活に笑いながら、賞賛する勇斗さん。意味はわからないが、賞賛は受け取っておこう。
「全部教えたいのは山々なんだが、俺も細部まではわからない。
ただ、君の隣にいるかぐやがなんらかの理由で8000年前に行き、白いナマコとして8000年を過ごし、君に会うため月見 ヤチヨとなった。
俺にわかるのはそれだけだ。」
「8000年·········」
点と点が繋がった。
どうして、勇斗さんがツクヨミ内でヤチヨの設定である8000年をあれだけ賞賛していたのか。
独りぼっちで、小さな体で、助けを他者に求めれない状況下で8000年を歩いてきたヤチヨを、本当に心の底から称えていたのだろう。
私には8000年という年月がどれ程のものなのか理解し難いが、想像を絶するものだと簡単に予想できる。
「彩葉?」
名を呼ばれて思考の海から勢いよく這い上がる。
隣に目を向ければ心配そうにこちらを覗き込むかぐや。そして、そんなかぐやの左手を掴む私の右手。
生後2ヶ月と言うこともあり、陶器のように艷やかで滑らかでスベスベの肌··········はっ!
「勇斗さん、まさか今からかぐやを8000年前に飛ばすとかではないですよね?」
「いや、それはない。
宗全からの手紙によると、かぐやが8000年前に飛ぶターニングポイントは防衛戦らしい。」
赤松さん伝に勇斗さんへ話がいっているのなら、赤松さんが全てを知っているかもしれない。
左手でスマホを取り出し、赤松さんの電話番号を打ち込む。しかし、いくら待てど車内にコール音が響くのみ。
「宗全なら出ないぞ。もう、眠ってるからな」
「そうですか·········」
今の時刻を考えると然程不思議では、いや、やっぱり少し不思議だ。あの粗野な身振りをしている赤松さんが10時頃に寝ているとは想像できない。でも、お医者さんだしたな·········。
そんなどうでもいい事で頭を捻っていると、目的地に着いたらしく、勇斗さんがこちらに振り向き、後方を確認しながら駐車していく。
窓から外を見れば、何処かのアパートの駐車場。少し視線を移せば、以前まで私が独り暮らしをしていたボロアパートに負けないアパートがあった。
「よし。今回は事故なく来れたな」
「いつも事故してるんですか?」
「いやあ。南米あたりで車走らせるとカルテルだのギャングだの多すぎてな。轢きながら走ると車が目的地着くまでに動かなくなるんだ」
言葉がでなかった。
“轢きながら”、今、轢きながら走ってると言ったのかこの人は。
なんら変わらない調子で、何でもないかのように人を害した事実を言ったのか。いや、自己防衛なのは間違いないと思うのだが、それでも少しは言い淀む筈だ。普通の人なら。
薄々わかってはいたが、私と勇斗さんでは価値観が違うのかもしれない。
車が完全に止まったのを確認し、出る準備を始める。
かぐやの左手から手を離し、シートベルトを外し、車外へと出る。
上を見上げれば、幾つもの星々が煌めいている。
「ん〜〜!」
車を挟んだ向こう側で、かぐやが凝り固まった体を伸ばすために精一杯伸びをしている。
回り込み、車の右側へと歩く。
右側に着くと、丁度勇斗さんが車にロックをかけたのか、ライトが二度点灯した。
「彩葉」
「はい、―――ってわわ!」
勇斗さんに初めて名を呼ばれたかと思えば、弧を描くように投げられた黒い物体を何とかキャッチする。
両手に納まったそれをよくよく見れば、この車の鍵だった。
「この車の鍵だ。もう、俺が持ってても意味ないからな。預かっててくれ」
「私も意味ないと思うんですが······?」
困惑しながら、一先ず鍵を預かり、ポケットにしまう。帰る時に返せばいいだろう。
もちろん私が車の免許など持っている訳なく、運転はできない。できたとしても豚箱行きだ。
鍵を私に渡した勇斗さんはアパートの方へ、私達に声もかけず歩いていく。
その後をついていこうと右足を前に出すよりも速く、私の右手をかぐやが握る。
「行こ、彩葉」
「うん。」
このアパートにいるヤチヨから全てを聞く。
かぐやがどうしてあんな表情をしたのか、どうすれば悲しみを取り除けるかを考えるのは知った後だ。今は知ることから始める。
「ここだ」
勇斗さんがそう言い止まったのは、アパート2階の端の部屋。他となんら変わらない部屋に見える。
そんなことを考えていると、勇斗さんは一切の躊躇なしに扉を開け、室内へと進んでいく。
一瞬戸惑ったが、一先ずついていくことにする。
この先に
「え。―――なんですか、これ·······?」
視界の先に広がるのはプログラムが絶えず羅列されていくモニター、床にはコンピュータ。そして、特筆すべきは何らかの液体に浸された大きな筍。その筍には何本ものコードが繋がれている。
「ツクヨミの大元だ」
「なるほど·········待ってください。ヤチヨは何処にいるんですか?」
「スマコンをつければ会える」
「スマコンを·········?」
「ああ」
ポケットから持ってきたスマコンを取り出し、起動する。
立ったままは足が棒になってしまうので、失礼ながらその場に正座する。
深呼吸をし、意識を電子の海へと落とす。
目を開ければ、視界に広がるのは煌びやかな仮想空間ツクヨミ。本来なら、入口である鳥居に出るのだが、今回は遥か高くにある何処かの塔の最上部ある部屋の前に出た。
周りを見れば、既に勇斗さんとかぐやがいる。
「寝坊助だなっ。瞼が接着剤でくっついてんのか」
「FUSHI!?」
声のした方向へ目を向ければ、勇斗さんの右肩に白いナマコもといウミウシであるFUSHIが蕩けた顔で乗っていた。
この声、この憎まれ口は間違いなくFUSHIだ。でも、いつもはヤチヨといる筈。かぐやと犬DOGEのように。
「·······もしかして、FUSHIって犬DOGE?」
「っ·······、そんな犬っころと同じにすんな!」
「わん?」
私の言葉に眉が吊り上がったかと思えば、飛び跳ねて背中を向けられてしまった。
耳をすますと、微かに嗚咽のような声が聞こえる。
「君も、よく頑張ったな」
「やっ、やめろ、やめろって言ってるだろ··········っ゛。」
泣いているだろうFUSHIを見かねて、目を細め穏やかな表情をしてFUSHIの頭をゆっくりと撫でる勇斗さん。
3分程、FUSHIを慰める勇斗さんの姿を黙って見守っていると、勇斗さんが真剣な表情に戻り、扉へと向き直る。
そのせいで、こちらに背中を向けていたFUSHIの顔がこちら側から丸見えとなった。
「ふじゅ〜········♪」
目元が赤くなっているが、その顔は完全に溶け切っていた。
「この先にヤチヨがい―――ッ!?」
扉を開けようと、勇斗さんが触れるや電流が迸る。続けて1つのウィンドウが目の前に表示される。
そのウィンドウには『現在メンテナンス中!神々の皆は入室不可だよ!ごめんね〜』と書かれている。
「メンテナンス中·········」
そう言えば、かぐやの防衛戦の負荷でサーバークラッシュしていたんだった。ツクヨミニュース見てなかったから、気づかなかった。
今日はお引き取り願うしかな―――
「
―――い?
極光が扉をぶち壊し、部屋の天井をぶち壊し、見事な突き抜けを作ってしまった。これには私とかぐやも呆けるしかなかった。
木屑が舞う中で、人影があたふたしているのが辛うじて見える。
「なにっ!?なになに!?また襲撃!!?」
その声に何度助けられたことだろうか。いつも、私が辛い時に寄り添ってくれた優しい声。
そんな、私の恩人とも言える人が、突然の訪問(?)に取り乱している。
握っていた剣を体内にしまった勇斗さんは、木屑が舞う中を意にも止めず進む。
「突然の訪問失礼する!」
「訪問、え?襲撃じゃなくて?」
「扉が閉まっていたため宝具を使用した!恐怖を与えてしまったことを謝罪する!すまないっ!!」
「えっ、え〜········?」
正直、ヤチヨの反応が正しいと思う。
扉が閉ざされているのならば、帰る。多分そう思っていただろう。しかし、ここにいるのは常識で測れない黒耀 勇斗。なにが起こるか予想し難い。
「約束がまだ果たされていなかったからな!勝手ながら、俺は俺ができることをした」
「それって、どういう―――」
「ヤチヨ」
「彩葉···········」
意を決して、散らばった木屑を踏み締めながら勇斗さんより前に出る。
私の姿を見て、ヤチヨの先程までの驚きが鳴りを潜め、何かを諦めたような顔をして目を伏せる。
「勇斗さんからヤチヨがかぐやだってのは聞いた」
「そう、なんだ········」
「だから、全部聞かせて」
「ぜ、ぜんぶ?」
「全部。
見たことない程弱々しいヤチヨに目線の高さを合わせ、視線を交わそうとするが、目線は伏せたまま。これでは私の気持ちは伝わらない。
「·········聞いてどうするの?彩葉にはかぐやがいるじゃない」
「えっ?」
冷たく突き放すような声が、針となって私の胸に刺さるのを幻視した。
だいたいの強さ順は
勇斗=宗全≧武内 勝彦>>>武内 湊>>>>>>>>レオ>宗武>岩太>健二>>>>>>その他
となってます。
まあ、勇斗と宗全はその時の気分に左右されます。銀魂形式ですね。