「ワートリ、ワールドトリガー」死角の銃手   作:黒星0214

13 / 57
閑話休題「麻雀と性格」

閑話休題「麻雀と性格」

 

夕方。

 

任務も訓練も早めに終わり、 空気はかなり緩かった。

 

奈央が端末を見ながら言う。

 

「最近、麻雀流行ってますよね」

 

三上が反応する。

 

「あー、隊員同士で結構やってるな」

 

「私も少し興味あるんですよね」

 

奈央が苦笑する。

 

「ルール全然分からないんですけど」

 

「お、じゃあやる?」

 

三上が即答した。

 

「俺牌あるぞ」

 

「あるんですか」

 

「この前ラウンジでやった時持ってった」

 

その時。

 

後ろでソファに転がっていた水瀬が反応した。

 

「……麻雀ですか〜?」

 

のんびりした声。

 

「私もやりたいです〜」

 

「水瀬出来んの?」

 

「ちょっとだけ」

 

起き上がりながら答える。

 

「でもちゃんとやったことはないかも」

 

その横で。

 

黒瀬が静かに言った。

 

「麻雀なら出来ますよ」

 

奈央が少し驚く。

 

「黒瀬くん出来るんですか?」

 

「一応」

 

三上が嫌そうな顔をした。

 

「うわ絶対強いじゃん」

 

三上が嫌そうな顔をした。

 

数十分後。

 

ボーダー本部ラウンジ。

 

机の上に麻雀牌。

 

ジュース。

 

お菓子。

 

休日ということもあり、 ラウンジはかなり静かだった。

 

「ラウンジで麻雀って何か変な感じしますね」

 

奈央が周囲を見回す。

 

「たまにやってる奴いるぞ」

 

三上が牌を混ぜながら言う。

 

「人数集まりやすいし」

 

その間にも。

 

黒瀬は無言で牌を並べていた。

 

慣れている。

 

「黒瀬くん手際良いですね」

 

「結構やってるので」

 

「何で?」

 

三上が聞く。

 

黒瀬は少し考えた。

 

「待つの嫌いじゃないので」

 

「うわ嫌な打ち手の発言だ」

 

開始。

 

最初は奈央への説明込みだった。

 

「これは萬子」

 

「こっちが筒子」

 

「頭一個必要で〜」

 

三上が説明する。

 

奈央は真面目に聞いていた。

 

「なるほど……」

 

覚えるのが早い。

 

だが。

 

数局後。

 

三上が顔をしかめた。

 

「……お前ら打ち方に性格出すぎだろ」

 

まず黒瀬。

 

静か。

 

全然喋らない。

 

鳴かない。

 

ダマテン。

 

しかも。

 

降り判断が異様に早い。

 

「え、それ降りるんですか?」

 

奈央が驚く。

 

さっきまで普通に攻めていた。

 

だが。

 

黒瀬は平然と牌を崩す。

 

「三上さん良さそうだったので」

 

「何で分かるんだよ……」

 

三上が嫌そうな顔をした。

 

しかも待ちが嫌だった。

 

「またその待ち!?」

 

「持ってると思ったので」

 

「絶対嫌がらせだろそれ!」

 

端待ち。

 

シャボ待ち。

 

妙に引っかかる場所を狙ってくる。

 

かなり性格が悪い。

 

一方。

 

三上はかなり堅実だった。

 

無理押ししない。

 

ちゃんと降りる。

 

でも行く時は行く。

 

「そこは押すんですね」

 

奈央が聞く。

 

「いやこれは行ける手だからな」

 

バランスが良い。

 

かなり安定している。

 

だからこそ。

 

黒瀬の変則が嫌だった。

 

「またダマかよ……」

 

「見えてるリーチより怖ぇんだよお前」

 

水瀬はさらに慎重。

 

「これはまだ、危ないかな?」

 

「まだ無理しなくていい気がする……」

 

放銃をかなり嫌う。

 

だが。

 

「……ここなら行ける」

 

と判断した瞬間だけ鋭い。

 

急にリーチをかける。

 

「うわ来た」

 

三上が嫌そうな顔をする。

 

「水瀬、通る時しか来ねぇから怖いんだよな」

 

「危ないの嫌だもん」

 

かなり本人だった。

 

そして奈央。

 

最初はぎこちない手付きだった。

 

牌を並べるのも遅い。

 

切る前にも少し考える。

 

「えっと……この形なら両面残した方が良いんですよね?」

 

「お、ちゃんとセオリー通りだ」

 

三上が感心する。

 

打ち方はかなり素直。

 

教科書通り。

 

言われたことをそのまま綺麗に吸収していく。

 

「奈央ちゃん覚えるの早いですね」

 

水瀬が感心したように言う。

 

「オペレーターだから情報整理得意なんじゃね?」

 

「なるほど……」

 

奈央は真面目に頷いた。

 

だが。

 

数時間後。

 

牌を持つ手付きが、 かなり自然になっていた。

 

不要牌を切る速度も早い。

 

形も安定している。

 

三上が少し嫌な予感を覚える。

 

その時。

 

奈央が静かに牌を倒した。

 

「ロンです」

 

沈黙。

 

三上が固まる。

 

水瀬も止まる。

 

黒瀬が奈央の手を見る。

 

綺麗だった。

 

かなり。

 

無駄がない。

 

教科書通りに強い手。

 

奈央が少し困ったように笑う。

 

「……合ってます?」

 

数秒後。

 

三上が叫んだ。

 

「初心者じゃねぇだろ!?」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。