「ワートリ、ワールドトリガー」死角の銃手   作:黒星0214

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Episode 27

Episode 27「初日 」

 

廃ビル市街地。

 

建物が密集した入り組んだ路地。

 

レーダーなし。

 

普通なら相手の位置は分からない。

 

だが。

 

黒瀬にはある程度近づけば、人の気配が分かる。

 

黒瀬は壁沿いをゆっくり移動する。

 

建物の陰。

 

路地の折れ目。

 

射線が通らない場所だけを選んで進む。

 

その時。

 

ふと感じた。

 

近くにいる。

 

建物の中。

 

上階。

 

確信ではない。

 

でも、いる。

 

黒瀬はカメレオンを起動した。

 

正面ルートを避ける。

 

建物の裏側へ回る。

 

別の入口から入る。

 

階段。

 

静かに上る。

 

一段ずつ。

 

音を立てない。

 

気配が濃くなる。

 

同じ階。

 

通路の先。

 

隊員が窓の外を警戒していた。

 

こちらには全く気づいていない。

 

黒瀬は息を止めた。

 

距離を測る。

 

壁際で止まる。

 

カメレオン解除。

 

ダブルハンドガン。

 

引き金を引く。

 

乾いた連射音。

 

相手が振り返る間もなかった。

 

《BAIL OUT》

 

光が散る。

 

黒瀬は即座にカメレオンを起動。

 

その場を離れた。

 

静寂。

 

また動き出す。

 

次のエリアへ。

 

廃ビルの陰を縫うように進む。

 

その時。

 

路地の角。

 

二人組の隊員が移動していた。

 

黒瀬は足を止めた。

 

建物の壁に張り付く。

 

二人の動きを見る。

 

一人が前。

 

一人が後ろ。

 

周囲を警戒しながら進んでいる。

 

慎重だ。

 

だが。

 

上は見ていない。

 

黒瀬はカメレオンを起動。

 

建物の外階段を使って屋上へ上がった。

 

下を見る。

 

二人組。

 

路地を警戒しながら進んでいる。

 

視線は前方。

 

上は見ていない。

 

黒瀬は屋上の縁に立った。

 

タイミングを測る。

 

先頭の隊員が真下を通る。

 

その瞬間。

 

カメレオン解除。

 

飛び降りながらダブルハンドガンを連射。

 

《BAIL OUT》

 

一人目が光になって消える。

 

着地。

 

同時に残った一人が反応した。

 

「っ!?」

 

相手は一気に距離を詰めてきた。

 

近距離用トリガー。

 

判断が速い。

 

黒瀬は壁裏へ滑り込む。

 

直後、曲がり角の向こうからブレードが突き出された。

 

黒瀬は即座にグラスホッパーを起動。

 

横方向へ跳ぶ。

 

距離を取る。

 

着地と同時にカメレオン起動。

 

視界から消える。

 

「――っ!?」

 

相手が足を止める。

 

視線が揺れる。

 

右。左。

 

探している。

 

黒瀬はその間に距離を取る。

 

死角。

 

カメレオン解除。

 

ダブルハンドガン。

 

中距離から連射。

 

《BAIL OUT》

 

二人目が光に包まれた。

 

黒瀬は静かに息を吐いた。

 

レーダーがない。

 

だから相手は黒瀬がどこにいるか全く分からない。

 

気づいた時には目の前にいる。

 

あるいは。

 

気づく前に終わっている。

 

いつものランク戦より、ずっと奇襲が通りやすかった。

 

その頃。

 

通信が入る。

 

「黒瀬くん」

 

奈央の声。

 

「廃ビルエリア、黒瀬君1人になりましたね」

 

「そろそろ帰ってきていいですよ」

 

黒瀬は周囲を確認する。

 

確かに気配がない。

 

「了解です」

 

静かに答えて、拠点へ向かった。

 

拠点。

 

戻ると三上がソファーに座っていた。

 

「お、帰ってきたか」

 

「三上さん、早いですね」

 

黒瀬が少し首を傾げる。

 

「まあな」

 

三上が苦笑する。

 

奈央が端末を見ながら言う。

 

「黒瀬くん、今日かなり稼ぎましたね」

 

ポイント表示。

 

黒瀬隊のポイントはそれなりに積み上がっていた。

 

だが。

 

冬島隊のポイントはそれを上回っていた。

 

「……冬島隊、やっぱり多いですね」

 

奈央が静かに言う。

 

三上が頭を掻く。

 

「まあな」

 

「三上さん、森林地帯にいたんですよね?」

 

黒瀬が聞く。

 

「ああ」

 

三上が少し渋い顔をする。

 

「射線気にしながら慎重にトリオン兵狩ってたんだけどな」

 

「それでも落とされたんですか?」

 

奈央が聞く。

 

「夕方頃にな」

 

三上が続ける。

 

「どこから撃たれたか全く分からなかった」

 

「音がしたと思ったら終わってた」

 

沈黙。

 

「ポイント的に当真さんですかね」

 

黒瀬が静かに言う。

 

「多分な」

 

三上が頷く。

 

「森林で射線気にして動いてたのに」

 

「それでも駄目なんですね……」

 

奈央が少し顔を引き締める。

 

「当真先輩、やっぱり怖いですね」

 

水瀬が静かに言った。

 

「明日からも気をつけないといけないですね」

 

黒瀬は静かにポイント表示を見ていた。

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