「ワートリ、ワールドトリガー」死角の銃手   作:黒星0214

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Episode 36

Episode 36 「種明かし」

 

拠点。

 

試合終了のアナウンスが流れた後も、部屋にはまだ少し緊張の余韻が残っていた。

 

三上は椅子へ深く座り込みながら、大きく息を吐く。

 

「……いや、マジで勝つとは思わなかった」

 

奈央が端末を操作しながら小さく笑う。

 

「当真さんまで落としたのは大きいですね」

 

「デカすぎるだろ」

 

三上が苦笑する。

 

「撃破ペナルティ無効権まで切って仕留めにいくとは思わなかったわ」

 

扉が開く。

 

黒瀬と水瀬が戻ってきた。

 

水瀬は少し疲れたように肩を回している。

 

「お疲れ様です〜」

 

「おう、お疲れ」

 

三上が軽く手を上げる。

 

「いやでも、見事だったわ」

 

「実際、あそこから当真さん落とすの綺麗すぎるだろ」

 

黒瀬は静かに頷いた。

 

「ありがとうございます」

 

奈央が端末を見ながら言う。

 

「でも、撃破ペナルティ無効権を本当に使うとは思いませんでした」

 

「ショップでもかなり高かったですよね、あれ」

 

「高額アイテムですからね」

 

黒瀬が静かに答える。

 

「前の隠密ミッションの報酬が大きかったので、買えました」

 

三上が思い出したように言う。

 

「ああ、あの隠密ミッションか」

 

「普通は隊員詳細表示とか他のアイテムで通貨使い切りますしね」

 

奈央も頷く。

 

「撃破ペナルティ無効権まで手が回らないですよね」

 

黒瀬は淡々と続ける。

 

「ただ、当真さん相手だと普通にやっても厳しかったので」

 

「一回落とされる前提で近づく必要がありました」

 

三上が苦笑する。

 

「だから俺囮だったのか……」

 

「必要でしたので」

 

「まあ、分かるけどよ」

 

奈央が少し首を傾げる。

 

「でも、水瀬さんの動きも凄かったですよね」

 

「あの位置取り、かなり危なかったと思いますけど」

 

「あ〜、普通に怖かったですよ〜」

 

水瀬がへにゃっと笑う。

 

「当真先輩、ああいうの絶対逃さないですし」

 

三上が腕を組む。

 

「でも、なんでわざわざ射線通る場所に出たんだ?」

 

「隠れ続けるだけでも良かっただろ」

 

水瀬がゆっくり首を振る。

 

「完全に隠れちゃうと〜」

 

「今度はお互い、かくれんぼみたいになるんですよ〜」

 

「そうなると、多分私が負けます」

 

奈央が納得したように頷く。

 

「……見つける能力の差ですね」

 

「です〜」

 

水瀬が笑う。

 

「当真先輩、気配読むのも消すのも上手いので〜」

 

「だから、逆にある程度動き誘導する方にしました」

 

黒瀬が静かに続ける。

 

「射線を限定出来る場所へ移動してもらいました」

 

「当真さんが狙いやすい位置へ意識を固定させれば、死角から近づけるので」

 

三上がふと思い出したように言う。

 

「そういや、あのライトニング外したのもわざとか?」

 

「はい〜」

 

水瀬があっさり頷いた。

 

「当真先輩に“位置割れた”って思わせたかったので〜」

 

「実際、すぐ追ってきましたし」

 

奈央が小さく息を吐く。

 

「完全に誘導ですね……」

 

「射線通らない場所探しながら移動するの、大変だったんですよ〜」

 

水瀬が苦笑する。

 

「黒瀬くん来るまで時間も稼がないとでしたし」

 

三上が呆れたように息を吐く。

 

「いや、綱渡りすぎるだろ……」

 

奈央が小さく笑った。

 

「でも、ちゃんと当真さん引きつけてました」

 

「最後、完全に水瀬さん見てましたよね」

 

「はい」

 

黒瀬が頷く。

 

「最後、一瞬判断が遅れました」

 

三上がニヤッとする。

 

「“黒瀬は落ちた”って思い込んでたわけか」

 

「試験では再出撃出来ない前提で動いていたので」

 

黒瀬が静かに答える。

 

「そこは利用しました」

 

奈央が感心したように息を吐いた。

 

「ルールそのものを使った感じですね」

 

「ですね〜」

 

水瀬が笑う。

 

「普通、一回落ちた人警戒しませんし」

 

三上は深く背もたれへ身体を預けた。

 

「いやでも、当真さん落としたのは本当にデカいわ」

 

黒瀬は静かに端末へ視線を向ける。

 

表示されている順位表。

 

冬島隊をポイントで上回っていた。

 

残り日数は少ない。

 

この差なら、逃げ切れる可能性は十分ある。

 

「……かなり楽になりましたね」

 

黒瀬が静かに言った。




※ちなみに撃破ペナルティ無効権はEpisode25でサラッと出てきたアイテムです。撃破されても再出撃可能となります。
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