「ワートリ、ワールドトリガー」死角の銃手   作:黒星0214

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Episode 33

Episode 33「当真視点」

 

当真は、既に最初の狙撃地点から移動していた。

 

遠くでベイルアウト光が上がる。

 

黒瀬が落ちた。

 

当真は静かに周囲を確認する。

 

まだ終わっていない。

 

水瀬がいる。

 

頭の中で今回の動きを整理する。

 

三上を落とした直後。

 

当真は近くに仕掛けておいたワープへ入った。

 

移動先で冬島と入れ替わる。

 

冬島はイーグレットを装備して、当真が狙撃した場所へ陣取る。

 

フードを被り、そのまま待機する。

 

それだけで十分だった。

 

相手は「当真だ」と判断する。

 

当真自身は、そこを見渡せる別位置へ移動していた。

 

レーダーがない。

 

だから冬島はバッグワームタグを外せる。

 

その枠をイーグレットへ回せた。

 

ランク戦では出来ない、この試験だからこそ成立する作戦だった。

 

当真は、自分の隠密技術には自信があった。

 

狙撃技術はもちろん。

 

位置取り。

 

気配の消し方。

 

移動。

 

その全てにおいて、自分は上位だと理解している。

 

だが。

 

それでも黒瀬だけは厄介だった。

 

黒瀬も隠密技術が高い。

 

奇襲能力ばかり目立つが、本当に危険なのは索敵能力。

 

サイドエフェクトも合わさることで、「相手がいる場所」を異常な精度で掴んでくる。

 

近づかれれば終わる。

 

だからこそ、当真はこの試験中、黒瀬を一番警戒していた。

 

黒瀬は優秀だった。

 

カメレオンで完全に気配を消したまま接近してきた。

 

それでも誘導は成立した。

 

意識が冬島へ向いた瞬間。

 

そこを撃った。

 

それだけだった。

 

後ろで冬島が口を開く。

 

「これで二人落ちたな」

 

当真はスコープを覗いたまま答える。

 

「ああ、だがまだ水瀬の嬢ちゃんが残ってるぜ」

 

「一応、撤退は可能になったけどな」

 

真木リサが小さく息を吐く。

 

「そうね、そのまま最後の一人も落としましょう」

 

「向こうはまだ二人落とせてないわ」

 

「撤退は出来ないもの」

 

当真が端末へ視線を落とす。

 

一時間まで残り十五分ほど。

 

当真は静かにスコープを構え直した。

 

まだ一人残っている。

 

水瀬の位置はまだ分かっていない。

 

水瀬も隠れるのは上手い。

 

本気で潜伏された場合、当真でも見つけ出すのは簡単じゃなかった。

 

当真が小さく笑う。

 

「かくれんぼで俺が鬼側か。いいねぇ」

 

その時だった。

 

乾いた銃声が響く。

 

ライトニング。

 

弾が当真の身体すれすれを掠めた。

 

反射的に横へ跳ぶ。

 

外した。

 

当真は静かに息を吐く。

 

射線方向は見えた。

 

あの建物。

 

あのフロア。

 

スコープをゆっくり向ける。

 

暗い室内。

 

窓の奥。

 

僅かな影。

 

当真が口元を歪める。

 

「嬢ちゃん、スナイパーが外したら終わりだぜ」

 

位置が割れた以上、追える。

 

水瀬を捕捉した。

 

負けるはずがなかった。

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